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鬼の飼い方
日時: 2008/11/14 16:27
名前: 鬼畜ヒスイ

若輩者ですが、これからお世話になると思います。どうかよろしくお願いします。
ご指摘やご感想など、いただければ嬉しい限りですので、遠慮せず言いたいことを言ってください。

一応あらすじ
偶然の邂逅を果たした二人。加虐的な一面を持つ気ままフリーター、犬飼綱吉。『鬼』と形容されながらも心のどこかに悲壮を抱える家出少女、水鳥水鶏。二人の調教と愛の日々を描いた物語。

檻ノ零§1〜4まで
>>1-5

檻ノ壱§1〜4まで
>>6-13

檻ノ弐§1〜+まで
>>15-23

檻ノ参§1〜2まで
>>25-30

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Re: 鬼の飼い方 ( No.12 )
日時: 2008/10/16 13:09
名前: 鬼畜ヒスイ

 今、クイナの白い裸体が俺の股下にある。熱く、今にもはち切れそうな程そそり立つ、肉棒の下に。
 両腕を頭の辺りに投げ出し、両足は軽く閉じて「ハ」の字に膝を立てた格好のまま、押し退けようともせずに細めた目で股間を凝視する。心なしか視線は泳いでいるが。
 このままショーツを剥いで彼女の秘穴に突き入れて、情熱的なパトスを吐き出せばどれほど気持ちの良いことか。白濁の毒液を所構わずに吐き掛けたら、なんと官能的な情景になるか。想像するだけで、俺の息子が狂喜する。
「ヤリたきゃ、ヤレばいいだろ……。女一人、犯せないヘタレ野郎か?」
 悪態を吐くクイナの声が、どこかしら緊張が混じり息を上がらせている。
 駄目だ、まだそれではケモノ同士の交尾でしかない。俺の目的は、彼女を犯すことではなく、『鬼』を飼うこと。だからこうして、昨日は何もせずに首輪だけをつけたのだ。
「お、おいッ。お前、ちょっと待てよ!」
 クイナが狼狽するのも無理は無い。
 撫でるでも、舐めるでもなく、ただ鼻頭を絹の如き肌に沿わせて呼吸してだけ。
「走って、来たんだから……汗臭いって」
 自分の体臭を嗅がれて、やっとクイナが小さな抵抗を見せた。それでも、俺の顔を押し退けることも出来ないぐらいの力で、だ。
「良い匂いだ。君は、こんな匂いをしているんだね。こっちは、どんな匂いがするのかな?」
 ヒクヒクと鼻腔を広げながら、少しずつ下半身へと移動してゆく。
「ぅぅ……んッ」
 何を隠そうとしているのか、クイナが身を捩りながら下半身を鼻から遠ざけようと足元へと移動する。
 執拗に追い縋る鼻。必死にもがく下半身。
 それを何度か繰り返してから、もう少しでベッドから落ちそうなところで止まる。
「クックックッ……。可愛いな、君は。そんなに嫌がらなくても、俺は君の全てを受け入れるつもりなんだけど」
「ば、馬鹿野郎……」
 意地悪そうに、それよりももっと愛おしそうに、耳元で囁いてやる。クイナは、顔を背けて小声で雑言を吐き捨てる。
「次は……?」
「どうしたい?」
 クイナの問いを中途半端に、俺は選択肢を突き付ける。
 一つは、ショーツの端を引っ張りながら弄ぶ。もう一つは、視線を入り口に置かれたリュックへ投げかける。
 クイナは、選びあぐねているかのように俺とリュックを交互に見比べた。処女を奪われるか、体の自由を奪われるか、どちらかで揺れ動くクイナの視線。
 こればかりは、俺にも予想は付きかねる。見知らぬ男に抱かれる不安、それとも自由を奪われて鳥篭の中で弄ばれる恐怖、どちらもクイナにとっては選び難いものだっただろう。
 だが、彼女は選んだ。
Re: 鬼の飼い方 ( No.13 )
日時: 2008/10/16 13:09
名前: 鬼畜ヒスイ

 俺から逃れるようにベッドの枕元に戻り、自らブラジャーのホックを外して床に放り投げる。同様にショーツも。
「欲しいなら上げる、私の初めて。後生大事にしてても、意味なんてないから」
 胸の内に澱む不安を隠し、処女を捧げようとするクイナが、この世の何よりも愛おしいと思える。最初から、彼女は『鬼』などと形容されるべき少女ではなかったのだ。
 純粋で、穢れの無い無垢な存在だったはず――。
「それじゃあ、頂くよ」
 言って、俺はクイナの体に覆い被さった。
 最初にベッドに押し倒したのと同じ格好だが、手は力強くシーツを握り締めていた。
 大きくも小さくも無い、ちょうど大人の掌に納まるお椀型のハリのある胸に、そっと触れる。始まりは優しく、次第に強く、円を描くようにして練り回す。
 クイナがか細く呻く。
「ぅふッ。あ……ん」
「痛いか?」
「何か、くすぐったい。続けて……」
 クイナの懇願に、次は小さいながらも自己主張する薄桃色の乳房を指で弾く。
「んッ」
 数瞬、体を捩らせる。
 更に乳房へ舌を這わせたり、飴を舐めるようにして口の中で転がしてみる。クイナは声こそ上げないが、何度となく体を小刻みに震えさせた。
 もうそろそろ、下の方も我慢の限界が来ているだろう。触れずとも、脱ぎ捨てられたショーツの染みを見ればどんな状況か想像がつく。制服を脱いでいるところから、既に彼女は妄想を膨らませていたのだ。
「もう準備は良いね。入れるぞ」
 そう言って俺は、ジーンズを破らんとばかりに勃起したペ○スを解放する。ビンッと弾けるようにして現れた肉棒を前に、クイナは顔のみにあらず全身を赤に染めた。
「や、やっぱりだめぇ。そんなの、入らないよ……」
 予想外の大きさに動揺するクイナ。と口では言いつつも、逃げようとしない辺りに本心が表れている。
「下のお口は、欲しがってるみたいだぞ」
「やぁ……ッ。入るわけないじゃん!」
 最後の抵抗とばかりに、俺が広げようとする足を必死に閉じる。だがやはり、さして力も入れずに広げられてしまう足。すぐさま間に体を捻じ込み、閉じられなくしてしまう。
 そして、潤沢と蜜を滴らせる女性器――ワ○ナまたの名をマ○コに突き付けられて、観念したかのように口を噤むクイナ。諦観とは恐ろしいもので、クイナの体は弛緩剤を打たれたようにダラリと力が抜けている。
 ペ○スが、ゆっくりと恥穴の割れ目を押し広げる。
「ぅぅ……いッ!」
 下腹部に太い肉棒が進入してくる感触に、痛みを堪えようと歯を食いしばる。
 まだ亀頭も入り切らぬところで、薄い壁にぶつかる。嘘偽りのない、本当の処女膜だ。
 俺は、躊躇うことが彼女を更に苦しませることだと知って、勢い良く肉棒を突き入れた。
「い、ぎッ……!」
 歯を食いしばった顔が仰け反り、苦悶が声となって喉を振るわせる。愛液とともに赤いものがシーツを汚した。
「大丈夫か?」
「こ、これぐらい、大したことねぇーよ。ナンパ野郎を殴った時に、指を骨折した時の方が、これの倍は痛かった」
 俺の心配する言葉に、強がりかも分からぬ弱々しい苦笑を浮かべて見せる。その強情さは、やはり『鬼』と形容するだけの少女のそれだろう。
「ねぇ、キ、ス、まだ……」
 肉棒が恥壷の奥を求めようとしたところで、不意にクイナの両腕が双肩を掴む。その懇願に、クイナが歳相応の少女であることを、思い知らされるのだ。
 望むなら、望むとおりにしてやろう。
 引き寄せられるままに体を倒し、唇を重ねる。軽いもののつもりが、口内へ侵入してきたクイナの舌が、それがファーストキスであることを知らしめるように無秩序に蠢く。
「ふ、う、あふぅ……ん……んんっ」
 彼女の拙い心が、拙いながらも求めようとするものとは、いったい何なのだろうか。
 口付けに言葉を奪われている間に、肉棒が彼女の心の奥へと侵入を試みる。クイナは嬌声を堪える代わりに、俺を強く抱きしめた。
 クイナの小さな恥壷には、半分を突き入れるのが精一杯だ。本来、喧嘩をするには小さくて、華奢な少女。こうして、俺の肉棒を引き千切らんと恥穴を縮めるだけでも、体の下で彼女が焦燥していくのが分かる。
 この先は、これからの楽しみに取っておけば良い。だから、俺は早々にクイナの中へ白濁を撒き散らす。
 ――それを穢すのが、俺の本質なのだから。
かおるからの連絡 ( No.14 )
日時: 2008/10/16 20:56
名前: かおる
参照: http://www.pandora.nu/summer/

