ボヘミアの深い森
横尾茂明:作

■ ミュンヘン4

少女はすぐに可愛い寝息をたてはじめた。
龍太はその唇にキスをし、その隣りに添い寝して暫し少女の美しい寝顔を見ていた。
そして思いついたようにベット横の電話を取り、フロントにまだやってるブティックは有るかと問い合わせた。

朝…龍太は体を押しつけられる感覚に目を覚ます。

「おはよう……」
少女が龍太の顔をのぞき込み、笑顔で「チュッ」とキスをしてくれた。

「昨夜はゴメンなさい、気が付いたら寝てたの…」
「お兄ちゃんがベットまで運んでくれたのね…」

「……ねー…私に何かHなことしたでしょう…?」

「してないよー」

「でも起きたら…バスローブが脱げてたよ」

「バーカ、熱くて自分で脱いだんだろう」

「本当?…でもお兄ちゃんならいいの、Hなことされてもいいもん…フフッ」

少女は龍太の胸に頬を当て、甘えるように龍太の胸毛をいじりだした。
少女の胸ははだけ、ピンクに色づいた乳首が見える。

そして、絡めた素脚は暖かく柔らかだった。

「お兄ちゃん…いつまでミュンヘンにいるの?」
「うん…三日ほどかな」

「それから…何処に行くの」
「東京に一旦戻り、それからロンドンに帰るの」

「東京…ロンドン?…どんなところかナー、私…想像もつかないよ」
「私なんかドイツの南部と…ボヘミアしか知らないもん」

「君はここでゆっくり出来るの?」
「うん…でもプラハに行くトラック便を探さないといけないの」

「いつも何処で探すの?」

「ここから北に少し行くと大きなトラックヤードが有るの」
「そこに優しい事務員さんいてね、教えてくれるの」

「そう…すぐに見つかるんだ」

「ぅぅん…怖い人も多いから…」
「事務のお姉さんが知り合いを紹介してくれるまで待つの」
「だから…早いときで2日、見つからないときは1週間くらいかかっちゃうの」

「一週間も待つときはね、せっかくの行商銭が宿代で半分以上もなくなっちゃうのよ」

「そりゃ−大変だ…半分も…」

龍太は思う…あんな場末の宿代で、半減するなんて、行商が幾らにもならない事を知る。

「よしわかった!」
「俺が君の街まで連れて行ってやるよ」
「だから俺と三日間付き合ってくれないか」
「このミュンヘンで観光案内してくれるお礼として送ってあげるから」

「ぅわー本当? お兄ちゃんと三日も一緒なんて…嬉しい!」

「あっ…でもまてよ、チェコスロバキヤのビザ…俺、無いんだった…」

「お兄ちゃんいいの、国境の町のデッゲンドルフまでで」
「そこには叔母さんがいるから、家まで送ってもらえるの」

「そうかい、じゃー心おきなくミュンヘン観光が出来るね!」

「さーもう起きよう」

「うん…」

龍太は体を起こす、つられて少女も起きあがった。
乳房が揺れ…少女の透きとおった肌が青白く光る。

毛布をはぐる…少女は全裸だった。
その素晴らしい裸像に龍太はムラムラとした感情が走る…このまま押し倒し、抱きしめたい思いに揺れるが…
少女は少しはにかみながら、すぐに足元のバスローブに腕を通してしまった。

龍太は軽くかわされた感覚に思わず苦笑いがこみ上げる。

「お兄ちゃん…何を笑ってるの?」

「ぅうん…何でもないよ」
「さー着替えて、朝食にルームサービスとるから」
「コーヒーか紅茶…あっ、君はミルクの方がいいかな?」

「うん…ホットミルクがいいな」
少女は言いながらバスルームに消えた。

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