用心棒にエプロンネコミミ
「……で、君は一体何が出来るんだい?」
俺は護衛に雇った少女剣士に聞いた。
「剣の腕なら自信はあります。後、魔法も少し」
彼女の答えは自信に満ち、有無をいわせぬ説得力があった。
……ごく一部を除いてだが。
何にせよ、お手並み拝見か。
そして、その機会はすぐに訪れた。俺の率いる隊商の一行は、王都から出て暫くの所で山賊に襲われたのだ。
「敵襲だ! 戦えるものは剣を取れ!」
俺は叫ぶと、腰の剣を抜き放つ。
数年前までは冒険者をやっていたので、少ばかり剣には自信がある。
抜き放つや否や、目の前の男を袈裟懸けに斬り捨てる。
そして、側面から斬り掛かってきた相手を一突き。鳩尾に剣は突き立つ。致命傷だ。口からごぼりと血を吐いた。しかし、
「ちっ……」
まずい。剣を抱え込まれた。
舌打ちしつつ剣を放し、短剣を抜いた。が、その時、背後から襲いかかる影。
「くっ!」
短剣で剣を受ける。
しかし、あっさり跳ね飛ばされてしまった。男は嘲りの笑みを浮かべると、剣を振りかぶる。
万事休すか!?
俺は覚悟を決めた。
……?
しかし、そこで突然何故か男は動きを止めた。
口から血を吐き、どうと倒れる。
何が起きた!?
「油断大敵ですね」
彼女だ。
にこりと笑うと、細身の剣に付いた血糊を一振りして払う。
そして、次の敵に向かっていった。
その姿を見て、俺にはもう出番が無い事を悟った。
軽やかに舞う様に剣を振るい、次々に敵を斬って捨てていく。
……あらかた片付いたか。
俺は安堵の息をつきつつ、彼女の戦う姿を眺めた。
いい腕だ。これからずっと彼女を雇おう。
俺はそう決めた。
しかし……しかし、何故ネコミミエプロンなのだ!?