ここまでを小説ページにアップしました。

はじめました。
感想が付くといいですね。
これからもよろしく。
Re: 鬼の飼い方 ( No.15 )
日時: 2008/10/19 23:11
名前: 鬼畜ヒスイ

檻ノ弐・鬼には豆より縄を

§1
 冷たい水が徐々にお湯へと変わり、サーッと体を湿らせる。
 クイナは、目覚めて直ぐにシャワーを浴びた。断りを入れるべき家主は、未だにベッドの上で惰眠を貪っている。
 温水の温もりが体中を満たす中、クイナは昨夜のことを思い出す。
 目覚めた際、寝ぼけたクイナは、何ゆえ自分が裸で男の隣に寝ていたのか思い出せなかった。こうして体を温めて、やっとのことで昨夜の出来事が脳内を反芻する。
(あぁ、そうか……昨日はあいつと……って!)
 全てを思い出したところで、急に恥ずかしさが込み上げてくる。
 今更遅いのだが、考えただけでも自分の行為がどれほど愚かなことかを自覚した。見知らぬ、出会って一日程度の男と、
(セ、セ、セッ○スッ!)
 をしたのだ。
 忘れようにも、一度思い出すと頭から離れない情景に、クイナは戸惑う。何度か頭を壁に打ち付けてみても、漫画のように記憶を失うことは出来ないらしい。
 額が痛くなってきたところで、忘却を諦めて風呂場を出る。まだ、少しだけ、大人になったところが痛む。
 そう言えば、綱吉に精を打ち込まれたのだ。それが、もっと浅はかなことだと思う。一度も男と経験の無いクイナは、避妊薬などというものを飲んでいないのだ。
 だから、一度とは言え可能性を否定できない。
「ゴムぐらい付けろってぇの……」
 悪態を吐きながらも、どこかでその感触を確かめるように腹部を撫でる。気付けば、思わず微笑んでいる自分が鏡の前に居る。湯気に少し曇った鏡に映る自分の姿。腕に青痣が残っていたりするが、体は雪原の如き白を保っている。
 しばらく自分の体に見惚れていると、唐突にドアノブが回る。
「ッ?」
「あ、わりぃ。やっぱり、これしかなかったのか」
 体を震わせて視線を向けたそこに、綺麗に折りたたんだ制服を持った綱吉が居た。まだやや寝ぼけ眼で、クイナと見詰め合う。
 自分が裸であることを思い出したクイナは、制服を掻っ攫うと慌てて洗面用具諸々を綱吉に投げつける。
「早く出てけ!」
 一度は落ちかけた頭の血が、再び顔を赤く染めるのが分かった。
 昨日はすんなりと裸体を晒せたというのに、一晩経ってそれがどれほど恥ずかしさに耐えぬものかを思い知るのだ。けれど、そこにあるのは『羞恥』のみであり、『恥辱』や『屈辱』といった忌まわしいのもではない。
「……ばーか」
 綱吉が立ち去ってから、クイナは小さな声で悪態を吐く。その顔が、鏡の前で笑っていたことに気付いただろうか。
 そして、クイナは制服を着て部屋に戻った。
 戻ったところで、綱吉は朝食のカップ麺にお湯を注いでいる。もちろん、クイナの分を含めて二つ。
「なぁ……、これも昨日の宿泊代に含まれるのか?」
 フッと思い至ったことを、聞いておく。
「うん? 別料金でいいなら、もう少しヤらせて貰ってもいいぞ」
 シレッと答える綱吉。
 視線はどちらかと言うと、性欲よりも食欲に向かっている。冗談のつもりだったのだろうが、その態度が妙にクイナを苛立たせた。
「ふがっ?」
「誰が別料金なんて払うか!」
 綱吉を足蹴にして、自分の分のカップ麺を手に取る。
 少し不機嫌な風を装い、背を向けながらもさほど距離はとらず、出来上がったカップ麺を啜る。
「それで、あんたはどうするの?」
「どうするって、今日の予定か? それなら、バイトがあったと思うから……あるから、昼から夜まで居ないぞ。って言うか、お前もそろそろ家に帰れ」
「わぁってるおッ。はえればいいんだお」
 突き放すような言い方に、クイナは麺が口に入っていることを忘れて怒鳴り返す。
 気付いてみれば、二日も家に帰っていない。まあ、毎度のことだからこれぐらいで心配する両親でもない。いや、もしかしたら、
「また、来ても言いか……?」
 考えかけた可能性を否定したいがために、クイナは綱吉に問う。
「……宿泊料とるけど」
 やっぱり、と言わんばかりに口だけの返事。今は、食欲を満たすので精一杯らしい。
 綱吉よりも早く食べ終えたクイナは、立ち上がって部屋を出て行く。別れの挨拶は無い。二人の間に、別れを告げるような絆はないのだから。
Re: 鬼の飼い方 ( No.16 )
日時: 2008/10/19 23:11
名前: 鬼畜ヒスイ

 小さな家を出た後、クイナは電車に乗って自宅の近くまで戻ってきた。時間は九時を過ぎたところなので、家に居るのは母親だけだろう。
 家の前まで付くと深く溜息を吐き、意を決して玄関を開ける。二日ぶりの匂いが、懐かしく鼻腔を擽った。玄関を上がってリビングへ向かう。
 人の気配がなかったが、
『日本の南西で発生した熱帯低気圧は次第に勢力を増し、明日、明後日には台風となり沖縄本島を直撃するでしょう』
 付けっぱなしのテレビが台風情報を伝えているなら、誰かが残っているはずだ。
 案の定、来客を勘違いした母親が寝室のある二階から降りてくる。
「帰って……来てたの」
 果たして、振り向いたそこに居る母親は、本当に母親なのだろうか。まるで毒虫でも見るような、冷たい瞳で自分を見据える母親。
 そいつは、本当の産みの親ではない。クイナが高校に上がる前、父親が見つけてきた再婚相手だ。思い出せる限りでは、再婚を伝えられたその日からクイナは今のように荒れた。五歳ほど年上の姉は、既に就職先を見つけて家を出ていた。
 最初は再婚した母に反発する程度だったが、次第に勉強する気力を失い、今のように不良が集まる高校にしか入学できなくなる。それからも、母親面をする目の前の女に苛立ち、絶えず喧嘩をする日々が続く。
「……ただいま」
 短い一言を残して、クイナは二階の自室へ駆け上がる。
 これ以上あの女と居ると、怒鳴り散らしながら家を出て行かなくてはならない。そんな苛立ちを必死に抑えるクイナへ、呼び止める声が掛かる。
「ねぇ、最近学校に行ってないんでしょ? どこに泊まってるの?」
 また、いつもの母親面だ。
「どこだって、良いだろ。友達の家だよ、友達の……」
 階段の途中で、拳を握ったまま振り向かずに答える。それ以上の問答などしたくなかった。だから、クイナは自室へと駆け込む。
 外から忌まわしい声が聞こえてくるが、聞かないように努める。耳障りな声、耳障りな言葉、自分の愛する部屋だというのに、そう思えなくなった。
 クイナは旅行用のボストンバックに服や下着、生活用品を幾らか詰め込んで部屋を出た。部屋の前で喚いていた女を突き飛ばし、制止の声に振り向かず走る。
(お前の娘は、一晩男と寝て帰ってきてやったよ。ざまーみろ!)
Re: 鬼の飼い方 ( No.17 )
日時: 2008/10/19 23:12
名前: 鬼畜ヒスイ

