Child with an adult?  

   
――夕刻

「……で、ここに代入すれば、答えが出るでしょ?」
 俺の隣に座った茉莉花さんが、問題集を前にうなっていた俺に助け舟を出す。
「あ、そうか……」
 彼女の教えられた通りに式を解くと、いとも容易く答えが出た。
 何故こんな簡単な事が判らなかったんだろう、と内心頭を掻きつつ次の問題に取り掛かる。
 俺は、三沢圭一。大学受験を控えた高校三年生。第一志望目指して日夜勉学に励んでいる。
 励んでいる、訳だが……
 いささか無謀な挑戦な様で、模試の判定も、今一つ。
 と、言う訳で助っ人を呼ぶ事にした。
 で、その助っ人が、幼馴染で大学生の茉莉花さん。高校でもトップクラスの成績だった彼女に勉強を見てもらっている。……高校受験の時も頼った訳だが。
 それ以外にも、今まで何かと世話になっている訳で……。また彼女に頼りっぱなしというのも情けないが、背に腹は代えられない。
「……今日はこんな所ね。大分すらすら問題を解ける様になったじゃない」
 答え合わせをしつつ、彼女が微笑んだ。
「茉莉花さんの教え方が上手いんですよ。先生になったらいいのに」
 褒め言葉ではない。彼女の教え方は、本当に上手いのだ。事実、彼女に教えを請うてから、成績は急上昇している。
「ふふ……難物の生徒がいたからね」
 彼女はいたずらっぽく笑った。
「ぐっ……」
 返す言葉も無い。
「でも、無理よ」
 が、すぐにその顔が曇る。
「何故?」
「だって……私、こんな風よ。子供みたいな先生なんて、生徒になめられちゃうわ」
 悲しげに笑った。
 そう。彼女の身長は、150センチに届かない。その上童顔で、体の起伏もお世辞にもあるとは言い難い。
「そんな事……俺にとっては、頼りがいのあるいい先生ですよ」
 そう言ってはみたものの、彼女の顔は冴えない。
 内心どうフォローしたものかと考えあぐねる。
「ふふっ、ありがとう。少し勇気が出たわ。チャレンジしてみようかしら」
 俺の心を見透かしたように、彼女は明るい声で笑った。
「いいねぇ。俺は、生徒になれないのが残念だけど」
 俺は大げさに肩をすくめて見せた。
 それが可笑しかったのか、彼女ははじけたように笑う。
 つられて俺も笑った。
 笑いつつも、彼女の為にも今度の模試は、いい成績を取ろうと心に誓った……

――数日後
 模試の成績は、上々だった。
 学校が終わると、家には帰らずある場所に向かう。
 電車で二駅、行った所。
 そこは、俺の第一志望の大学。
 そして……茉莉花さんの母校。
 正門前の喫茶店に入り、時間をつぶす。
 そうして二十分程が経ち、彼女が下校する時間が来た。
 今日は、俺の家庭教師の日で、他にバイトも無いはずだ。今の時間、四時から勉強開始の七時まで、彼女と一緒に過ごせれば良いなと思う。
 正門から出てくる学生達を横目に、彼女の携帯に電話を入れようとし……
 ふと見た学生の列の中に、見知った顔があるのに気付いた。
 ひときわ目立つ小さな体と、可愛らしい童顔。
 彼女だ。
 しかし……
 同時に俺は、見たくは無いものを見てしまった。
 彼女と親しげに話す男。
 そして、彼に向かって微笑む彼女。
 嘘だ。
 俺は愕然とした。
 無論、俺と彼女は付き合っている訳じゃない。
 当然、彼女に男がいたって良い訳だ。
 信じたくは無かった。
 だが……現実を見てしまった。
 俺は、会計を済ますと、悄然と店を後にした。

――六時半過ぎ
 俺は自宅の最寄り駅まで戻ったものの、すぐに家に帰る気にはなれず、駅前の繁華街をふらついていた。
 家には遅くなると電話を入れ、彼女の携帯に、今日の家庭教師はキャンセルする旨をメールで入れた。
 彼女の顔を見るのが辛かった。
 ゲームセンターをはしごし、無為に時間を潰す。
 そうしているうちに空腹を覚え、店を出る。
 そこで……
