心をこめて 4 

 ゾロに頭を撫でられながら、甘えて泣く。
 今までにない深い快感と、前にふれられずに達してしまった覚束無さに、何故か泣いてしまったのだが、ゾロが優しくあやしてくれるから、気持ち良くなって目一杯甘えてしまった。
「ゾロ、キス……。」
 はっきりした声にはならなかったが、ゾロはちゃんと聞きとって、ウソップにキスしてくれる。
 ウソップの唇を含むようにして舐め、呼吸が苦しくないかと気にするように離れるが、もっとと追いかけると、深く重なり貪られた。
 余韻が強く残る体は、肌を撫でる大きな手にまた高ぶり始める。
 少し酔いは覚めてきたが、快感に力が抜け切り、ぐんにゃりとする体をゾロがしっかり抱き締めてくれた。
 そうなると気が付くのは、ウソップの中で強く脈打つ、まだ果てていないゾロのものだ。
 一度意識すると、熱くて硬いそれが刻む鼓動を秘肉は鋭敏に感じ取り、冷めないままの快楽の余韻を煽り出す。
「ゾロ、もっと……。」
 羞恥心が完全に消えている訳ではないが、ウソップの中で激しくゾロのものが脈打っていて、このままでは可哀相だと思った。
 それに、ウソップももっと感じたかったから、ゾロに先をねだる。
 散々に解されて焦れ切った秘奥を、ゆっくり貫くゾロのものに信じられないほど感じて、それだけで達してしまった。気持ち良かったけれど、物足りないという気持ちも残っていた。
「…んっ、は…ぁ……。」
 ゾロは嬉しそうに笑うと、ウソップの体を揺すり、腰を揺らして突き上げてきた。
 そっと持ち上げられて、落とされる。
 秘肉がゾロの熱塊に擦られ、背筋を駆け昇るぞくぞくが、全身に伝わっていく。
 ウソップの中はすっかり敏感になっていて、ゾロのものが引き抜かれるたびに切ないようなしびれを生み、付き込まれるたびに甘く沁み渡った。
 懸命にゾロの首にしがみつき、ウソップは込み上げる快感に止まらない声を洩らした。
 ゾロの手が、ウソップのものに伸びてくる。
「やああんっ。」
 ぎゅっと握られて、ウソップは思い切り大きな声を上げてしまった。
 快感を覚えた奥所をゾロのものに擦りあげられるのも気持ちいい、けれど、前のものを刺激されるのは、馴染みの深い直接的な快感が駆け抜ける。
 ウソップが先刻放ったものか、それとも秘奥に塗り込められたものと同じか、とにかく何かで濡れたゾロの手は、早い動きでウソップのものを扱き上げ、急速な快感を呼び寄せた。
「あ、やだ、うそ、……またいく、ゾロ、やあ……。」
 達してまだ程ないのに、全身が快楽に包まれ、肌も、ゾロを飲み込んだ粘膜も、狂おしく震えだす。
「いけよ、……っていうか、早くいってくれ。」
 ゾロはウソップを揺すりあげながら、うめくように呟いて、唇を押し付けてきた。
 ぐいと擦りつけ、離して、はあっと荒い息を吐く。その息が肌をくすぐるのにさえ、ウソップは感じてしまうのに。
「おれも、もたねえよ。ウソップと一緒にいきてえんだ。……なあ、頼む。」
「ゾロ…っ。」
 甘えと切なさの入り混じったような声で、ゾロは低くささやいた。
 ゾロがどれだけ必死に耐えているかは、ウソップの中にあるものの鼓動の激しさで判る。
 腰を強く引き寄せられ、ゾロの体を挟んで開いた、脚の付け根が痛いほど震えた。
 快感に耐えようとしても、そのための力が体にうまく入らない。
 うずく秘肉をゾロのもので一杯に擦り上げられ、新たな蜜に塗れたウソップの先端を、指でぐりぐりと揉み込まれる。
「や、あああっ、ゾロ、いく…っ、ん、ああっ。」
 全身に張り詰めたように行き渡る快楽を、そこに集中させるように自身を扱かれる。
 痛いほどに熱が集まり、泣き叫ぶウソップを、ゾロの熱い腕が抱きしめた。
「ウソップ…っ。」
 ゾロのものが体内で強く脈打ち、更に大きさを増して、ウソップを中から押し広げる。
「あ、ゾロっ、……ああああぁっ。」
 がくがくと震えるウソップの奥深くに、迸るゾロの熱流を感じる。
 ゾロの絶頂に押し上げられ、ウソップは全身を震わせながら、また達していた。