§2
 行きつけのレンタルビデオ屋諸々が立ち並ぶ街の、少し外れに俺のバイト先はあった。大型スーパーの一角にある、中華料理のテナントだ。
 近々、ここよりも都心に近いところにデパートが建つことになっている。そのお零れに与ろうと、幾らかのテナントがそちらの系列と合併するなどの変化があった。
 たぶん、立地条件の所為でもあるのだろう、最近はお客さんの数も減ったのだ。これまでは満席もあった昼食時さえ、埋まっている席は数えるほどしかない。
 あわただしいのが嫌いな俺としては、ゆっくりと仕事が出来るというのは嬉しいのだが。
「いらっしゃいませぇ〜」
 レジの前にやってきた――ここでは注文はセルフ――女性客に、営業スマイルなんぞ浮かべて接客する俺。似合わない。
 似合わないといえば、可愛い服を着たクイナもどうなのだろう。など、バイト中であることを忘れて想像してしまう。
 それで、ついつい接客をするのを怠ってしまうのだ。
「おいおい、綱ちゃん。お客さんが待ってるよ」
 ゴッツイ体格のオジサンが、苦笑を浮かべていた。
「あっ、申し訳ありません……。二百三十円のお返しになります」
 お釣りを手渡し、注文を厨房の方へ届ける。
「どうしたの、考え事なんてしちゃって。それに、女の人の前ばかりで」
 先刻のオジサンが、怪訝そうに聞いてくる。
 このオジサンが、このテナントの店長にしてコック長である。体格は隆々としているが、気前の良いお人よしとも呼べる人だ。
「あ、いえ……。別に、何でもないんです」
 流石に、家に連れ込んだ女子高生のことを考えてました、などとは言えず誤魔化そうとする。しかし、店長の目は誤魔化せない。
「あの子のことか……別れたんだっけ」
 そして、妙にずれている勘に感謝するべきだろう。
 店長が言い出した人物のことは、早いところ忘れて欲しい。俺も、忘れたい。ただ、今まではほとんど思い出さなかったのだ。
 それが今になって、そう、クイナと出会ってから頻繁にその姿を思い出す。
 二年前、別れてから音信不通が続く一人の女性。名前を思い出すのも億劫になる、初めて俺が愛した人。
 出会ったのは、ここでバイトを始めて直ぐのことだ。お客さんとしてやってきた彼女は、トレーに乗ったラーメンを厨房に向けてぶちまけるというそそっかしさを見せた。無論、被害を被ったのは接客に当っていた俺。ラーメンは大好きだが、流石にぶっ掛けられるのは勘弁だ。
 それから、彼女は度々ここへやってくるようになる。軽い火傷にぎこちない動きを見せる俺が、見るに耐えなかったのか、お詫びのつもりで友人なんかを連れてきて注文してくれたりもした。
 今にして思えば、それがこの店の全盛期でもあったのか。
「違いますよ。勉強のことで、ちょっと悩んでるだけですよ」
「そうかい。まあ、近々、その悩みも解決するだろよ……近々な」
 誤魔化そうとする俺の気持ちを汲み取ったのか、店長は詮索するのを止めて厨房へ戻ってゆく。
Re: 鬼の飼い方 ( No.18 )
日時: 2008/10/19 23:13
名前: 鬼畜ヒスイ

 それからは、俺も物思いに耽ることはなくなって着々と接客をこなす。十二時から始まり、途中で一時間ほどの休憩を挟んでから夜の八時、片付けを終えて俺は帰路に付く。
 客が少なくなったとは言え、休憩を挟んでも八時間立ちっぱなしの勤務状態に俺の足腰は軽い疲労を訴えた。帰り道の途中で、久しくまともな夕食にありつこうとコンビニに寄る。
「ふぃ〜。もっと、楽して稼げる仕事って無いかね……?」
 なんて愚痴を零してみるも、世の中はそれほど甘くない。
 バイトをする前は楽なものだと思っていたコンビニのレジ打ちも、こうして見てみると額に汗を浮かべている。こうして、夕食をコンビニ弁当で済まそうとしていることが、申し訳なく思えてしまう。
 適当に店内をぶらつく俺は、フッと視線を本の棚に向けた。青少年向けの週刊誌やら、『パチンコ必勝法』などとのたまう雑誌が所狭しと並ぶ。そこで、なにやら気になる文字を見つけたのだ。
『貴女の恋愛秘話募集中』
『恥ずかしい写真投稿』
『こうして私は大人になった』
 なんて見出しを出す、成人向けの雑誌だ。
 俺は、フッと過ぎった考えを振り払う。
「何考えてんだ、俺は……」
 馬鹿馬鹿しい提案は一蹴され、俺は足早に弁当やオニギリの並ぶ棚を目指す。今日は、久しく唐揚げ弁当なんかを買ってコンビニを出た。
 それから愛車を走らせること十分程、都心から離れるに連れて木々が増える道に出る。一つ一つの民家が十メートルは間を空けて立ち並ぶ、東京とは思えぬ地域。
 駅からも遠い故に、俺の住む借家は月々三万程度の家賃で済んでいる。バイトが週二回、月給が五万から六万なので、家賃を払っても幾らか余ったお金で生活が出来るわけだ。
「嬉しい限りだ……うん?」
 アルバイト一人生活の有り難味に感謝していると、見え始めた借家の窓から明かりが漏れているのに気付く。電気は出る時に確かめたはずだ。
 ならば、と考える間も無く原因に思い至る。
「あいつ、まだ帰ってなかったのか……」
 家にたどり着いた俺は、未だに居座ろうとする家出娘のことを考えて呆れる。
 説教したところで突っ撥ねてくるだけだろう。一喝すれば、渋々と帰るか。などなどクイナを説得する手段を考えながら、玄関を開ける。
 そして、家に入るなり今までの考えは吹き飛んだ。
『…………』
 二人の視線が、静かにぶつかり合う。
 玄関で靴を脱ごうとしている俺と、気まずそうにこちらを見つめるクイナ。クイナの手には、無雑作に解かれた荒縄がある。足元にも、幾つかリュックの中身が散乱している。
 心の奥底で眠っていたもう一人の俺が、毒蛇の如く鎌首をもたげた。
Re: 鬼の飼い方 ( No.19 )
日時: 2008/10/19 23:14
名前: 鬼畜ヒスイ