「茉莉花さん!?」
 痛々しいほど小さく見える、肩を落として歩く彼女の姿。思わず声を上げた。
「圭一君……」
 彼女は驚いた様に俺を見、駆け寄ってくる。
「ど、どうしたの? こんな所に居て……。学校の事で遅くなったんじゃないの? 勉強せずに遊んでたら駄目でしょ?」
 動揺しつつも、俺の事を気にしてくれる。その気遣いは嬉しい。
 だが、思わず別の事が口をついて出る。
「茉莉花さんこそ……デートじゃないの? アイツはどうしたんだ!?」
 内心しまったと思う。だが、言葉を止める事は出来なかった。
「何でそんな事知ってるの?」
 彼女は俺を見上げる。その瞳には、うっすらと涙が浮かんでいた。
「あ、ああ……。模試の成績が良かったんで、すぐに見せようと大学まで行ったんだ。で、正門で茉莉花さんを見つけたんだ……」
「そうだったの……。でも、もう……」
 そこまで言いかけて、彼女は言葉を詰まらせた。
 目から大粒の涙がこぼれる。
「お、おい……」
 動揺する俺に、小さな体がぶつかる。
「うっ……あぁ〜〜〜っ!!」
 俺の胸に顔をうずめ、泣きじゃくる彼女。
 俺はどうする事も出来なかった。ただ呆然と、彼女の背中を抱くだけ。自分の甲斐性の無さに呆れながら。

――数分後
 我に帰った俺は、容赦なく突き刺さる周囲の視線から逃れるべく。彼女を連れて逃げ出した。
 実際はどうあれ、子供を泣かした様にしか見えないだろう。
 大通りから一本入った裏通りの公園に彼女を連れ込む。
 そして、ようやく泣き止みかけた彼女をベンチに座らせると、俺は何か彼女に飲み物でも買ってこようと傍を離れた。ほんの僅かな時間。

 ……僅かな時間のつもりだった。
 帰ってきた俺の前に現れた光景は……
「な……」
「お〜〜ひ、けーいちも飲むろ〜〜」
 缶ビールを片手に酒盛りする彼女の姿であった。
「ななな、何やってるんです!? それに、一体どこでそんな……」
「あ〜、あれ」
 彼女の指差した先……から右三十度。俺が向かった公園入り口と反対側に、シャッターの閉まった小さな酒屋がある。その店先に今も灯る明かりは、酒の自販 機。
 気付かなかった……。隣にソフトドリンクのもあるから、わざわざ通りに戻らなくても良かったな。
「いつもお酒はそこで買ってるわよ〜〜」
 成る程。免許で年齢認証するやつか。コンビニや酒屋で買えば、彼女の容姿では一々年を聞かれる羽目になる。コンプレックスを持つ彼女としては、そういう 煩わしさは避けたいのだろう。
「お酒、あまり沢山飲むのは止めた方が……」
 一缶空け、次のに手をかけている。
 止めねば。一缶であそこまで酔っているという事は、あまり酒には強くないだろう。
「嫌」
 が、あっさりと却下される。
「飲むしかないでしょ〜、こーいう日は」
「いや、あのね」
 二缶目を喉に流し込むのを見ているしかない。
 ど〜せ、けーいちも、あたしの事子供だとおもってるんでひょ!? わ〜ってるわよ、このロリコン」
「ろ、ロリコン!?」
 酔っているとはいえ、いくらなんでもそれは言いがかりだろう。
「いい加減にしてください!」
 ビールを取り上げた。
「圭一!?」
 きょとんとして俺を見る。
「大体、何でお酒なんか飲むんですか!? そんなに強い訳じゃ無いでしょう?」
 少し強い口調でたしなめる。
 ……何かいつもと立場が逆転してる気がする。
「圭一まで私の事、子ども扱いするの?」
 ……しまった。また泣き出した。
 慰めねば。
 ……何か昔を思い出した。
 喧嘩で負けて、泣きながら帰ってきた俺を慰めてくれた彼女。
 その彼女が、今俺の前で泣きじゃくっている。
「泣かないで下さいよ……そんな事、ありませんから。誰も子供なんて言ってませんよ」
 肩を抱き、耳元で囁く様に諭す。昔、彼女がしてくれた事。
「だって……言われたもの。子供みたいな奴とは付き合えないって……」
