魔天戦鬼 1話
  

――ちゅぷ……くちゅ……
 薄暗い室内にいやらしい音が響く。
 放課後の理科準備室。レースのカーテン越し、窓の下のグラウンドで運動部の連中が練習しているのが見える。
 俺はそれを横目に、机の上に横たえた島野先輩を愛撫していた。
 小柄で華奢な身体。まくり上げられた制服から覗く、小振りだが形の良い胸。抱き締めたら折れそうな細い腰。白い肌とコントラストを為す、不釣り合いな程の深い叢。
 彼女の上に覆い被さると、ツンと上を向いた胸の先端に舌を這わせつつ、叢の奥、真っ赤に充血した秘裂を指先でまさぐる。そこは既に熱く潤みを帯び、俺の指を、奥へと誘う。
 奥へと突き込み、中指の先端で上側の壁をまさぐる。
「ン……あっ……」
――くちゅ、くちゅ……
 指を動かす度に彼女の口から快楽の喘ぎが漏れ、淫らな水音が響く。溢れた蜜が泡立ち、会陰を伝って机上に小さな水たまりを作っていく。
「あぁ……気持ちいい……。もっと、もっとして」
 知的で整った顔、その眼鏡の奥の瞳は快楽に潤んでいる。そして、彼女の指先は、いつの間にかズボンから取り出した俺のモノに絡み付いていた。
「凄いな……もう、こんなに濡れて。待ちきれないかい?」
 蜜でぐっしょり濡れた指先を、彼女に示す。
「うん……ずっと待ってたの。授業中も身体が火照って、下着も濡れてたわ。でも、恭将君も凄く大きい……早く、これで貫いて……」
 欲情に濡れた声。
 しかし……
 俺の心に、苦い思いが浮かぶ。
 だが今は、目の前の事に集中しよう。
「へいへい。でも、いいのかね? 優等生の生徒会長が、札付きの俺なんかとこんな事してて……見つかったらどうするんだい?」
 苦笑を浮かべて見せる。
 彼女は成績優秀で、先生の信頼も厚い生徒会長。一方の俺はというと、入学早々に目を付けられた札付きだ。
 端から見れば、奇妙な組み合わせだろう。
「そんな事、気にする事ないわ。それに鍵かけてるし、“噂”のおかげで誰も近寄らないわよ」
「噂、ねぇ……」
 聞いた事がある。この理科準備室で、骨格標本が室内を歩き回っていたとかいうものだ。最初に聞いたのは他愛のないものであったが、次第に尾びれが付いて大袈裟になっていった。
「まさか、と思うが……」
「正解よ。噂を流したのは、私。正確には、大袈裟にしたのが、だけどね。だって、するのに人が来ない方が好都合でしょ?」
「はは……」
「さっ、納得したら続きお願いね」
「はいはい、と……ここは?」
 つぷ……
 後ろの穴に、指を突っ込む。
「あんっ! お尻、いい……」
 彼女の身体が一つ大きく震え、指がきつく締め付けられた。と、同時に前の穴からごぽりと蜜が溢れる。
「感じてるのかい? 触ってないのにこんなに溢れてきたぜ。指だけじゃあ、もう我慢出来ないだろ?」
「お願い……じらさないで」
 泣きそうな声で、俺に囁く。
 こっちももう我慢が出来ない。そろそろ良いだろう。
「分かった、入れるよ。脚を開いて……」
「早く……もう、私……」
 彼女の太腿に引っかかったままの濡れた下着を抜き取ると、脚を大きく開かせる。そして、俺のモノをあてがった。
 そして……
「早く……はや……ひいっ!?」
 俺は彼女を一気に貫いた。
 熱い泥濘が俺のモノを優しく、それでいて逃さぬ様に包み込む。そして、舐めずる様にざわめいて、何度もきつく締め付けた。
「あっ! ……ああ……」
 彼女の視線は宙をさまよい、身体はがくがくと震えている。だらしなく開いた口からは、微かな喘ぎ。
「イっちまったのかい? でも、こっちは入れたばかりだからな……」
 一度引き抜くと、再び一番奥まで突き入れる。
 彼女の身体が、跳ねた。
「ふぁあっ! そんなに激しく動かないで! イったばかりだから……」
「いいぜ、何度イっても」
 腰の動きを加速する。
――ぐちゅ……ぬちゅ……
