Re: 天使と救精主と悪魔 ( No.1 ) |
- 日時: 2009/04/06 17:05
- 名前: 36
- 平野光介は大学のサークル仲間との飲み会から自分が住んでいる森川荘へ帰る途中だった。
「さすがに飲みすぎたなぁ〜」 少しふらつく足で街灯の明かりを頼りに歩いて行く。森川荘は少し古いが家賃も安いし、駅からも近い。二階建てで、部屋は四つ。トイレ風呂付き。 光介の部屋は二階の東側。横と真下の住民はついこの間、引っ越していった。斜め下の住民は出張が多いらしく、ほとんど部屋を開けている。だから、森川荘には光介ひとりが住んでいるようなものだ。もちろん他の部屋には入れないのだが。 何回か曲がったところで、その森川荘が見えてきた。 「・・・ん?」 家を出る時には消してきたはずの部屋の明かりが点いている。 「大家さん?・・・ちゃんと家賃はやらったよなぁ?」 部屋に居るのは大家と決め付けると、埃が溜まった階段を上って部屋のドアの前に立った。ノブを回すとすんなり開いた。 (鍵ぐらいかけましょうよ、大家さん・・・) ドアを引いて部屋に一歩踏み入れる。 「おーやさーん、家賃はちゃんと・・・?」 「ひゃうっ!」 部屋の中に居たのは大家ではなく、白い少女だった。いきなりドアが開いたのに驚いたのか、尻もちをついている。光介が状況を掴めず口をポカーンと開けていると、白い少女はゆっくりと立ち上がった。白色の髪をポニーテールの様に纏め、背中から白い羽が姿を覗かせ、白いスク水を身に着け、凄く丈の短い赤のチェックのプリーツスカート、白のニーハイソックス、よく見ると首からペンダントを下げている。しかし、そこまで分析しても光介の記憶と一致する人物等はいない。 「あ・・・えっと・・・その・・・」 白い少女は焦って口から言おうとしている言葉が出ない様子だ。 「あの?新しい大家さんですか?」 光介の酔った口から出たのはその一言だった。
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Re: 天使と救精主と悪魔 ( No.2 ) |
- 日時: 2009/04/06 17:41
- 名前: 36
- コップの水を飲み干し、光介はベットに座った。
「で、君は誰なの?」 部屋の中央で座布団の上に正座している白い少女はさっきからずっと下を向いたままだ。 「あの〜、喋ってくれないとどうしようもないんだけど・・・」
数分後、白い少女は顔を上げた。 「ゴメンナサイっ。勝手に部屋に入ってしまって・・・」 「いやぁ、それもなんだけど・・・君は誰なの?」 「それは・・・今は言えません……ゴメンナサイ」 「・・・何故に?」 「それも言えません……」 部屋に気不味い空気と沈黙が漂い始めた。 「じゃあ、名前だけでも教えてよ。そうしないと、話しにくいしさ」 「え、あ・・・・はい……。『ラグ・エルー』・・・ラグでいいですよ。」 「あぁ・・・で、ラグはなんで」 『ピロリ〜ピロリ〜』 「何だ?」 部屋の中に携帯の着信音のような音が響いている。 「あっ、私です。ちょっと待っててください。」 そう言うとラグはスカートポケットから銀色の楕円形の物を取り出して部屋の隅に移動した。 「・・・・はい。・・・・分かりました・・・・はい、・・・・・」 小声で光介にはよく聞き取れないが、誰かと会話している事は分かる。 (まったく分からん。ラグとは何者だ?パッと見は人間だが羽が生えてるし・・・まさか、コスプレとか?でも、そしうしたら何で俺の部屋に来たんだ?最近はこういうのが存在するのか?) 色々考えていると、電話?が終わったのかラグが近づいてきた。 「あの・・・上層部が時間がないから早くしろ。と言っているので・・・」 「へ?上層部?時間がない?いやいやいや、まったく理解できなんですけど・・・」 「ゴメンナサイっ、今は説明できないんです。」 「説明できないって・・・」 「とりあえず今は、私の指示に従ってください。」 「・・・あぁ、はいはい。分かりました。」 光介は今の状況から少しでも話を進みたくて、今はラグの言うことを聞くことにした。