「まさか、あいつに!?」
 こくり、と彼女が頷く。
「思い切って告白したの。面倒見のいい人で、話し相手になってくれた人だったから……。でも、駄目って言われた。女として見れないって……」
 男は、それほど深く考ずに断ったのだろう。だが、彼女はそれで、深く傷ついた。
「そんな事あるかよ!」
 彼女を強く抱きしめる。
「茉莉花さんを子供扱い知るなんてとんでもないよ。茉莉花さんは、すばらしい女性(ひと)だ」
「嘘言わないで! なら、ここでそれを証明して見せてよ!」
「えっ……」
 証明って……。
 いきなりとんでもないことを言われ、絶句する。第一、何をすれば証明になるのか分からない。
「出来ないでしょ!? なら、そんな事言わないで!」
 彼女は俺を突き飛ばし、走り去ろうとする。だが、そうはいかない。
 すぐに追いつくと、後ろから抱きつき、かかえ上げた。悲鳴を上げる口を塞ぐと、そのまま公園の一番奥、目立たぬ場所のベンチへと向かう。ここなら人目に はつかないだろう。
 そして、膝の上に彼女を座らせた格好で、ベンチに腰を下ろした。
 無論、腕で彼女を拘束したままだ。逃がす訳にはいかない。
「な……何する気?」
 口を塞いだ手をどけると、彼女は怯えた声で俺に問う。
「証明しろ、と言ったのは茉莉花さんですからね。今更待ったは無しですよ」
「えっ……きゃあぁっ!」
 彼女の上着を捲り上げて手を突っ込み、ブラジャーの上から胸を揉む。同時に悲鳴を上げた彼女の口を、もう一方の手で再び塞いだ。
 掌にすっぽり収まる控えめな胸の感触を楽しみつつ、出来る限り優しく揉む。
「ン……ンンッ!」
 彼女の声が、僅かに欲情に濡れ始めた。
 それを見計らい、ブラジャーを捲って胸に直接触れる。
 柔らかな弾力の肌。そして、なだらかな丘の頂上にツンと立つ尖塔。
 それを指で挟み、軽くこねる。
「んっ……ふあぁっ!」
 びくん、と彼女の体がのげそり、拍子に手の外れた口から喘ぎが漏れる。
「胸、弱いんですか?」
 真っ赤になった耳に、囁く。
「何するのよ!? いきなりこんな事……ンッ!?」
 抗弁する彼女の口を、強引に唇で塞いだ。
「あ……」
 唇が離れる。が、彼女はまだ呆然としたままだ。
「言ったでしょう? 子ども扱いしてないって。俺は、ずっと茉莉花さんに憧れてたんです」
 告白。ずっと想っていた人への。
「う……嘘よ、そんな……」
 しかし、彼女は信じられない様に、首を振る。
「あの……。いつ俺が茉莉花さんにそんな嘘をつきました?」
「だって……あなたが好きなのは、しっかりした大人の女性だって……」
 ……おい。何で茉莉花さんの耳に入ってるんだよ、仲間内の与太話が。
「その条件に合致した人が、目の前に居るじゃないですか」
「え……誰?」
 彼女は慌てて周囲を見回す。
 ……待て。
「まさか、ジョークじゃないですよね?」
 そうだった。こういう所が少し抜けてる人だった……。まあ、そこが可愛いんだが。
「って、もしかして、私!? でも……」
「いや、内面の話ですよ。俺にとっては、頼りがいのある、姉のような人です」
「でも、体は子供みたいだし……」
 ……まだこだわるか。まあ、仕方ないんだろうけど。
 それなら……
「じゃ、これでどうです?」
「ヒッ!?」
 彼女の手を取り、ズボンの上から昂ぶった俺のモノを触れさせる。
 少し下品な直球勝負だが、この際致し方ない。
「茉莉花さんに欲情して、こんなになってるんです。茉莉花さんを抱きたい。抱いて、俺のものにしたい……。良いですか?」
 そういいながらも、すでに手は彼女の服を脱がしていく。
「え、ええ……。でも、一つ聞いていい?」
「何です?」
「まさか、ロリコンじゃ無いわよね?」
「ああああの……」
 流石にこの質問には萎えかけた。……心もアレも。
 ロリコンて……。幾らなんでもそれは無い。
 ……無いんじゃないかな?