§3
 何気なく、この家に戻ってきたのは夜の七時ぐらいだった。
 自分の家を飛び出してから、しばらく色々な店を歩き回ってみた。腹腔で澱む苛立ちを吐き出そうと、行き着けのカラオケボックスにも寄った。
 思う存分、誰もいない小部屋で歌声を披露したはずだ。なのに、胸につっかえた何かが取れない。喉に刺さった小骨みたいに、ジクジクと私の心を蝕んでゆく。
 カラオケボックスを出た後も街を徘徊していたが、夜が訪れると増え始める馬鹿なナンパ野郎を二人ぐらい殴り倒して、この家まで戻ってきた。外にいるより、自分の家の自室に居るより、なぜかここは落ち着く。
 ここへ来て、制服からワンピースタイプのカットソウに着替えたクイナは、ベッドと卓袱台に挟まれた定位置で膝を抱えてうずくまる。暇だったので、綱吉が借りてきたビデオを適当に見たが、やっぱり面白いのは無かった。自分のやっていることは、もしかしたら不法侵入なのではないか。
「出て行けって言ったら、出て行ってやるよ……」
 前科持ちにはなりたくないので、善良な自分の声に独白を返す。
 暇だからという理由に限らず、なぜかクイナはソワソワと時計を確認する。八時を前にして、家主の帰宅が待ち遠しい。
「べ、別に……あいつが居ないと、勝手に飯も食えないからな。それだけだッ!」
 誰も尋ねる者など居ないのに、クイナは一人で怒鳴り散らした。
 家に入る分なら、既に顔見知りの――性交までした――仲で遠慮も無いが、勝手に食べ物を漁るのははばかられた。とは言え、食べかけのスナック菓子では腹の足しにならない。
 八時を過ぎ、そろそろ空腹の限界に達したところで、クイナがカップ麺へ手を伸ばそうと立ち上がる。そこで、足に触れる卓袱台の下のリュック。
 不意に過ぎる想像。
 もし、昨夜、綱吉との性交を選んでいなければどうなっていたのだろう。リュックの中に入っていた荒縄で簀巻きにされ、無理やり犯されていたのか。
「違う、よな? こんな細い紐、千切ろうと思えば……」
 頭に過ぎった想像を消そうと、リュックから取り出した荒縄を力任せに引っ張ってみる。割と、堅い。
 続いて、危ない好奇心を持ってしまったクイナは、リュックの中を探ってみる。そして出てくるは、出てくるは、大人の玩具の群れ。
「何だ、こりゃ? うっ……形が何か卑猥」
 ただし、大人の玩具に関しての知識が乏しいクイナには、ローターやらバイブといった道具の使い方が分からない。
 そして、不思議な道具に興味を示すのも早かった。ダイヤル式のスイッチを入れると震えだすローターに驚いたり、ウネウネと回転するバイブを意味もなく振り回してみたり、子供が新しい玩具で遊ぶのと同じ感覚だったが。そうしている合間に、時間は八時半を指しかける。
 もしかしたら、最初の一日目にリュックの中身を見ていたとしても、逃げ帰ったりはしなかっただろう。
「それにしても、これはどう使うのかね?」
 もう一度、マジマジと荒縄を観察する。
 一般に、縄とは物を縛ったり結びつけて使うものだ。仮に昨夜の使い道としては、クイナを縛るための物であったのは確かだろう。要するに、拘束するためだけの縄ということ。
「別にさ、こんなの使わなくても暴れたりしないつぅーの。ホント、男って何考えてるのかわかんねぇーや」
 悪態を吐きながら荒縄を弄くるクイナ。
 そこで、待ち望んだ家主の帰宅を知らせるスクーターの音。喜びに頭を上げるが、逆にリュックの中を勝手に見た罪悪感が襲い掛かる。
 扉が開き、家主の綱吉が姿を現す。呆然の二人は見つめあい、クイナは気まずそうに顔を顰める。
 だが、綱吉は怒った様子もなく靴を脱いで部屋に向かってくる。その顔は、どこか不気味に微笑んでいた。
「興味があるのか? 試してみたいのなら、飯の後にしてもいいが?」
 その問いかけに、クイナはしばし逡巡してから肯く。特に何かを考えたわけでもなく、肯く以外に道がないように思えたから。
 二人でカップ麺を食べながら、コンビニの唐揚げ弁当を突っ突く。まさか、自分が喰われる側に回ろうとは思いもよらず。
Re: 鬼の飼い方 ( No.20 )
日時: 2008/10/19 23:17
名前: 鬼畜ヒスイ

§4
 ことは、俺が思っていたよりも早く訪れる。
 もう少しゆっくり懐柔していこうと思っていたのだが、昨夜と言い今日と言い、彼女が本質に目覚めるのは時間の問題と言えよう。彼女が本当の快楽というものを知らなかっただけか、それとも俺が思っていたよりも高いイニチアティブを持っていたのか、分からない。
 けれど、彼女はこうして俺の前に居る。
 初めは服を脱ぐように命令しても、昨夜と同じ反抗的な目を向けるだけだった。が、抗えぬと分かると直ぐにワンピースタイプのカットソウを脱ぎ始めた。コスモスの絵柄をあしらった秋物らしいワンピースが、クイナの手から床に落ちる。
 まあ、これがまた意外にも似合っていたので、脱がすのが勿体ないぐらいだったのは余談である。
 ワンピースの下から露になったのは、昨日とは違う真紅のブラジャーとショーツ。
 子供らしいあどけないワンピースと、大人びた赤の下着。決して交わると思っていなかった二律背反の容姿に、更に激情が高ぶるのだ。
「ぬ、脱ぐのか……?」
 ついつい舌なめずりをしていた俺に、クイナが恥ずかしそうに問う。命令されて脱ぐ恥ずかしさよりも、似合っていないのでは、と俺の凝視を勘違いすることに顔を赤らめているらしい。
「いや、そのままで良い。汚したくないのなら、脱いでも構わないけどね」
 相変わらず、こうなると口調が変わってしまう俺だった。
 それに、この微笑も、この狂喜も、本来の俺ならば浮かべることの無いものだろう。
 クイナは、これからどんなことをされるのか分からず、数秒ほど考えを巡らせてからそのままの格好で落ち着く。
 俺はクイナを立たせた格好で近づき、解けかけた荒縄を一本に解す。十メートル前後の荒縄を前に、クイナの顔が少し引き攣る。
「首を絞めたり、しないよな? い、命の保証は……?」
 やはり、クイナはそうした知識に乏しいようだ。
「大丈夫だよ。首には掛けたりもするけど、息が出来ないような締め方はしない。ほら、手を除けろ」
 ここまで来てさえ、俺の言葉を信じるつもりなのか、クイナは赤い下着の上から手を除けた。
 まず、半分に折った縄で輪を作り首に掛ける。そして胸部一つ、腹部に連なるよう二つ、下腹部に一つの輪を作る。次に股下を縄が潜ろうとしたところでクイナが足を閉じそうになり、太腿を平手で叩いてやる。
「痛ッ」
「閉じるな。今度閉じたら、首を絞めるぞ」
 俺が脅すと、恐る恐る隙間を作るクイナ。
 そうだ、その怯え恥じらいを堪える顔が良い。お飯事をするみたいにやっても、面白くは無いのだ。
 背中まで回した二つの先端を首の輪に通し、下ろしてきた先端を脇の辺りで二つに分ける。それを小さな双丘の上から胸部の輪に通し、何度か捻るように結びながら再び前へもって行き、双丘の下から輪に通す。それを今度は腹部と下腹部の輪にも通す。
 ここまでなら、まだ俺を叩きのめしてでも逃れられる。もし、このまま俺の思惑通りに行けば、彼女は飼い犬ならぬ飼い鬼として俺に跪くだろう。
「腕を後ろで組め」
 耳元で囁くようにして、命令してやる。
 クイナは擽ったそうに体を捩り、初めての縄の感覚に肩を跳ね上げる。それは、そうだ。動きに合わせて、縄が開き切っていない割れ目に食い込むようになっているのだから。ショーツを脱がせなかったのは、必要以上に割れ目を擦らない配慮でもある。
 まあ、布の一枚があっても縄の快楽を押し留めることなど出来ないのだが。
「ふぅ……ふぅぅ……」
 もう既に、襲い掛かる快楽にクイナの息は上がり始める。恐る恐る後ろに回された腕に、余った縄の結びつければ完成だ。
 正面に菱形が並ぶ割と有名な縛り方で、亀甲縛りと言えばその手の人間には直ぐ理解できるだろう。ちなみに、簀巻きにした程度なら、プロにでもなれば間接を外して脱出できる。が、こうした特別な縛り方というのは縄を切らない限りは抜け出せないようになっている。
 要するに、クイナは囚われの鳥として俺の目の前に佇んでいる。
「これはまだ緩い方だが、逃げられると思うなよ。それから、縄を身につけている間は俺のことを――」
 言葉を切って、クイナを強引に前に向かせた。
「――ご主人様と呼べ。分かったな?」
Re: 鬼の飼い方 ( No.21 )
日時: 2008/10/19 23:18
名前: 鬼畜ヒスイ

