ウソップとサンジ ルサン・ゾロウソ前提 

「ウソーップv」
 べったり。と。
 サンジがおんぶおばけのようにウソップに張り付いてくる時は、大抵ろくでもないお願い事がある時である。
「なあなあ、今晩、お前の工場貸して。」
「せめて疑問形で云うくらいの遠慮はないのか。」
「今夜の見張り、お前だろ。下使わないだろ。」
「人の工場で何をする気だ。」
「そりゃ、もちろんナニをv」
「可愛子ぶるな!!」
 甘えたおねだり口調を崩さないサンジに、ウソップはつい声を大きくしてしまった。
「えー、だって、今晩ルフィと約束したしさー。でも、出港したばっかだから、食物倉庫一杯で狭いし。けちけちしないでお前んとこ貸せよ。」
「……お願いします、人の工場をラブホ代わりにしないでください……。」
 しかしサンジもへらへらした口調を崩さないので、ウソップはがっくりと肩を落としてしまった。
 サンジはウソップをびしっと指で指す。
「おれにもルフィも、専用の場所がないんだから仕方ねーだろうが。ナミさんとロビンちゃんには女部屋があるし、展望室はほとんどマリモが独占だし、お前にはウソップ工場があるのに、おれには場所がないってのはどういうこった。」
「ダイニングがあるだろうが。」
「ありゃ、共有スペースだ。図書館とか風呂とかアクアリウムと一緒だ。いつ誰が来るか判ったもんじゃない。食糧庫は狭いし、おれだってたまにはのびのびやりたい。」
「……胸張らないでください……。」
 堂々と主張するサンジに、ウソップの肩どころか、鼻まで下向きな勢いである。
 云い分は百歩譲って判らないこともないが、サンジはそっち方面のことについて、いつもあれこれとウソップと話をしたがるのでとても困る。
「立ったままってのもいいんだけどな、回数したい時は疲れるし、おれの体支えてくれようとするのはいいんだけど、ルフィの腕でぐるぐる巻きにされんのって、嬉しいんだか不気味なんだか判んないよなー。」
 今もいつの間にか、狭いところでやる時の体位について、楽しそうに話されていたりして、非常にいたたまれない。
 ましてや、ウソップの好きな体位について聞かれたりしては、どうしたらいいのか。
「あーもー判ったからっ! でも、汚すなよ、絶対! それから、いるもんは全部自分で持ち込めよ、おれの使うなよ!」
「おう、サンキュー。」
 半分やけになったウソップが許可を出すと、サンジは嬉しそうににっこり笑った。
「大丈夫、毛布もローションも持参するし、……あ、なあ、お前らは塗る物、何使ってる? こないだ冬島だったから、温感ローションっての買ったらこれがなかなかいい感じでな。礼ってことで、余った分置いてってやろうか。」
「そんな礼はいりませんー!」
 もうウソップは、顔どころか、耳も鼻の先も真っ赤だった。
 とりあえずは、夜食の差し入れを豪華にしてもらうということで、話をつけたのだが。

 サンジに頼まれたと、それを届けに来たのがゾロで、そのまま朝まで展望台に居座られたりしてどーのこーのとかはともかくとして。


「サンジくん、忘れものです。」
 翌日、工場をチェックに行ったウソップは、非常に嫌な忘れ物を発見してしまった。
 憮然として差し出された袋をサンジは受け取り、中を除いて。
「あ、わりい。」
「わりいで済ますな!」
 そう、その忘れものというのは、ぱんつだった。
「おれのじゃねーもん。っていうか、ルフィ……まさかのーぱんなんじゃ。」
 サンジは突然、鼻を押さえた。
「……サンジ?」
「やばい、鼻血吹く。」
「吹くな!」
 サンジは何をとち狂ったのか、本日のルフィのーぱん疑惑に、発情してしまったらしい。
「なーウソップ、今晩も工場貸して。」
「絶対やだ!」
 ウソップは断固として拒否をする。
 常々ゾロがサンジを指して云う『エロコック』という言葉、確かにそうだと、ウソップは全力で納得してしまうのだった。
 
2009/02/17 



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