 ま、ちっとは覚悟しておけ。
 ではなく。
 ええい、面倒だ。
 問答無用でスカートを捲り、ショーツの中に手を滑り込ませた。
「きゃっ!? そこは、駄目!」
「何が駄目なんです? こんなに濡れてますよ?」
 柔らかい茂みの中の秘裂は、既に潤み始めている。
「だから駄目って言ったのに……」
 彼女は真っ赤な顔を、手で覆ってしまった。
「下着、脱がせますね。このままじゃ濡れちゃうから」
「あ……待って」
 彼女はそう言うものの、ショーツを脱がすのを止める様子は無い。俺の為すがままに任せている。
 脱がし終えると、彼女をベンチに寝かせた。そして、足を開かせる。
「嫌……見ないで」
 股間を隠そうとする小さな手。だが俺はそれををどけた。
 やや淡い叢と、蜜を滴らす肉色の裂け目。
 幼さを感じさせる彼女の身体とは、対照的な淫猥さ。
「綺麗だ……」
 自分の唾を飲み込む音が、やけに大きく聞こえた。
「あまり見ないで……恥ずかしい」
 顔を伏せる彼女。
 だが俺は、構わず彼女の胸に顔を近づける。
「きゃっ!?」
 小さな悲鳴。
 片方の胸を揉みつつ、もう片方の乳首を口に含んだ。
 舌先で転がし、時には軽く歯を立てる。
 一方、余った手で彼女の太ももを軽く撫でてやる。
「あっ……ああっ」
 びくん、と彼女の体が跳ね、俺の首を抱きしめる。
「気持ち良いですか?」
 チラと見上げた視線の先、彼女は恥ずかしげに頷く。
「じゃあ……」
 太ももを撫でていた手で、そっと秘所を撫でる。
 既にそこは、十分すぎるほど潤んでいた。
 周りを撫で、そっと指を滑り込ます。熱い肉襞が、指先を包んだ。
「ヒッ!?」
 怯えた声。
「大丈夫ですよ。嫌だったら言ってください」
「嫌じゃ無いけど……」
「無いけど……何です?」
「変になりそうで、怖い」
「いいんですよ、今だけなら」
 潤んだ肉襞を擦る様に動かすと、その度に熱い吐息が耳にかかる。
 感じているようだ。
 なら……
 十分に濡れた指先を、裂け目の上端に隠れた小さな芽に押し付け、そっと撫でてみる。
「ああっ」
 悲鳴じみた声。強すぎたか?
「痛かったですか?」
「ううん、感じすぎちゃって……続けて」
「それなら、指より……」
「えっ!?」
 顔を近付ける。
「見ないで、そんな近くで!」
 また隠そうとする手をどけ、彼女の股間に顔を埋める。
 そっと指先で花弁を開き、舌を滑り込ます。
「駄目……舐めちゃ。口付ける所じゃ無い……ああっ!」
 彼女の身体が跳ね、同時に愛液が溢れる。
 感じている様だ。
 肉芽、そして花弁の奥……
 一つ舐めるごとに、愛液が湧き出てくる。
「あっ……ああっ、駄目、変になる……。おかしくなっちゃう!?」
 彼女の声が高まり、太腿が俺の頭を締め付ける。
「気持ちいいですか? 指、入れますね」
 小指の指先を舐め、そっと中へと入れる。
 少しづつ、ゆっくりと。
 きつい。指先を握られている様だ。
「ああ……中で、動いてる」
 少し怯えた様な、彼女の声。
「大丈夫ですか?」
「うん、続けて……」
 見上げた俺の視線の先で、彼女はこくりと頷いた。
「じゃあ……」
 第二関節を過ぎたあたりまで入れ、そっと彼女の内壁を擦る。
「あっ……ああっ!?」
 動かす度、彼女は小さく声を上げた。
 同時に指先を締め付けてくる。
 感じているのか。
 それを続けながら、舌先で肉芽を転がす様に舐める。
「くぅん! ……ふぁあっ、駄目……両方なんて、感じすぎちゃう!」
 さえずる様な彼女の声。
 指を動かす度、舌を動かす度に蜜が溢れる。
 そして、腹側の内壁を擦り上げたと同時に……
「くぅっ……ああ〜〜っ!」
 一際強く指が締め上げられ、ごぽりと蜜が溢れる。
 彼女の身体は一瞬硬直した後、頽れた。
 ……イったのか?