「……ッ!」
 初めて、クイナの顔が恥辱で染まる。
 セッ○スをする分には『恥』で留まるそれも、縄を打たれて格下に成り下がれば『辱』が付け加えられる。
 もう一人の俺は、その顔を見るのが大好きだった。俺とは違い、三度の飯よりも。
「どうした、このままの格好で一晩突っ立っているつもりか? 頼んでみたらどうだ、何なりと。お前のご主人様は、お前を苛めるのが大好きなんだぞ」
「だ、誰が呼ぶかッ! お前にお願いするぐらいなら、このままでも逃げてやるよ!」
 俺の言葉に喰いかかるクイナ。口ではそう言いつつも、足を動かす度に荒縄が割れ目を擦るのだ。逃げようにも逃げられず、ただ縄の快楽に顔を歪めるのであった。
 ならばこれならどうだ、と俺はクイナをベッドに押し倒す。無理に足に力を入れると縄が食い込むので、クイナは簡単にベッドへ押し倒される。
 俺はリュックから取り出したピンク色の、空豆大の玩具を手にベッドへ上がる。ダイヤル式のスイッチを少し回すと、ブーッと音を立てて震えだす玩具。それを、怯えてたじろごうとするクイナに近づけてゆく。
 足を掴んで逃げられなくする。眼前に近づいてくるローターから、クイナが目を逸らせる。僅かに、瞼の隙間から涙が漏れている。
「ひうッ。あ、あぁ……」
 目を逸らせている間に、ローターを膨れかけの乳房へ触れさせる。クイナが、鳴き声を上げる。
「ひあぁぁぁ――ッ! や、やめてぇ!」
 更に強く押し当てれば、嬌声と懇願が同時に漏れた。痛いわけでもなかろうが、くすぐったさと痛みの間に位置する感触が堰を切らせるのだろう。
「そうか、止めて欲しいか。じゃあ、止めてやろう。ただし、こっちは止めてやら無いがな」
 乳房から離したローターを、今度は恥豆――クリ○リスと縄の間に挟み込む。それだけで、思わぬ快感でクイナは背筋の限界まで背中を反らせた。
「――ッ!」
 声にならぬというのは、そう言う声なのだろう。
 処女を失い、初めて絶頂に達したのだから無理もないが、クイナは力なくベッドに横たわる。
 その晩、街外れの小さな借家に少女の嬌声は留まることを知らずに響いた。
 一度目の絶頂から目を覚ましたクイナは、卓袱台の前で欠伸を噛み締める俺に気付く。
「お、お前……何しやがる。ぶっ殺してやろうか?」
 落ちかけた瞼を擦る俺へ、そんな暴言を吐き捨てる。
 どうやら、ご主人様への口の利き方を覚えていないと見える。ならば、もう少し躾を続けるまで。
「なあ、君は自分の格好を忘れたのか? 君が、既に飼われているということも、気付いていないみたいだね」
 俺は、息を荒くして睨み付けてくるクイナに、その不敵な微笑みを浮かべる。
 気絶してからも、まだ解いていない縄。そして、未だに恥豆との間に挟まったローター。そのスイッチが、どこにあるのかをクイナは認識していない。
 しばらくして、クイナはようやく俺の手の中にそれがあることに気付く。ハッと息を呑む息遣いが、俺にまで聞こえてきた。
「ま、まて、待って! 取り消す、今の取り消すか……ひうッ」
 遅い。
 謝ればいいものでもないし、一番の問題は暴言を吐いたことではない。飼い鬼が飼い主に吼えれば、それを叱りつけるのも飼い主である。
Re: 鬼の飼い方 ( No.22 )
日時: 2008/10/19 23:18
名前: 鬼畜ヒスイ

「既に出てしまった言葉は、飲み込めないんだよ。でも、俺は寛容だからね。ちゃんと、謝れれば許してあげよう」
 ニコニコと、天使の如き微笑を浮かべてチャンスを与えてやる。
 目の前でローターの微動にもがく少女は、謝り方を知らないので一字一句教える優しさもある。
「ご、ごめ、んなさ……ひッ! ゆるし、ふぁ、あぁぁ……ぅあ、は、はい」
 泣きじゃくりながら、秘部を責める快楽に耐え、言葉を必死に紡ぐクイナ。
「ご主人様、は?」
 ちゃんと、誰に赦しを乞うのかを言わなければいけない。
「う……くっ」
 まだ、俺のことを飼い主と認めることができないらしい。ならば、もう少しキツイお仕置きをしてやろう。
 スイッチのダイヤルを二目盛りぐらい動かすと、ローターの振動が更に激しくなる。
「は、ぐっ……ご、ご、ご、ごめんなはひ! ごひゅひん……は、はまッ!」
 この程度にも耐えられず、ビクビクと体を跳ね上げて、身悶えしながら必死に赦しを乞おうとする。
 ショーツでは吸い切れない蜜が、縄を黒く濡らしながらベッドに滴る。シーツが、オネショをしたみたいにグチャグチャだ。
「まあ、良しとしよう。まだまだ躾けることはあるけど、続けてやると君が壊れちゃうからね。それじゃ最後にやらせてもらうよ」
 最後まで言うか否か、俺はジーンズを脱ぎ捨ててベッドに上がる。
 十分に快楽を味わった恥壷は、前戯などいらぬほどに露を滴らせる。邪魔なローターだけを抜いて、縄の隙間からショーツを捲ると、肉棒が小さな割れ目を容赦なく押し広げた。
 しかし、十分に濡れているとは言え、流石に二度目ではスンナリと飲み込めないようだ。
「あ、あふぅ……も、もっと、優しくして……ひぃ、あ、あ、あぁ」
「くッ」
 押し込もうとする力と、押し出そうとする力がぶつかり合い、脈動を早めた膣穴に肉棒は引き千切られそうになる。
 何度か、小刻みに腰をストロークさせることで、徐々に肉棒を飲み込んでゆくクイナの穴。肉壁が絶妙にペ○スを揉み、根元まで入りかけた肉棒がマ○コの敏感なところを擦る。
 下腹部へと凝縮する、執拗な責苦で高まった欲望。
『ぅ――ッ』
 二人の声が重なり、絶頂の協奏曲が冷たい夜に奏でられた。
Re: 鬼の飼い方 ( No.23 )
日時: 2008/10/19 23:18
名前: 鬼畜ヒスイ