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Re: 天使と救精主と悪魔 ( No.3 ) |
- 日時: 2009/04/08 23:01
- 名前: 36
- 「じゃ、じゃあ、そのままじっとしててくださいね・・・」
ラグは光介の脚を開いてジーパンのチャックに手をかけた。 「ちょ、ちょっと!な、何!?」 「大丈夫ですから。すぐ終わりますから・・・」 「いやいや、そーゆー問題じゃなくて・・・」 ラグはトランクスからべロンとした肉棒を取り出すと、迷うことなく「はむっ」と口に咥えた。 「ちゅぅ・・・んぅ・・・ちゅぷ・・・」 (会っていきなりフェラって・・・まあ、最近溜まってたから丁度いいんだけどな) 「んちゅ・・・ん、んっ・・・んぅ・・・」 肉棒は完全に勃ち、ラグの口から飛び出す勢いで強く脈打っている。 (・・・あぁ、そろそろかな・・・) 「ん!・・・んぐ、ちゅるぅ・・・ぐぅ・・・んぐっ・・・」 舌を絡めるようにして肉棒から精子を舐め取っていく。口から少しも出ることなくラグの喉へと飲まれていった。ラグは精子を全部飲み終わると口から肉棒を出した。 「はぁ・・・。これで終わりです。それでは」 ラグはそう言うと、そそくさと部屋から出て行ってしまった。ベットに腰掛け、虚しく肉棒を出している光介。 「それでは。って・・・俺はどうすればいいんだ?」
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Re: 天使と救精主と悪魔 ( No.4 ) |
- 日時: 2009/05/02 18:26
- 名前: 36
- 「おはようございます」
部屋の中央には、窓から差し込んでいる朝日で輝くラグが立っていた。光介はベットの上で身体を起こし、目を擦る。 (ああ、夢じゃなかったわけね・・・) 「平野光介様。おはようございます」 「おはようございます・・って、なんで名前知ってんの?」 「これから昨夜のことも全て説明します。・・・目は覚めましたか?」 「あぁ、ちょっと待って。」 ベットから降り、蛇口で顔を洗って目と頭を覚ましてから、ラグの正面になるように座った。 「それでは、説明をします」 ・・・・・・
〜10分後〜 「ほお、じゃあ君たちは世界を救ってる訳なんだね?」 「正確には『お手伝い』ですけどね・・・」 ラグの説明をまとめるとこう言うことらしい……
・・・神は世界に天使、悪魔、人間の三種族が存在させた。人間が世界を支配し始めた頃から悪魔が人間界に出向き、心の隙間に入り込み犯罪を起こしたりしていた。それを知った天使の王が天使を人間界に送り、心から悪魔を祓わせていた。それで、世界の均衡が保たれていたのだが、最近になって崩れてきたのだ。原因は二つある。一つは、犯罪を起こす又は企む人間が増え、悪魔が隙間に入りやすくなった。もう一つは、悪魔自身の力が増して天使が祓うことが困難になったため。 そして、数日前に天使界の学者が打開策を発見した。その打開策とは『人間』に手伝ってもらう。ただ、人間といっても普通の人間ではない。世界の中には極稀に心の隙間に天使の力を持った『ファエル』が存在するらしい。ファエルは自らの天使の力を聖液と言う形で、体内に溜めこんでいる。その聖液が悪魔にとってはもちろん毒である。しかも、天使の魔法と違って悪魔の内側から効力を発揮するらしく、悪魔を直接退治することができると言うのだ。 ラグはそのファエルを見つけ出す役であり、昨夜、部屋に居たのは光介がそれらしいという情報を確かめに来たためらしい。・・・