「茉莉花さん、大丈夫?」
 彼女の顔を覗き込む。
「ああ……圭一君……」
 焦点の合っていない目で、俺を見上げる。
 そして、俺の首に手を回すと……
「ンッ!?」
 彼女の唇が、俺の口を塞いだ。
 俺も彼女を抱き締め、その唇の奥に舌を侵入させた。
 彼女も舌を絡めてくる。
「ン……ふぅ……」
 唇が離れた。
「茉莉花さん……」
「イっちゃった……。上手いのね、圭一君。慣れてるの?」
 少し怒った様な彼女の声。
「そういう訳じゃないですよ……」
 決してエロビデオで得た知識とは言えない。
「ふふっ……男の子だもんね」
 ……バレてるし。
 かなわないな、この人には。
「俺、経験無いからあまり上手く行かないかもしれないけど……」
 誤摩化してもしょうがない。
 そんな俺に、彼女は微笑む。
「そんなの、気にしないわよ。誰だって、初めての時はあるもの。……ね、お願い。入れて。もう、我慢出来ないの」
 彼女の唇が、再び俺のを塞ぐ。
「じゃあ、入れますよ」
 俺は、ジーンズの前をはだけ、いきりたったモノを取り出した。
 ……しかし、今までよく暴発しなかったものだ。
 彼女が指先で花弁を開くと、蜜が零れ落ちた。
 その花弁の中央に俺のモノをあてがう。
 熱い粘膜が俺を迎えた。
 そして、そのまま腰を進めて行く。
 が……
 入らない。
「あれ? え〜と……」
 もう一度。が、また滑る。
 とほほ……情けない。
 三度目の正直、と思った所に彼女の手が伸びた。
 白い指が、俺のをそっと包む。
「熱いね、コレ……」
「えっ……」
「ここよ。もう少し下……」
 俺のモノは彼女の指に導かれ、熱い腔の入り口に到達した。
「入れますよ」
 そっと腰を進める。
「ああ……入ってくる」
 彼女は熱い吐息を漏らす。
 少しづつ奥へ。熱いぬかるみの中へ。
「辛かったら言って下さい」
 そうは言ったものの、いざ止められる自信は無い。
「ンッ……いいよ、続けて」
 微笑む彼女。
 奥へ。
 半ば程が、彼女の中に沈み込んでいる。強烈な締め付け。
 腕を掴む彼女の手に力がこもった。
「ああっ!」
 悲鳴。
 慌てて腰を引く。後僅かで抜ける所まで引き抜いた俺のモノに付着した赤い物。
「これって……」
「バレちゃった……。私も初めてよ。だから……圭一君、私を本当の“女”にしてね」
 痛みをこらえ、彼女が微笑む。
「茉莉花さん……」
「だからお願い、続けて……」
 俺は再び彼女の中に侵入を試みる。
 彼女の身体同様小さい肉壷は、俺の侵入をなかなか許さなかった。
 それでも少しづつ、奥へと向う。
 その度に彼女は僅かな苦痛が滲む声を上げ、背中に回された腕や脚に力がこもる。
 そうして俺は、一番奥まで辿り着いた。
 熱い粘膜が俺のモノを包み、決して逃がさぬ様締め付ける。強烈な快感。今まで感じた事の無い様な……
「ああ……入ってる。奥まで、圭一君のが……」
 苦痛に顔を歪めながらも、彼女は幸せそうに呟いた。
 一方、俺は……
 ヤバい。暴発しそうだ。
 慌てて引き抜こうとするが……
「ああっ、いきなり動かさないで!」
 彼女が悲鳴を上げ……
「ゴメン、でもっ……」
 …………暴発…………
「ああっ……中で、熱いのが……出てる!?」
 彼女が戸惑った様な声を上げ……
「………………」
 がっくりうなだれる俺。
「ゴメン、出ちゃった……」
 ああ、情けない。穴があったら入りたい。
 ……いや、今入れてるってツッコミは無しで。
 イカン、現実逃避してしまった。
「もう……お互い初めてなんだから、仕方が無いでしょ? まだ出来るのなら、続けて欲しいな」
