ポイ捨て実験触手

  
――ガタン
 夜中、実験室で独りデータの整理をしていた私の背後で妙な音がする。
「?」
 振り返る。が、そこには薬品棚があるだけ。
 何か倒れたのだろうか?
 しかし、何も変わった様子は無い。
 私が作業に戻ろうとした時、視界の隅で何かが動いた様な気がした。
「!」
 慌てて視線を向ける。が、何も見当たらない。
 ……気のせい?
 私は疲れているのかも知れない。早く終わらせて、帰って寝よう。
 首を傾げながらも作業を再開した。
 今やっているのは、ある種の生物の組織を培養する実験。そのデータのまとめだ。
 だが、それももう終わる。生温くなったコーヒーを一口すすった。
 ほろ苦い液体が口中に広がる。眠気が霧散し、頭がはっきりした。
 最後の追い込みをするべく、再びパソコンに向かう。
 一見無意味なデータを入力し、グラフで出力していく。
 しかし……
 一見どころか、まとめても無意味な気が。何考えてるのだろう、教授は……
 萎える気持ちに鞭打ちつつ、黙々と作業。静寂の中、紙をめくる音、キーを打つ音、マウスを動かす音だけが、やけに大きく部屋に響く。
 退屈な作業を三十分程続け、ようやく終わりが見えてきた。
 一息つくと、大きく伸びをする。
 その時、
――しゅるっ
 私の首に、何かが巻き付いた。
 何これ……触手!?
 振り返った私の目の前には、人間大の触手の塊。何処に隠れていたのか、と思う間もなく次々と私の身体を触手が襲う。
 さっきの音は、これが……
「…………!?」
 悲鳴を上げようとした私の口に太い触手がねじ込まれ、同時に服の下にも潜り込む。
 そんな!?
 そしてブラジャーをまくり上げると、乳房全体に細い触手が巻き付いた。まるでハムかなにかの様に、触手の隙間から肉がはみ出した。
「あぐっ!?」
 快感と、苦痛。触手は私の胸をきりきりと締め上げ、自在に形を変えていく。触手の表皮から分泌される粘液で、胸はてらてらと艶かしく輝く。その匂いは甘く、脳を痺れさせる様だ。段々正常な判断力が無くなっていくのが分かる。まるで、酒に酔う時の様に。
 締め上げられ、揉まれる度に胸は熱を持ち、熱い疼きが下腹部に生まれた。
 それを察知したのか、別の触手がショーツの下に潜り込む。
――ああっ、そんな……
 抵抗しようとしたが、いつの間にか手足は絡み付かれた触手で拘束されてしまっていた。
 絶望が、私を襲う。
 身体を硬くし、股をきつく閉じたが触手は構わずに潜り込んでくる。
 性器の回りをなで回し、後ろの穴をつつく。
 私はただ快感に悶えるしか無かった。
 と、触手が肉芽を引っ張り出し、絡む。同時に乳首にも細い触手が絡み付く。
「あひっ!?」
 引っ張られた。鋭い痛み。
――嫌、千切れちゃう! 止めて……止めて!
 泣き叫ぶ。が、一向にそれが緩む事は無い。
 いつしか……
 気が付いた時、それすら快感になっている自分に気が付いた。
――そ、そんな……
 私は怯えた。これ以上の快感が与えられたら、壊れてしまうのではないか?
 それが、怖かった。
 強烈な快楽が波打つ様に襲い、悲鳴を上げる事すら出来ずに私はのたうち回る。
 そして、
「〜〜〜!!」
 一際強く引っ張られ、私は最初の絶頂を迎えた。
――こんな事って……
 私は屈辱的にイかされた事に、思わず涙を流す。
 しかし陵辱は、それだけに留まらなかった。
――ずるっ……
 溢れた愛液で重く濡れた下着が引きずり下ろされ、秘所が外気に晒される。
 慌てて股を閉めようとするが、触手に阻まれた。
 それでも何とか足を閉じようと無駄な努力を繰り返す私の目前で、股間に集まって来る触手。
 更なる陵辱の予感に、私は怯えた。
 触手は再び、先刻以上の濃密さで私の秘裂を嬲り始めた。
 執拗に花弁をねぶり、細い触手が内部を掻き回す。そして、後ろの穴も、浅く突き入れられた。
――駄目、そんな……
 最早、抗う気力は無い。為すがまま、弄ばれる。
 後ろの穴の触手が、侵入を開始した。
「あぐっ!?」
 異様な感覚が、私を貫く。
――そんな、後ろの穴なんて……
 太い触手が私の中に入り込んでくる。
 排泄している様な感覚。そして、内部をこすられるおぞましさ。
 それは、少しづつ奥へと潜り込む。
 そして、突如蠕動を始めた。
――まさか……中のものを吸われてる!?
 下腹部がごろごろと異様な音を立てている。その中で、一体何が起きているのか……想像するだにおぞましい。
 奥へ……更に奥へと進んでくる。直腸から結腸へと侵入した触手は、内部を攪拌し啜り込んでいく。その度に、下腹部は灼ける様に熱くなる。触手の放出する粘液が、媚薬の様な働きをしているのかも知れない。次第に、動く度に強烈な快感が私を襲う様になった。
「あはっ、あふっ……ああ……」
 既に私は、呻くのみ。
 もう抵抗出来ないと見たのか、腕の戒めが解ける。
 そのかわり、全身の愛撫がより激しくなった。腕に絡んでいた触手も加わり、私の敏感な所を責める。胸は締め上げられ、秘所は、幾本もの触手に蹂躙されている。
 と、突然股間が針で刺した様な痛みに襲われた。
 次いで、何かが侵入して来る感覚。狭い管を無理矢理押し広げて侵入して来る様な……
 同時に襲う、強烈な尿意。
 まさか……
 それは、もう一つの排泄口。
 激痛にのたうつ私の事など知らぬ気に、奥へ、奥へと。
――裂ける……裂けちゃう!
 私は恐怖に怯えた。
 身体をよじり、逃れようとした。が……それも無意味だ。
 とうとうそれは、膀胱まで侵入した様だ。
 幾らか痛みは和らいだ。と、突然排尿している様な感覚に襲われた。
 しかし、外に漏れてはいない様だ。ということは……
――こっちも吸われている!?
 おぞましい快感が私を貫く。
 一気に迸る事は無い。それだけに、屈辱的な放尿は長時間続いた。
「あ……ああ……」
 暫し後、両方の触手の蠕動が止まった。前後とも全てを吸い尽くされた様だ。
 同時に気力すら吸い尽くされた様だ。ぐったりとしたまま、荒い息をつく。
 そしてとうとう……
 私の淫口に一際太い触手が触れる。
――なっ……
 まさか、と思う間もなくそれは侵入を開始した。
「あ〜〜っっ!!」
 あまりに太い触手が容赦なく私の中を蹂躙していく。僅かな苦痛と、これまでに無い強烈な快感が弾けた。同時に、その前後の触手も動き出す。また、全身の愛撫も。
 幾度となく太い触手が子宮口を激しく突き上げ、腸内では、媚薬効果のある粘液をまき散らしつつ蠢く。尿道では、細い触手が細かく蠕動を繰り返し、痛みと快楽を同時に私にもたらしていた。胸は幾本もの触手に縛り上げられ、いやらしく形を変えている。
 私は幾度となく絶頂に押し上げられ、未知の快楽にむせび泣いた。
 そして、最大の絶頂とともに、私の意識は弾け、白い闇に飲まれていった……