§+
 その夜、二人は体を寄せ合って床で毛布に包まっていた。
 ベッドはクイナの愛液で濡れているので、流石に上で眠ることは出来ない。明日にでも干そう、と落ちかけた意識の中で考える綱吉。
 クイナは、責苦の疲れと夜の睡魔に意識を朦朧とさせながら、ゆっくりと寝返りを打つ。目の前に、シャツだけを身につけた綱吉の胸板がある。クイナは、縄は解かれたが裸体のままで、服を着る気力など残っていなかった。
「なぁ……どうして、あんなことしたんだよ?」
 いつもと同じ、気丈に振舞おうとして出た問いかけ。
 もちろん、あんなこととは今夜の責苦を示す。
「あ、えっと。辛かった? ごめん、ああなると自分でも止められないんだよ」
 綱吉自身でも、二重人格なのではと思ってしまうほど、もう一人の彼は乱暴だ。
 綱吉の申し訳なさそうな声に、クイナは声を窄める。
「うん、と……苦しいけど、その――」
 言葉を区切り、毛布から少しだけ上目遣いに顔を出して、
「――気持ちよかったから、良い……」
 たぶん、初めて漏らしたクイナの本音だと思う。
 決して楽なものではなかっただろうが、彼女の本質はその責苦を受け入れた。それが少女には、苦しませるだけの責めではなく、愛するための責めであると分かっていたから。
 まるで綱吉とは反対の、粗暴さの裏に隠れた快楽を求めるもう一人のクイナ。その二人であるが故に、分かり合えたのだろう。
「そっか。じゃあ、また可愛いクイナを見せてくれよな」
 男は残った力で、小柄な少女を引き寄せて頭を撫でてやる。
 優しく頭を撫でられる感触に、いつしか感じた温もりを思い出し、少女は男に体を押し付ける。
 聡明で、本当は愚かな男。
 粗暴で、本当はか弱い少女。
 二人は、凍える夜を抱き合って過ごした。
かおるからの連絡 ( No.24 )
日時: 2008/10/23 19:51
名前: かおる
参照: http://www.pandora.nu/summer/

ここまでを小説ページにアップしました。
Re: 鬼の飼い方 ( No.25 )
日時: 2008/11/14 16:20
名前: 鬼畜ヒスイ

檻ノ参・飼い鬼の刻印

§1
 それからというもの、俺とクイナの一つ屋根の下で行われた。既に宿泊を通り越し、自分の家のようにクイナは振舞う。
 俺が目を覚ませば、そこに風呂上りのクイナがいる。自分で服も着ずに居間までやってくるクセに、俺が目を覚ましていると顔を赤くして足蹴にしてくる。
 まあ、らしいと言えばらしいのだが、そうした態度が更にもう一人の俺の陰湿さを高めることをクイナは知らないようだ。
 例えば、
「早く飯ぃ〜」
 バイトから疲れて帰ってきた俺に、クイナは全く立場を弁えない言葉を投げかける。そんな彼女に、もう一人の俺はお仕置きと称して、縛り上げてから執拗にローターで恥豆や乳房を責め立てる。
 最初はローターの振動で軽く達するのだが、途中からは達する寸前でスイッチを切る。
「……?」
 怪訝そうな顔で見つめてくると、再びスイッチを入れて敏感な恥帯を責める。また、達しかけたところでスイッチを切る。それを何度か繰り返し、子供のようにクイナを焦らせて遊ぶ。
 恥辱で顔を紅潮させたクイナが顔を伏せても、もう一人の俺は彼女の心を読んでいるように絶妙なタイミングでスイッチを切り替えるのだ。
「イきたいのか? イきたいんだろ? ほら、なんてお願いするんだったかな?」
 執拗に焦らされ、恥壷から蜜を滴らせるクイナにその台詞を言わせようとする。何度か教えたにも関わらず、クイナは自らその台詞を口にしようとしない。
『お願いします、ご主人様。淫らな私に慈悲をお与えください』
 など、その時に多少の違いはあるものの、飼い主に対して敬意を払うように教えている。
「お願い、します……。どうか……な私にご、じひを……」
 モゴモゴと口を動かして羞恥に全身を火照らせるクイナを、観察してもう一人の俺は悦ぶ。悦に入る俺に対し、クイナは『鬼』なる眼光をぶつける。
「まだ、ご主人様への態度がなっていないな」
 それがまた、終焉を迎えぬ責苦の始まりとなるのだ。縄にしろ、玩具にしろ、所詮は仮初めの快楽にしか過ぎず、クイナの目が本当の快楽を切望し始める頃にようやく終わりは来る。
 息も絶え絶えになったクイナの割れ目に、俺の肉棒が突き刺さる。リズムも何も考えず、躾の反動で高まった欲望を吐き出すためだけに前後する。
 目の前でクイナが喘ぎ、苦しむことさえもう一人の俺には関係のないことだった。独り善がりの欲望で、愛しき少女の小さな恥壷に精をぶちまけて一日が過ぎる。
 そして、泣きじゃくる少女を俺が慰める。頭を優しく撫でて、耳元で愛を囁きながら。そうして嗚咽を収めた少女は、一日の疲れを癒すために俺の腕の中で眠るのであった。
 そんな流れを二、三日続けたある日、その日は訪れる。
Re: 鬼の飼い方 ( No.26 )
日時: 2008/11/14 16:21
名前: 鬼畜ヒスイ

§2
 綱吉に躾けられながらも、彼との生活を始めて三日ほどが過ぎた。そんなある日の朝、クイナは珍しく昼過ぎになってから目を覚ます。
 昨夜も、日課のように受けた躾が軽い疲労となって襲い掛かる。縛り付けられた腕が凝り、締め付けられた体がヒリヒリと痛む。何度と無く絶頂を迎えて漏らした喉が、ハスキーに枯れてしまっていた。
 しばらくすれば今日の躾にも耐えられるだろうが、こう毎日となると辛いものがある。だた、クイナの口から休ませては貰えない。自分は綱吉に飼われている身であり、自分を躾けるか否かは彼の恣意にかかっているのだ。
 それに、綱吉がクイナを躾けしないといことは、彼が自分を見限ったということに他ならないからである。もし頼んで、綱吉が肯いたのならば、クイナは必要とされなくなったことを意味する。
「う、うぅ〜ん。おはよう……って、もうお昼か。ふあぁ〜」
 だらしない欠伸を噛み締めながら、窓際に立つ綱吉に挨拶する。
 綱吉は、振り向かずに遮光カーテンの隙間から外を眺めるだけだ。何を見ているのか分からないが、少し険しい表情をしている。
 そして、綱吉が振り向いて口を開く。
「クイナ、お前は帰れ」
「えっ?」
 唐突に出た綱吉の台詞に、クイナは戸惑う。
 帰れ、とはどういう意味なのか。何故、そんなことを言うのだろうか。
 クイナは戸惑いながらも綱吉の意図を読み取ろうとする。
(帰る……家に? 自分の家に帰れ、ってことだよね。どうして、帰らなくちゃいけないの?)
 クイナが帰るべき場所は、本来なら元々自分が住んでいた家だろう。そこへ帰るように言ったのは、分かるに決まっている。
 ただ、やはり理由が分からない。いや、もしかしたら考えたくなかったのかもしれない。なぜなら、綱吉がクイナを躾けないということは、それで二人の関係が終わったことになるからだ。
「ど、どうして? 私が、何か悪いことをした? まさか……え、でも……」
 やっぱり、三日も躾けられて、綱吉が自分の主人であることを認められないことに、彼は腹を立てたのだろうか。確かに、心のどこかでは自分と綱吉が対等な立場であることを信じたかった。
 信じたくて、ついつい意固地になって綱吉を『ご主人様』と呼べなかった。
 すると、綱吉がクイナの台詞に訝しそうな顔をして答える。
「? いや、明日ぐらいに台風が来るみたいだから、さ。何年も耐えてるから今年でぶっ壊れる家じゃないとは思うけど、それでも何かあったら責任取れないし……」
 その答えに、クイナは思考するのを止めた。
 遮光カーテンから覗く空は、灰色が澱んだ曇天。風も少しあるらしく、窓ガラスがギシギシと軋んでいる。
 どうやら、全てクイナの邪推だったらしい。
「あ、そっか。天気予報だと、東京に直撃するんだっけ」
 言われてみて、ようやく昨日のニュースで見た天気図を思い出す。季節外れの自然の猛威が、東京に向かって直進しているのだ。
 この借家も、隙間風が入ってきていても修繕した様子は見当たらない。台風の一つや二つで壊れるほど柔な造りではなく、十分に建造物としての強度があることを示していた。
「幾ら誰かの家に泊まっているとは言っても、家にいないんじゃ親御さんも心配するだろ? だから、明日ぐらいは家にいてやった方が安心するじゃん」
 綱吉の言い分は最もだ。
 それが、普通の家庭ならば。
「別に、良いよ。どうせ、あいつらは私がいなくなって清々してるだろうからさ。ここの方が落ち着くし、あんたに責任取って貰おうなんてあいつらも言わないでしょ。それに、私は……痛ッ?」
Re: 鬼の飼い方 ( No.27 )
日時: 2008/11/14 16:22
名前: 鬼畜ヒスイ