 俺を抱き締め、彼女が微笑む。
 彼女の気遣いが嬉しい。
 股間のアレも、また頭をもたげてきた。
 我ながら、立ち直りが速いな。
 しかし、これはこれで好都合だ。少し小さくなったおかげで動かし易い。
 またゆっくりと、腰を動かし始めた。
 そして、少しづつ動きを速めて行く。
「あ……ああ……」
 彼女の声が、僅かに変わった。
 感じ始めているのか。
「どうです?」
「何か変。苦しいんだけど……」
「気持ちいいんですか?」
「うん……」
 恥ずかしげに頷く。
「もっと、気持ちよくなって下さい」
 胸を揉み、肉芽を軽く擦る。
 少しでも、彼女が快感を感じられる様に。
「ありがとう。圭一君はどうなの? 私の中……」
 喘ぎながら、彼女が訊く。
「ものすごく良いですよ。さっき出したのに、また出そうだ……」
 いや、マジで。連続暴発は避けたい所だけど……。
「いいよ。何度出しても。もっと気持ち良くなって」
 そう言われただけで、また出してしまいそうになる。
 せめて、彼女にも気持ち良くなってもらわねば。
「ちょっと、体勢を変えますよ」
 そう言うと、俺は彼女の身体を横向きにする。
「ああっ、中で捩じれて……」
「大丈夫です?」
「うん、続けて」
「それじゃあ……」
 更に半回転してうつぶせに。そして、ベンチに手をつかせて後ろから突く。
「ああっ、深い!」
 苦痛と快楽の入り交じった声。あまり派手には動かさず、じっくりと中を擦り上げる。
 ぐちゅぐちゅという音がいやらしい。
 手を伸ばし、彼女の胸をそっと揉みしだく。
「いい……もっと動いても良いよ」
 だいぶ苦痛を感じなくなった様だ。
 ……最も、彼女が気を使ってくれてるだけ、という気もするが。
 それでも何となく、彼女が感じるポイントが分かってきた気がする。
 ……しかし、腰を屈めねばならないというのは計算外だ。
 これで腰を痛めてしまうのも間抜けだ。
 それじゃあ……
 彼女を抱え、ベンチに腰を下ろす。
「これなら自分のペースでも動けるでしょ?」
「うん……」
 彼女は恐る恐ると言った風で腰を動かし始める。
 俺も突き上げたいが、我慢。彼女の成すがままに任せる。
「あっ……ああっ、いい……」
 愉悦の声。
「圭一君も動いて。もっと気持ち良くなろう」
 振り返り、欲情に濡れた瞳で俺を見る。
 俺は彼女の唇を奪うと、その片足を抱えた。
 そして、もう片手で胸を揉みながら、抽挿を開始する。
「ふあぁっ、イイっ……もっと、もっとして!」
 一つ突く度、彼女の肉壷は俺のモノを締め付け、貪る。
 彼女の首筋に舌を這わせ、胸を揉んでいた手で肉芽を擦り……
「駄目、そんな……おかしくなる、おかしくなっちゃう……」
 切羽詰まった声。
 締め付けが一段ときつくなる。
「いきそうですか?」
 正直俺も限界だ。
「お願い、イくときは、圭一の顔を見てイきたいの……」
 何て事言ってくれるんですか。
 一旦彼女をベンチに寝かせ、再び正常位に戻る。
 だが、それじゃあつまらない。
 彼女を起こし、抱き合った格好になる。
 そして、お互い舌を絡めて貪り合った。
「ああっ、いいっ、イきそう……」
 快楽に潤む目で俺を見る。
 俺ももう限界だ。
「イく時言って。俺もイくから!」
 ……まあ、そんなに上手くタイミング合せられる訳は無いが。
 それでも、お互いの快楽の為に腰を動かし続ける。
 正直、また暴発するかもしれない。
「いつイっても良いよ。私の中で、イって」
 背中に回された彼女の腕が、強く俺を締め付ける。
 でも、中は……って、暴発済みか。
 などと余計な事考えているから……
 ヤバい!?
