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ハーデスは器として、この世で最も美しい心の持ち主を選びます。 今回、寄り代として選ばれたのは、マイメロちゃんでした。 さすがはハーデス、見る目があります。 マイメロちゃんを冥界に連れてきたハーデスは、早速マイメロちゃんに乗り移ろうとしました。 しかし。
「な、何だこのぬいぐるみは。恐ろしい、……恐ろしいーーー!!!」
ハーデスは、マイメロちゃんの内面に怯えて、エリシオンに飛び戻り、そのまま泣きながら、お籠りになってしまわれました。 きっとまた、200数十年の時がたたない限り、エリシオンから出てくることはないでしょう。 あらあらおかしいですね。マイメロちゃんはこんなに可愛くてキュートで愛らしいのに、何が御不満だったのでしょう。
マイメロちゃんは、せっかくなので、ハーデスの代わりをやってあげることにしました。 「ハーデスマイメロ様、聖域への侵攻の準備が整いました。御命令を!」 「はーい。」 三巨頭をはじめとする、108の魔星の冥衣をまとった冥闘士達が、ハーデスの玉座にちょこんと座ったマイメロちゃんの前に跪いています。 そしてマイメロちゃんのすぐ側には、パンドラが深く頭を垂れていました。 マイメロちゃんは椅子の上に立ちあがると、おもむろに云いました。
「喧嘩をしたら、めっ。なんだよ。」
「それよりマイメロ、皆にタルト焼いたの。紅茶もあるから、一緒に食べよ?」 マイメロちゃんは、冥闘士の皆、そしてパンドラに、手ずからタルトと紅茶を配って回りました。 マイメロちゃんのタルトは、心もほっぺもとろけて落ちる極上のおいしさ、人々の心をふんにゃり甘く優しくします。 もちろんマイメロちゃんは、後で双子神に持って行ってあげる分のタルトも、用意していました。
「聖闘士さんって、何人いるのかなあ。マイメロ、聖域にもタルトを持って行ってあげようと思うの。」
ハーデスの寄り代として選ばれたマイメロちゃんは、心優しく愛らしい、素敵な素敵なぬいぐるみさんです。本当です。 こうして、今回の冥界と聖域の戦争は回避され、マイメロちゃんは冥闘士の皆と一緒に、楽しく仲良く暮らしたのでした。
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2008/02/03 |
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