 クイナが最後まで言い切るより早く、歩み寄ってきた綱吉の拳骨が頭に落ちる。
「いったぁ〜。何すんだよッ? タンコブできてないかなぁ〜」
「お前の家庭の事情なんて知らん。けど、な。両親をあいつだとか、大切な子供の心配をしない親がいないなんて、何で決め付けられる! ほら、これとこれ、それからこれもッ」
 綱吉が勝手に脱ぎ散らかったクイナの服をボストンバックに詰め込み、強引に押し付けてくる。そのまま、有無を言わさずに玄関まで押し出されてしまう。
「お、おい! ここに居させてよ!」
 抵抗する間も無く、クイナは外に放り出されてしまう。
 扉を叩いて抗議するも、珍しく掛けられた鍵は返事を返さない。夜まで居座ってやろうかと玄関に座り込むが、強くなり始めた風が容赦なくショートカットの髪を掻き乱す。
 灰色の雲も厚くなり、どこかで雷鳴が轟く。
 綱吉が扉を開けてくれる様子は、一向にない。
 帰らなくてはならないのか。あんな、地獄のようなところへ。クイナは足を抱え込み、小動物のように縮こまる。
 体を痛めつけられるならまだマシだ。けれど、あそこは心を蝕む。
 いつしか自分の居場所が無くなったところへ、戻らなくてはいけないのだろうか。
 温もりなど欠片さえ失われた寒々とする空間で、再び一日を過ごさねばならぬのか。
 クイナは、小刻みに肩を震わせた。
 しかし、ここに留まっていても、迷っていても台風の餌食になるだけだろう。生きていることさえ困難になるのなら、雨風を凌ぐ間だけは戻っても良いではないか。
 できることなら、
「ここにいさせてよ……」
 温もりと居場所を与えてくれた、このあばら屋がよかった。
 最後に、聞こえるかどうかも分からぬ呟きを残し、クイナは小さなあばら屋を後にした。
 昼過ぎだというのに人でごった返した駅に着き、電車で帰路に着く。クイナの自宅も郊外に近く、綱吉の家までは歩いて二時間程度のところにある。
 電車を降りて、歩いて十分もしない内に自宅が見え始めた。
「……戻ってきちゃったなぁ」
 見慣れているはずの、どこか他人の家を思わせる自宅を見上げ、ボソッと呟くクイナ。
 灰色の雲に覆われている所為だろうか、自宅の周りだけが他所よりも暗く感じられる。
 それも当たり前だ。玄関を潜るとそこに人の気配は無く、普段は買い物ぐらいでしか外出しないはずの母親の靴までなくなっているのだ。
 直ぐに、出かけているのだと直感する。
 リビングに向かい、父が仕事に持っていくバックが置かれていることから、仕事から帰ってきた父親と出かけたのは容易に想像できた。
「何だよ、やっぱり私のことなんて心配してないんじゃねぇーか」
 娘のことを放ったらかして、出かけてしまっている両親の悪態を吐く。
 荷物を抱えて、ズカズカと二階の自室へ駆け込んだ。三日前に家を出たまんまの、何も変わっていない自室。
 机の上には、幾つかのメールの着信が溜まった携帯が置かれている。
「忘れていっちゃったんだ。外に出てないから、考えてこともないや」
 友人からのメールを読みながら、自嘲の笑みを浮かべた。他愛も無い遊びの誘いに、学校の出席についての連絡。
 留守電も幾つかあったが、今更掛け直しても遅いだろう。だから、確かめるのを止めて机に放り出す。
 自分の体も、テディベアの絵柄が描かれた愛らしい掛け布団がしかれたベッドの上に放り出し、溜息を一つ。父親が誕生日に買ってくれたクマのヌイグルミが、枕元でクイナを見つめる。
 ベッドからも、ヌイグルミからも、自分の匂いだけしかしない。これまでなら、そこにあったはずの香りが消えて、独りぼっちの自分が残っている。
 出会わなければ、変わることの無かった世界。出会ってしまったから、変わってゆく世界。初めて、この世の何かと比較しても換え難くなってしまった人物は、ベッドの上に存在しない。
「綱吉……」
 その名を呼んだところで、返事は返ってこないのだ。
Re: 鬼の飼い方 ( No.28 )
日時: 2008/11/14 16:24
名前: 鬼畜ヒスイ

 寂しくて、切ないこの思いを、どこにぶつければ良い。どうやって、無いものを満たせば良いのか。
 クイナには分からなかった。
「服、洗わなくちゃ……」
 着替えるだけ着替えて、洗濯することを忘れていた衣類をボストンバックから取り出す。胸にポッカリと開いた、空洞を誤魔化すために。
 しかし、神様は皮肉にも誤魔化すことを許してくれなかった。使った服とまだ使っていない服をより分けているところで、それを見つけてしまったのだ。
 どこにでも売っているような、まるでセンスの無い毛糸のワッチ帽。綱吉が、間違えてバックに放り込んでしまったのだろう。この世界で唯一、彼の匂いを残した帽子。
「ちゃんと、洗ってるのか……? 汗臭いぞ、馬鹿……」
 まだ一日も経っていないというのに、懐かしく思えてしまうその香り。初めて彼の布団に潜り込んだときも、その香りがしていた。
「…………」
 ゆっくりと、帽子に鼻を近づけて匂いを嗅ぐ。
 傍からみれば変態の何者でもないが、今ここにクイナを見ている人間はいない。誰も、いない。
 だから、洗濯をするのを止めてベッドの上に座り込む。
 帽子から漂う汗の匂いを胸いっぱいに溜め、手をゆっくりと太腿の間に持ってゆく。
 制服のプリーツスカートを捲くり、露になった純白のショーツの上から恥豆を擦る。
「ふあぁッ……」
 三日ばかりの躾で、すっかり敏感になってしまった感覚で思わず嬌声を上げてしまう。ほんの少し触れただけだというのに。
 別に声を抑える必要もなにのだが、ついつい自宅であることを考えて息を潜める。
 もう一度、堅くなり出した恥豆を擦った。
「ぅッ……ハァ」
 帽子を持った手で口を押さえながら、何度も、何度も愛撫を続ける。
 ジンワリと染みを作るショーツ。恥豆から下に指を滑らせて、湿った部位を押さえつけてみる。
「…………」
 また嬌声になりかけた喘ぎ声を殺し、圧迫する力を強めていく。
 布の上からでは満足できないと知るや、ショーツに手を突っ込んで割れ目に指を突きこむ。
「あぁッ! い、いや、そんなところ掻き回しちゃ駄目ッ」
 自分の手が、指が、愛しい彼の物に感じられ、いるはずも無い男に訴える。
 だが、彼はクイナの言葉など聞く耳も持たず割れ目を押し広げる。
 蜜に濡れた恥壷を、円を描くように広げ。続いて二本の指でパックリと膣の奥を曝け出す。
「いやぁ、そんなとこ見ないで……恥ずかしい……」
 赤黒く染まった膣は、肉壁を擦られれば擦られるだけ蜜を滴らせる。そこへ、三本目の指が滑り込む。
 一本入るのが精一杯だったはずの恥壷が、何の抵抗もなく三本目を飲み込んだ。
「あ、あんたがこんなんにしたんじゃねぇーかッ。その、チ、チ○コで……」
 クイナの痴態をからかう男に、強がりで反論する。誰かが言ったわけでもないのに。
 それを聞いた男は、おぼろげに口元を吊り上げる。
Re: 鬼の飼い方 ( No.29 )
日時: 2008/11/14 16:26
名前: 鬼畜ヒスイ