「で、僕はどうなの?」 「はい。昨夜のデータを分析したところ、『ファエル』と確定しました。」 「データって、もしかしてフェラの時に?」 「ふぇら?その単語の意味は分かりませんが、聖液は人間の性液に混ざっているのであの様な行為でデータを取れと決められているので・・・」 「ああ、そうなの・・・」 (せいえき・・・同じだから混同するなぁ・・・) 「それでは、さっそく行きましょう」 ラグは立ち上がると光介の手を引っ張って部屋を出た。 「ちょ、さっそくって・・・!!」 外に出たかと思ったら、体が宙に浮いていた。ラグのペンダントが光っているので何かしらの魔法なんだろうが、いきなりすぎるため光介は慌てている。 「行きますよーー」 「こ、心の準備がぁぁーー」
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Re: 天使と救精主と悪魔 ( No.5 ) |
- 日時: 2009/05/03 16:07
- 名前: 36
- 空を飛んで連れて行かれたのは街中の五階建てのビルの屋上だった。目下の道路では出勤中の人たちが足早に動いているのが見て分かる。
「こんなとこで何するんだよ?」 「光介様、あの車が見えますか?」 ラグは交差点で信号待ちをしている軽トラックを指差した。別に何か変わっているわけでもない普通の軽トラックだ。 「ああ、見えるけど。軽トラがどうかしたのか?」 「運転手の人間に入り込んでいます。」 「入り込んでるって、何が?」 「悪魔ですよ」 光介は目を凝らして運転手を見たが、どこも可笑しくない。と、していると信号が青に変わり軽トラックが走りだした。くねくねと蛇行し始めたかと思うと、反対車線に入り歩道の方へと近づいて行った。 「お、おいっ。どうなってんだよっ」 慌てて隣を見ると、ラグが今にも矢を射ようとしていた。 「な、何してんの!?」 ラグの手を離れた矢は『ビュンッ』と音を立て、一直線に軽トラックに飛んだ行く。そのまま、壁に吸い込まれるようにして運転席に辿り着き、眩しく発光した。軽トラックはブレーキをかけたように歩道に入るギリギリの所で止まった。それと同時に、運転席から『黒い何か』が飛び出すのが見えた。 「さあ、行きますよ」 ラグは光介の手を掴むと、ビルから飛び降りるようにしてジャンプした。 「ちょ、またですかぁぁぁ」
地面に下ろされるとラグは先程の『黒い何か』を追って走って行ってしまった。光介は見失わないように追いかけていく。 (ここら辺に入って行ったよな・・・) 路地裏に入ると、ラグが大きな白い袋を前にして何か呟いていた。 「もしもし、僕を置いていって何をしているのですか?」 少しばかり嫌味っぽく言ってみたが返事がない。しょうがなく目の前の白い袋を観察することする。時折、モゾモゾと中の何かかが動いている。流れからして、中身は『黒い何か』だと思うがコレでは何も分からなくなってしまった。 「・・・・。ふ〜、これで大丈夫です。」 ラグは軽く息を吐いて袋に近づいっていった。追いかけるようにして光介も進む。 「大丈夫って、何してたんだ?」 「魔法で身動きを出来なくしてたんです。」 「ほ〜、魔法ね。・・・・やっぱり他の魔法でも悪魔は倒せないのか?」 「はい・・・。だから、そのために光介様が居るのではないですか。」 ラグは白い袋を掴むとヒョイッと持ち上げた。 「さあ、帰りましょう。」 悪魔と戦うのはココではなく光介の部屋らしい。 (帰りましょう。って、僕の部屋、壊れたりしないよな・・・) 不安がどんどんと渦巻くが止めることは出来なさそうだ。
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Re: 天使と救精主と悪魔 ( No.6 ) |
- 日時: 2009/06/06 18:33
- 名前: 36
- ラグと光介と白い袋−中は『黒い何か』−は森川荘の一室に辿り着いた。部屋に入るとラグは早々に銀色の楕円形で上層部と連絡と取り始めた。光介はその間、暇なので白い袋と距離を置いて再び観察をする。
