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2003年の短歌

2003年1月

2003年2月

2003年3月

3月中旬。久しぶりに短歌を作ろうとしてみた。

あの日から十年経って錠剤を持ち歩く人になってしまった

鉄筋五階シャトーハイムの屋上にて携帯電話をかぱかぱする影

もう雰囲気が消えてしまった揮発しやすい人なのだろう

つぎつぎに古くなってゆく食材を包括的なカレーにします

3/16

工房に行く。眠い眠い瀬戸際で我慢してイメージを考えた。

春の夜米を焼きながら脳味噌が詰まっていることを考えた

信号機をネムリネムリと呼ぶくらい眠い私が運転をします

最終の電車に乗ってユリカモメちらっと見えて世界が終わる

辺境とか言ってみたくて原付を西へ西へと走らせています

なか卯とか、吉野屋とか、松屋とか、ファミリーマートとか、見えています

3/21

からまった材木とかが螺旋状に融けていくまでひねりをかける

3/25

そういえば二月六日も12分55秒のところで果てり

2003年4月

すっぱだかでジェットコースターに乗り込んで叫んだ願いは叶うらしいよ

親指を紺の手帳に挟まれて線路の前で動けない姉

「二輪車は二輪」
「三輪車は三輪」
 口ずさみつつ人を殴りぬ

「もし君が銃を持ったならたぶんロクなことをしないだろうから」射殺

永遠を煮詰めたジャムは火曜日の清掃局に運ばれてった

透明が生産される一方で煮詰まってゆく臓物の赤

閂は午前三時に閂の声で「閂、閂」と啼く

恋人が夜半を過ぎても帰らねば鬼神の如くカレーを作るなり

うつむくとこの特急は前へ前へと走っていることしかわからない

2003年5月

全自動で折り畳まれた恋人の上に乗っかったままで日曜

その汚れは買った時からあったのかそれとも君が汚したものか

もっともっと催眠術がうまかったら殴らなくてもよかったのにね



みんなはもう知っているのと言われたからポリゴンにしか見えなくなった

天上から舞い落ちてきた絵葉書を右脳左脳のあいだに挟む

巻き舌が震える午前 風が少し強くなった午後、自転車を買う

失恋はありふれている電線が風に鳴るのもありふれている

キスをするために外した縁無しの俺の視力が猫を見ている



二十回生まれ変わるならそのうちの一回は海の匂いが似合う・・・・・・

「度重なる無礼に堪忍袋の尾も・・・・・・」あるみにうむのばらがさいたよ

その昔キリンの首をへし折った極悪非道の神の左手

坂道を駆け上がりたい もしくは うじゃりうじゃりした虫を踏みたい

僕はそのうち王様王様王様になるから君はセンター試験を受けろ

この国の夜は相当酷いからやっぱりわたしは短歌をつくる

バス停でぴょんと目が合った学生も誰かのことを好きなのだろう

二十回生まれ変わるならそのうちの十五回君のおっぱいを吸う

2003年6月

「電磁波は体を通り抜ける」とか考えていれば夜は短い

コロン・セミコロンをまとって君の名は天国行きのリストに載った


煙草屋の角を曲がって少し行くとファミリーマートが突然にある

よっぽどのまぬけやろうもここへきてチェックメイトとあいなりました



サーバーが見つかりませんサーバーが 空はこんなに晴れているのに

「サーバーが見つからない」と言う君の斜めうしろでごはんを食べる

「サーバーが見つからない」と言う君のうしろ姿を見ながら眠る

サーバーを探しに行こう 空を飛ぶ黄色いプロトコルにまたがって

一晩中することがない君のため二段ベッドでサーバーを飼う



フラッシュバック・洗濯機の渦・星月夜・眠れずに道でくらくらとする

マタドールになりたがってたKくんは本当にマタドールになった

カメラマンになりたがってたOさんも本当にカメラマンになった

2003年7月

2003年8月

2003年9月

2003年10月

2003年11月

やみくもにかきまわしたら手の中であたたかいのは魚の卵



キスをした瞬間どこか別の場所であくびのなかに吸い込まれる蚊

階段で立ち止まってはいけないという法律がドイツにあった

切手から生まれた切手左衛門に塗りたくられた甘い水のり

昼間っから手首を締めるこの輪ゴムはいったい何の合図なんだか

2003年12月

「回転をもう少し速くしてください」(うつくしいものを見せてください)

ようやくに泣きやんだかと思ったら「明るすぎる」と文句を言った

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