After school
犁香:作

■ 第四話2

二人の行為をこれ以上…………見ていたくない。
「やめて、翔太っ!!!」
一瞬反応を返したけれど、もう制御することは不可能に近かった。
腰の動きは激しさを増し、イヤイヤと首を振る涼子先輩を抱き起こして、その胸を攻め始めた。
「凛音は、翔太が好き……?」
「わからない……だけど、二人のSEXをこれ以上見ていたくない!翔としていいのは……あたしだけなのにっ!!!」
好きという感情とは違う……もっと大きな、人類が誇る最も恥じるべき感情…………。
「今の凛音は、主人を取られた奴隷と一緒ね。主人に従ううちに、他の誰にも取られたくないと…………蔑まれていいのは自分だけだと……必然的にそう思ってしまうのね。」
「涼子……しっかり受け止めろよ。どれだけ出るのか…………俺にもわかんないから………」
お前、めちゃくちゃ可愛い……。
最後に涼子先輩の耳元で囁いた翔太は大きな快楽の波に飲み込まれていった。
「あ……っ、うぅっ、あぁ、あぁ、あぁっ、あっ」
長い長い射精のあと、涼子先輩は翔太に身を預けたままで意識を手放した。

一時間目は、そのまま行けずじまいで結局サボり。
二時間目は、ショックと独占欲に疲れてサボり。
三時間目は、屋上に行ったら達也先輩がそこにいて………………
ぼぉっと空を眺めていた先輩は、とても綺麗で、どこか妖しくて……。
そしたらなぜか、急に心が軽くなった。と同時に、胸の奥がキュンとなった。
あの人は、誰かを想っている……だからあんな表情をしているんだ。その片隅にでも………あたしはいますか?達也先輩………。
「先輩っ!」
「……あれ、凛音ちゃん…………そっちもサボり?」
あたしはまだ鞄を持ったままだったし、まだ教室に行っていないのは誰が見てもすぐにわかることだった。
「実は、俺も……。教室にも入ってない。」
達也先輩の足に隠れて見えなかったけれど、そこには一つのカバンがあった。
「ねぇ、凛音ちゃん……」
真剣な眼差しに、心ごと動けなくなる。
「俺の話、ちゃんと聞いて………?実は俺………」

凛音ちゃんの秘密、全部知ってるんだ………

「奈緒子達にずっと奴隷同然にされてきたのも、翔太と関係持ってるのも、全部……」
「それ、誰から?」
なんとなく………想像はついた。だって、明日は……
「浅海先生……俺、あの人と、その…………」
「付き合ってんでしょ、そんなの皆知ってますよ。」
浅海先生に気を許していたのは、あの人がゲイだと知っていたから。
そして、運悪くその魅力にとりつかれた達也先輩……。
ノーマルな人でさえ、浅海先生は振り向かせてしまうから恐ろしい。
最も、趣味までは変わらないけどね。
「いいんですか、教室行かなくて。浅海先生の最後の授業じゃないですか。」
沈黙の後で、あたしにこう言ってくれました。
「俺は凛音ちゃんが……好きだから。どんなことがあっても穢れない、君のことが好きだから……」
気付いたら、涙が溢れていました……。

もう一度、もう一度だけ
男という生き物を信じてみたくなりました
もう二度と恋などしないと
二人誓ったあの日の夜を
忘れてみてもいいですか
華奢でたくましい貴方の腕に
全てを預けてみたいのです

ねぇ、あたしのこと……壊してもいいよ

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