(思ってたより大きくないなぁ。悪魔だから、トカゲみたいな顔した奴だったり・・・そんなんが部屋で暴れたりしたら確実に大家さんに追い出されるな・・・そうしたら、どうしてくれるんだよ……) やはり不安だけが増え、悪魔のことよりどうしたら追い出されずに済むかと考え始める始末だ。 「光介様、私は上層部に報告に行かなければならないので悪魔をお願いします。」 「お願いって、そんなこと言われても」 「先程の魔法は後30分ほどしか続きません。その間は光介様の命令に従うように設定しましたので。」 「いやいや、勝手に困るんですけど・・・」 「今は光介様しか居ないんですっ。どうか、お願いします。」 そう言い残すと、玄関のドアを開け一瞬のうちに消えてしまった。 (本当に行っちゃったよ・・・。) ドアから部屋に視線を戻すと、ベッドの上には白い袋。魔法が効いているのか、動いてはいない。 「トカゲ頭をどーやって倒せばいいんだよ・・・」 しかし、どんなに愚痴を言っても現状は変わらない。時間もない。意を決して、白い袋に手を伸ばし指で触ってみる。 「きゃっ!」 すると、予想もしないないような可愛らしい声がした。 「は?」 光介は全く理解が出来ない。しかし、今の声は確かに袋の中からだ。考えていても埒が明かないので袋の結びを解くことにした。
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Re: 天使と救精主と悪魔 ( No.7 ) |
- 日時: 2009/06/18 00:51
- 名前: 36
- 白い袋から顔を出したのはラグと同じくらいの年齢の黒髪の少女だった。お腹の部分が大きく開いた黒のスク水、金の刺繍が入った黒の手袋とニーハイソックス、よく見ると背中から黒色の小さな翼が生えている。
「だ、誰よ!?アタシに何する気!?」 黒の少女は少しばかりか声が震えているようだ。目の前に居るのが宿敵の天使ではなくただの男と分かると怯えを見せるどころか強がり始めた。 「人間?フンッ!人間が何の用よ。」 「何の用。と言われても・・・」 「人間の分際でアタシを捕まえるなんて、ふざけないでよ!」 「人間の分際。って・・・」 彼女は光介が言い返せないのをいいことに次々に罵声の様な言葉を言い始めた。 「人間に何が出来るのよ。腰が低いし、心は弱し、アタシたち悪魔に・・・・・」 (この娘、自分の状況が分かってるのかな・・・。そー言えばラグが魔法をかけた。とか言ってたな・・・) 「・・・・だから、人間は」 「静かにして。」「!!」 すると、彼女はピタッと喋るのを止めた。しかし、何が起きたのか分からず彼女の眼は驚いている。何かを言おうとしているのだが、ただ口がもごもごと動くだけで声は全く出ない様子だ。 「コレはコレは、良く効く魔法だ。」 「ん〜、ん〜〜」 「喋ってもいいけど大人しくしてね。」 「ぷはっ・・・。な、何するのよ!!」 彼女は再び喋り出したが、目には薄っすらと涙が見える。見下していた人間に行き成り支配された気分になったからだろうか。光介は時間を確認した。 (後、20分ぐらいか・・・。でも、どーすればいいんだろう・・・) 「何、アンタ?て、天使なの?」 「いや、俺は違う」 「ふ、ふ〜〜ん……」 会話しながら光介は考えをまとめ始めた。 (ラグは「聖液は悪魔の内側から効く」と言っていたな。それって・・・・そうだよな・・・でも・・・いいんだよな?) 自分の中で結論が出たところで再び彼女に目を向ける。頭の中で色々と想像するとやる気と言うか様々なものが湧いてきた。 「時間も無いしな。やるしかないな」 「え?な、何?」 彼女はこれから何が起きるのか、全く予想がつかない様子だ。
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