「……抜くか?」
 少し落ち着いたウソップの耳許に、穏やかさを取り戻したゾロの声が低くささやいた。
 ウソップが小さくうなずくと、腋に手が添えられ、ゆっくりと持ち上げられる。
「んっ……。」
 質量を減らしたゾロのものが抜け出る感触と、それに続いて伝う濡れた感触に、ウソップはぶるりと震えた。
 ゾロの膝の上に抱き直され、優しいキスがふれた。
「どうする、もう寝るか。」
 そんなことをささやかれ、ウソップはびっくりする。いつもなら続けて二回目に突入している筈で、いやその前に、抜くかと聞いてくれたこと自体が珍しいか。
 黙っていられずにそれを聞いてしまうと、ゾロは困ったように頭をかいた。
「今日はウソップ優先って決めてたんだよ。……正直、足んねえけどな、それはまた明日するからいい。」
「おい。」
 結局明日回しならば疲労が翌日に延期されるだけのことで、ウソップは思わず速攻で突っ込む。
 べしべしとゾロの胸を叩く手を握られ、指先に口づけられた。
「誕生日くらいはな。お前のいいようにしてやりたいし。」
「いやお願いですから、普段から大事にしてください……。」
 ウソップはがっくりと肩を落としてしまったが、しかしゾロは真剣だ。
「ウソップ抱いてると自制できなくなるんだ。惚れてんだから、仕方ねえだろ。てめえが可愛くて、やらしい面するから悪い。」
「何だよそれー。」
 怒ればいいのか照れればいいのか、ウソップは反応に困って、ゾロの肩に突っ伏した。
 ウソップの背中を、ゾロがぽんぽんとたたく。
「好きだ、ウソップ。誕生日、おめでとう。」
「……おう。」
 何だか無性に口惜しいような気もするが、ウソップは耳まで赤くなってしまった。
 最中に云われるのも色々とくるが、こうして穏やかに云われると、嬉しいやら恥ずかしいやらで息が詰まる。
「あー、何だ、ゾロくん、もう一回だけならしてもいいぞ。」
 ウソップは照れ隠しに威張ったような口調で云った。
「いいのか。」
 ぱっと嬉しそうに笑ったゾロは、ウソップを肩から引きはがし、顔をのぞき込んでくる。
 惚れられてるなあと、そんな気持ちがストレートに胸に落ちて、ウソップもつられて笑ってしまいながら、ゾロの頬にキスをした。
「今度はゾロが上になってな。んで、おれ様優先で、ゆっくり良くしてくれること。できるか?」
「できる。」
 ゾロはにやりと笑うと、ウソップをふわりと持ち上げ、毛布の上に横たえた。
 覆い被さってくるゾロの重みを、心地よく抱きしめる。
 ぐしゃぐしゃとウソップの髪をかき交ぜながら、ゾロは深く唇を重ね、じっくりと口内を舐め回してきた。
 口づけながらゾロの手はウソップの肌を撫で、すぐに2回目に突入する気ではないらしいあたりに、更なる喜びを感じる。
 いつもはゾロの激しさに流され、熱に浮かされて、すぐに訳が判らなくなってしまうから。たまにはこんなふうにゆっくりと、扱われるのはいいなあと思った。
 ゾロからの愛情を、ゆっくり実感しつつ確かめられるから、とても嬉しい。
「大好き、ゾロ。」
「……おう、おれも好きだ。」
 照れつつも、しっかり答えてくれるゾロに、ウソップは笑う。
 とても幸せな、誕生日の夜だった。
 
2009/04/19 




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