 ……朝?
 窓から差し込む日の光に、私はようやく我に帰った。
 体中についた赤い痣は、昨晩の事が夢ではない事を物語っていた。
 では、あの触手は……
 足元を見る。
 と、そこには干涸びた触手の塊と、割れた瓶。
 これは、確か……
 って、この前教授がゴミ箱に捨てたサンプル!?
 教授〜〜!!!!
 ……でも、気持ちよかったから良いか(あれ?

  

投稿日:2004/10/30(Sat) 11/30改訂版掲載

  

ネコミミ実験わくわく

  
――保健室
私は理科室からこっそり持ち出した機材を使い、とある実験を試みてい た。
幾つかの遺伝子サンプルを培養し、それを薬品に溶かしていく。何度か混 合、分離を繰り返し、いつしか液体は無色透明になった。
「……よし、これで完成ね」
私は試験管の中の液体を眺め、満足げに頷いた。
念の為、成分を分析してみたが、問題は無い。
「さてと、後は臨床実験なんだけど……」
それをコップに移してはたと気付く。
自分でやるべきか?
そう思っていた時、扉をノックする音が響く。
「どうぞ」
慌てて実験器具を片付ける。
「すいません、少し休ませて」
入ってきたのは、宮津先生。新任の教師で、英語を担当。私の後輩でもあ る。
長い黒髪に、色白の顔。女性としては背が高く、プロポーションも良い。
「どうしたの?」
「ちょっと熱っぽくて……」
少しだるそうに椅子に腰掛ける。色白の頬が、心無しか紅潮している。
念の為に体温を測ってみたが、やや微熱がある様だ。
「風邪みたいね。少し休んでいくと良いわ。あ、これ、風邪薬ね。それと、 水はここにおいておくから……」
「ありがとう……」
彼女は薬を飲むと、ベッドで横になった。
そして一時間後、身体が楽になったと言って出て行ったのだが……
ああっ、さっき渡したコップ、試作のネコミミポーションだった!(汗
……まあいいや。丁度実験したかったんだし。
わくわくしながら、彼女の姿を観察する事にした。

  

投稿日:2004/11/07(Sun) 11/28改訂版掲載