 淫らな音が、部屋に響いた。
 粘膜が擦れ、絡み付いてくる。
「ああっ、突いて……深く、もっと深く!」
 欲情に濡れた声で、彼女が叫ぶ。
「島野先輩……」
「お願い、名前で呼んで!」
「美奈……ン!?」
 俺の口を、彼女の唇が塞ぐ。
「ああっ……あぁ……」
 彼女が最も感じる部位を重点的に突いていく。その度に彼女の口から熱い吐息と甘やかな嬌声が漏れた。
「ふああ……むぐっ」
 俺はその口に舌を差し込み、貪った。熱い舌が絡みあう。
 そうしながら、既に硬く尖っている胸の先端を指先で摘み、転がす。
「いい……そこ、感じる……」
「そうか……それなら」
 彼女の唇から喉元、そして胸へと舌を這わしていく。やがて片方の胸の頂点へと到達すると、軽く歯を立てた。
「ひゃん!?」
 彼女の身体が跳ね、締め付けがきつくなった。
「!」
 強烈な快感が、俺を襲う。
 ……ヤバかった……
 あやうく中でイってしまう所だった。一旦彼女から引き抜く。
「何で止めるの!? お願い、続けて!」
 切羽詰まった声。
「今度は、後ろからな」
 一つ大きく息を吐き、自分を落ち着かせる。そして、彼女の手を取って立たせた。
「ああ……腰が蕩けて力が入らないわ……」
 甘えた声で、俺にしがみついてくる。
「大丈夫か? そこに……」
 窓際の壁に手をつかせた。
「は……早く入れて! 焦らさないで……」
 彼女は泣きそうな声で、叫ぶ。
「ああ……入れるぜ」
 今度はゆっくりと、彼女の中の感触を楽しみながら入れていく。
「あ……もっと、もっと奥まで……」
「分かってるって」
 そう言いながらもじわじわと挿入し、ようやく一番奥まで辿り着いた。
 そこは、まるで飢えていたかの様に俺を貪る。
 腰の奥で、熱い疼きが捌け口を求めて渦巻くのが分かる。もうすぐ限界だ。
 それでも、更なる快感を求めて腰を動かし始めた。
 彼女の腰を掴み、一気に突き入れる。
「あっ、あぁ……激しい!」
「こうして欲しいんじゃないのか?」
 喘ぐ彼女を後ろから抱きすくめ、その胸を揉みしだく。
「胸、感じちゃう……イっちゃう……イっちゃう!」
 びくん、と彼女の体が跳ねる。
「イイぜ……こっちもいきそうだ……」
 俺は腰の動きを速めた。彼女の喘ぎがいっそう大きくなる。
「あ……っあぁ……ンっ! 恭将君、イって! 一緒に、一緒にいこう! ……! あぁっ〜〜〜!!」
 絶頂の嬌声とともに彼女の身体が大きくのげ反り、俺のモノがキツく締め付けられる。
 と、同時に俺も限界に達した。
「くっ!」
 あわてて抜き取ると、崩れ落ちた彼女の白い尻の上に放出する。
「はぁ、はぁ……もの凄く良かった……。中で出しても良かったのに……」
 彼女は満足げに微笑むと、悪戯っぽい笑みを浮かべた。
「そういう訳にもいかないだろう?」
 彼女の傍にかがみ込み、俺の出した物を拭いてやる。
「ふふ……残念ね」
「おいおい……」
「冗談よ」
 本当か嘘かは、表情からは伺い知れなかった。
 どう答えたものかと逡巡する。が、
「……時間ね」
 その時、予鈴が鳴った。
「行きましょ。あまり先生に目を付けられるわけにはいかないものね」
 彼女は少し寂しげに笑うと、身支度を整え始めた。
「ああ。……じゃあ、また今度な」
 俺には、苦笑で答えるしかない。
「恭将君も、遅れない様にね」
 そう言い残すと、彼女は身を翻した。
「さて、俺も行くか……」
 制服の上着を着ようとした時、手に触れた物がある。
 それは、幼なじみの少女にもらった翡翠の勾玉。ペンダントにして、肌身離さず持ち歩いている。
 思わずそれを、握りしめる。
「睦月……」
 瞼の裏に、気の強そうな顔立ちの少女の顔が浮かんで、消えた。

06/01/03公開

  

  

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