淫辱通学
木暮香瑠:作

■ 新たな淫辱の予感3

「だめえ、そんなところ……。いやあああぁぁぁーー」
 有紗は、夢にうなされ目を覚ました。夢の中で、雄一の怒張がお尻に宛がわれていた。いまにも、有紗のアヌスに埋め込まれるところで目を覚ました。
「はあ、はあ、はあ……。夢だったんだ……」
 有紗は大きな息を吐きながら、現実でなかったことに安堵した。

 昨日、目にした光景が脳裏の奥深くに刻まれている。美由紀のアヌスを犯す雄一の姿が頭を離れない。眼を瞑ると、美由紀の菊座をグチュグチュと音を立て出入りする極太の怒張が浮かんでくる。
「いやっ、あんなとこで繋がるなんて……」
 思い出しても、おぞましい光景だった。連日の権堂兄弟から受けた陵辱による疲労と相まって、恐怖さえ抱かせる光景が有紗の眠りを妨げていた。夢の中では、雄一に何度もお尻を嬲られかける。しかし、経験の未知が、悪夢をそれより先に進むことを妨げていた。

 ダイニングに向かうと、母と父の笑い声が聞こえてくる。そこには、一般的な幸せな家庭の風景がある。頼もしい父と優しい母……。有紗の大好きな二人がいて、朝の慌しくも暖かい空気が流れている。
 出勤の為、出かけ間際の父親が有紗に声を掛ける。
「有紗、最近帰りが遅いようだがどうしたんだ?」
 ここ数日、帰宅するのが父と前後していた。
「うっ、うん……」
 父の優しさを含んだ心配が、憂鬱な心に突き刺さる。言葉に詰まってしまう。
「ほらっ、学園祭のクラスのまとめ役になったって言ったでしょ? クラスの出し物が全然決まらなくて……。実行委員で居残りで話し合ってるの」
 有紗は、とっさに嘘をついた。
「今年は見に行けるかな? 学園祭……。去年は、仕事が忙しくて見れなかったからな」
 父は、楽しそうに微笑んだ。中学の文化祭の時も、空手の大会の時も、父は最前列で応援してくれた。有紗もその期待に応えたくて、がんばれたし勇気が湧いた。

「有紗も早く朝食にしなさい? あなた、早くしないと電車に遅れるわよ」
 母は、忙しくキッチンを動き回っている。
「それじゃあ母さん、行ってくるよ」
「あなた、ネクタイが曲がってる」
 母親も笑顔で、出かける父のネクタイを直す。有紗が、16年間見続けた朝の光景だ。

 母の頬に軽くチュッとキスをして出かける父親と母親の後姿を、有紗は真剣な眼差しで見詰めていた。有紗にとって、理想の家庭の姿がここにはある。この幸せを壊したくはない。有紗が今遭っている陵辱が世間に知られてしまったら、父も母も今まで通りではいられないだろう。大切なものを壊してしまう気がして恐かった。唯一残っている安息の場であり、理想の空間を失いたくはなかった。

 有紗は、駅に向かった。学校を休むことは、権堂兄弟に禁じられている。放課後以外は、いつも通りの生活をするように命令されていた。有紗の行動の変化から、権堂達の非道がばれるのを防ぐ為だ。また、生活が乱れ有紗の初々しさが損なわれるのを雄一が嫌ったからである。

 有紗は、いつもと同じ電車に乗るため駅に着いた。悪夢でいつもより早く目覚めたため、電車が着くまではまだ時間がある。そのため、電車を待つ乗客も疎らで、これからの混雑に備えて職員だけが慌しく動き回っている。有紗は、その中で待つ何かに導かれるように改札を抜け、ホームに向かった。
(あっ、美由紀さん……)
 階段を上がると、美由紀が憂いを秘めた瞳をホームに投げかけ立っていた。美由紀は、学生鞄と昨日雄一から渡された紙袋を持っている。有紗は、慌てて目を伏せた。どうしても美由紀の顔を直視できない。昨日の美由紀の恥かしい姿が脳裏に蘇ってしまう。

「あっ、有紗ちゃん……」
 有紗の姿を見つけた美由紀が近づいてきた。美由紀の昨日の姿を思い出し、気まずさに掛ける声も浮かばない有紗に美由紀は話し掛けてきた。
「有紗ちゃん、トイレに行こう……」
「えっ、どうして? 今、したくない」
 今日だけは、美由紀と会いたくなかった。その美由紀に声を掛けられ、有紗は戸惑っていた。それに、嫌な予感がする。権堂が美由紀に渡したものが気に掛っていた。
「朝、ちゃんと行ってきたのね、トイレ……。でも、行かなくちゃいけないの……」
 不安を抱いている有紗に気付きながらも、美由紀は有紗をなおもトイレに誘う。
「権堂様お二人の命令なの。逆らうことは出来ないわ。逆らったら、恥かしい写真やビデオ、町中にばら撒かれるわ……」
 美由紀は、有紗の手を取ってトイレに向かった。

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