 怒ったわけでもなかろうが、クイナを虐めるために肉壁を強く擦り始めた。もっとその痴態を晒せ、とばかりに奥へと指を突き進める。
「あ、はぁ、はぁ……だめ、そんなに強くしたらうッ……」
 抗議しようとするクイナを、男は一番感度の良いところに爪を立てて黙らせる。既に、体の隅々まで貪られ、どこが弱点なのかを知られていた。
 快感に耐え切れなくなったクイナはベッドに倒れこみ、手まで愛液に塗れながら自分の恥壷を弄くり続けた。
 まだ足りない。どれだけ強く、どこを愛撫したところで躾を受けている時の快楽は得られず、男の肉棒を突き入れられた時のように達することが出来ない。
 壊れるぐらいに恥壷を掻き回しても、蜜が溢れるだけで絶頂への道は現れなかった。
「もっと、もっと強く。ふぅッ……うぅぅ……胸も触って……」
 顔の前に帽子を置いて、制服もブラジャーも強引に捲って双丘を揉む。
 膨らんだ乳房を指で擦り、時には抓みながら引っ張ってみた。
 脳神経に訴えかける痛覚が快楽を呼び覚まし、体が熱く火照りだした。両手が執拗にクイナの恥帯を嬲る。
 骨髄を上りだす快感。
 大きなもの、小さなもの、快楽の波が繰り返し自律神経を刺激する。
 足りない。まだ足りない。
「はうぅ……き、来てぇ。ご主人様の、立派なペ○スで私の淫らなマ○コをグチャグチャにしてください……」
 背景に映る主人に、クイナは懇願する。
 枕元にあったヌイグルミを掴み、綿の詰まった腕を恥壷に突き入れる。中身が綿とは言え、出来の良いヌイグルミの腕はそれなりの硬さがある。
 本物の主人の肉棒ほどではないにしろ、三日間の責苦に狂った少女を絶頂に導くのには十分だった。
「イ、イクッ! 変態、クイナは、ご主人様のペ○スでイってしまいます! はぁ、あぁぁぁぁぁ――ッ」
 これまでには無い大きな波が骨髄を迸り、背中を大きく仰け反らせながら少女は絶頂に達した。
 溢れ出す愛液がヌイグルミを汚し、掛け布団にまで飛び散る。少女は、そんな醜態を晒したことも気に留めず、絶頂の後の余韻に酔いしれるのである。
「はぁ……はぁ……。あ、汚しちゃった……」
 蜜がヌイグルミと掛け布団に染み込んだ頃、ようやく少女は現実に引き戻された。
 薄暗い自室で、ベッドに横たわりながら天井に目を巡らせるクイナ。頭はまだ絶頂の余韻で朦朧とし、体を程よい倦怠感が包み込む。
 しかし、一度の自慰程度ではクイナの情欲を満足させることは出来ない。
 もっと激しく、もっと卑猥に攻め立てて欲しい。白い肌に縄を打ち、怪しく蠢く玩具で性器を嬲って欲しい。そんなことを考えれば考えるほど、更に情欲の念が湧き上がってくる。
「我慢、出来ないよぉ……」
 薄っすらと湿ったテディベアを抱きしめ、満たされない欲求を堪えるように体を縮こまらせる。
 カタカタと、窓ガラスが鳴り始める。思ったより早く、台風がやってきてしまったらしい。まだこの辺りは少し風が強いだけだが、しばらくすれば豪雨を伴って暴風雨が吹き荒れるだろう。
 外に出られるのは、今のうちだけだ。
「……確か、ここに」
 何かを思い立ったクイナは、気だるい体を起こしてクローゼットを開く。
 中には衣服や、使わなくなった雑貨がゴチャゴチャと納められたダンボールがある。ダンボールを漁り、束ねられたボロボロのロープを引っ張り出す。
「あった。懐かしいなぁ。お父さんが昔使ってた、登山用のロープ」
 擦り切れたロープを見つめ、クイナは感慨に更けながら呟く。
 まだクイナが小学生の頃、山間救助隊だった父が困難な救助から戻ってきた時に、ボロボロになりながらも父の体を支えてくれていたそれを思い出として受け取ったのだ。
『これさえあれば、絶対にお前との絆は断ち切れないよ』
 父は、そう良いながらクイナの頭を撫でてくれた。
Re: 鬼の飼い方 ( No.30 )
日時: 2008/11/14 16:26
名前: 鬼畜ヒスイ

 まだ幼かったクイナには、単なる大切な思い出でしかなかった。けれど、今ならこれをどうするべきなのか分かる。
 まさか父はそんな使い道を予想しなかっただろうが、そのロープは父とクイナの絆を結ぶものではない。
 そう、クイナと大切な人の絆を結ぶための物。
「これを、こうして……。それから、こう通せば、ぅんッ……ちょっときつかったかな?」
 クイナは、自らそのロープで自分を縛る。
 通常の登山用ロープなどで体を縛るのは難しいが、ボロボロに擦り切れて細く、柔らかくなったロープなら安易に縛ることが出来る。
 見よう見まねで綱吉の縛り方を真似してみた。流石に両手は縛れなかったが、拙いながらも十分に体を締め付けている。もちろん、制服のスカートの下は縄以外に何もない。
 準備はそれだけで、クイナは外に出ると同時に駆け出した。少し体を動かすだけで縄が股間に食い込み、片足を前に出すだけでザラザラとした縄が秘部を擦る。
 それでも、クイナは走る。台風が強くなる前に、クイナは戻らなくてはならなかったから。自分がいるべき場所に、戻りたかったから。
 どうにか止まる前に乗れた電車で郊外に出て、田畑が見え始めた道を走り抜ける。
 太腿を愛液が伝い始めても、何度縄の快楽に達しそうになっても、クイナはそこへ向かって走った。雨が降り始めて、風と共に体に打ち付ける。傘は無意味となり濡れた服の下に縄の線がくっきりと浮かぶが、暴風雨を恐れた人々が外に出てくることはない。
 いや、誰かの視線があると考えただけでも、冷たい雨に晒されながらも体は火照ることを忘れなかった。
 そして、ようやく目的の場所にたどり着く。
 嵐の中でヒッソリと佇む、オンボロで小さな自分の居場所に。
かおるからの連絡 ( No.31 )
日時: 2008/11/19 20:15
名前: かおる
参照: http://www.pandora.nu/summer/

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