 ぞくり、と背筋を快感が走り、腰の辺りで熱いマグマの様なものが渦巻く。
「ごめん、もう……」
「出して、私も……」
 一際強烈な締め付け。
 それに抗う術は、俺には無かった。
「くっ!」
 熱い奔流が、彼女の中に迸る。
「ああっ、圭一の熱いのが出てる……私も、もう……、ああ〜〜ッ!」
 それを受けた彼女の身体が大きく跳ね、そしてがくりと頽れた。
 慌てて俺が抱きとめる。
 ……イくタイミング、少しずれたけど結果オーライ。
 思わず安堵のため息。
 ……おっと、いけない。
「茉莉花さん……」
 彼女の顔を覗き込む。その瞳に、涙が浮かんでいた。
「ごめん、痛くした?」
 最後は少し、勢いよく動きすぎたかもしれない。
「大丈夫よ」
 そんな俺に気を使ってか、彼女は微笑む。
「嬉しくて……。圭一君とこういう関係になれたから……」
「茉莉花さん……」
「私みたいのなんかに興味無いって思ってたから……」
「誰が何と言おうと、俺にとっては、頼りになる姉の様な人ですよ」
「ありがとう……」
 そう言うと、彼女は俺の頬にキスした。
 そして、二人は身繕いを始めた。
 彼女の股間から垂れる俺のモノを拭いてやり、脱がせた上着を着せる。
「っと、そう言えば」
 ティッシュをベンチ脇のくずかごにほかろうとし、余計な事を思い出した。
「あ、あの……中で出しちゃったけど……」
 今更だが、青くなる。
「大丈夫よ」
 しかし、彼女は笑った。
「私、まだ“来て”ないから」
「成る程」
「そこ、信じない!」
 思わず頷いてしまった俺の耳を、彼女が引っ張る。
「やっぱり私をそんな目で見てたのね」
 じろり、と睨まれる。結構怖い。
「ああっ、ごめんなさいごめんなさい」
 平身低頭、謝る。
「ふふっ、冗談よ。それに、多分安全日だと思うわ」
「ほっ……」
 一安心。思わずため息。
「さ、帰りましょ。お母さんが心配してるわ。私も口添えしてあげるから……」
 彼女は立ち上がろうとし……
「きゃっ!?」
 足下がふらついて、倒れかかる。
 俺は慌てて彼女を支えた。
「大丈夫ですか?」
「ありがとう。少しふらついただけ」
 そうは言うが、無理させる訳にはいかない。
「じゃあ……」
「きゃっ!?」
 そのまま彼女を抱き上げた。
「だ、大丈夫よ……歩いて帰れるって……」
 困った顔で抗弁する。その顔が、可愛い。
「さっきはだいぶ酔ってたでしょ? それに、無理したばっかりだし……」
「でも……」
「それに、いつも俺が頼ってばかりですし、こういう時ぐらい俺を頼って下さいよ」
「そうね……じゃあ、お願い。圭一君」
 そう言うと、彼女は俺の胸に身体を預けた。
 そして、歩き始めて数分後、彼女は安らかな寝息を立てていた。

 ……腕、痺れてきたけどどうしよう(汗

2006/12/04(mon)公開

  

  

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