僕の転機
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■ 第2章 救いの手6

 宗介は、それぞれの四肢に金具が着いた拘束ベルトを嵌め、右から佐知子、歩美、美由紀と並べた。
 美由紀の右足と歩美の右足、佐知子の左足と歩美の左足、美由紀の左足と佐知子の右足をそれぞれ繋げ、腕も同様に繋げた。
 これで3人は完全に同調しないと、立つことはおろか、動くこともままならなく成った。
 重なるように横たわる少女達の拘束が終わり、3人は並んでソファーに座る。
 宗介は、パソコンの電源を入れ、色々と操作を始め、データーに目を通す。
 暫くすると一番左の美由紀が身動ぎをし、目覚めた。

 目覚めた美由紀は、全く見覚えのない場所に、見慣れた2人と、先程見た青年が並んで自分を見下ろしている事に驚き。
 次に身体を動かし、自分の身体が全く動かない事に驚いた。
「こら牝犬!豚野郎!何だよこれは!早くほどけ!」
 大声で怒鳴る美由紀に、モニターから目を逸らさず、宗介が鋭く制する。
「小うるさい女狐が、黙れ!」
 その声と迫力に、ビクリと身体を震わせ宗介を睨むが、その目には明らかに恐怖が浮かんでいる。
 美由紀が暴れたせいで、佐知子も眼を覚まし、同じように反応する。
「昌聖…美咲…いったいどう言うつもりなんだ、そこの野郎と一緒に成って、仕返しでもするつもりか?」
 佐知子は、美由紀と違い逆に低い声で恫喝する。
「うるさいぞ肉便器、黙ってろ!」
 宗介が目線を佐知子の目に向け、さっきよりも迫力のある低い声で佐知子を黙らせる。
 目を向けられた佐知子の頭の中で、危険を知らせる警鐘が鳴る。

 宗介は、パソコンを操作する手を止め、暫く画面に見入る。
 パソコンの画面を覗いていた昌聖は、アッと小さな声を上げると、その表情がみるみる驚きに変わって行く。
「さて、真ん中のお嬢さん、そろそろ目を開けても良いんじゃ無いかな?」
 宗介が声を掛けると、歩美が下から睨み付け。
「只の小悪党では、無いみたいですわね。で、用件は何なの」
 小馬鹿にしたように鼻で笑い、歩美が質問した。
「このメンバーを見ても察しがつかないとは、お嬢さんの知性も大した事は無いな…」
 宗介は、嫌味を返して立ち上がり、3人の前まで行く。
「話は簡単な事だよ。君達が、今までやって来た事を、自分達で受けて貰うってだけだから」
 宗介が、簡単にとんでもない事を歩美達に話す。

 歩美と美由紀は、一様に[馬鹿じゃない?]と言う表情を浮かべ、手のひらをヒラヒラと振り
「私達がどうして、そんな事をしなきゃ成らないの?生徒会室でやってる事だって美咲の希望なんだから。ねぇ、美咲さん?」
 歩美が可笑しくて堪らないと言う表情で、美咲に呼びかける。
 唇を噛んで、俯いている美咲に、宗介が話しかける。
「美咲ちゃん。本当の気持ちを思いきり言って良いぞ。君を縛って居たものは、既に俺の手の中だから、何も心配しなくて良い」
 そう言いながら、美咲の方に良く見えるように、パソコンを向ける。

 そこには、今までの屈辱の記録が映し出されていた。
 驚き、モニターから宗介に目線を移す美咲に、顎を軽く引いて頷くと
「彼女達の開いていたサイトも閉鎖したし、データもクラッシュさせて消したから、リカバリーも無理だ。このデータは此処にあるコイツだけに成ったんだよ」
 手で口元を覆い、涙を零す美咲に[さぁ、言ってやれ]と首を振り促す宗介。
 頷いた美咲は、歩美達に向き直ると涙を拭い、キッと睨み付け
「あなた達の言いなりには、もう絶対に成らない!警察にも訴えてやる」
 美咲が凄い剣幕で宣言する。
「馬鹿馬鹿しい…そんな事出来る訳無いでしょ。それに、私達にそんな事を言って良いのかしら?」
 まだ、データを握っているつもりの歩美がうそぶいた。

 宗介がそんな歩美に、モニターを向け
「それが出来るんだ。これは、都内某所に有ったパソコンのデータなんだけど」
 そう言いながら、多くの少女達の陵辱シーンや住所録に、金銭管理簿・売春スケジュール等を見せる。
 一瞬ギクリとした歩美だが、知らないわと惚ける。
 しかし、美由紀はそうはいかなかった。
 実際に現場に立ち会っているため、自分の姿がちらほら映っているからである。
 シラを切る歩美に、宗介がパソコンを操作して、別の画面に切り替えると、そのデーターが全て歩美のパソコンで管理・加工・作成された物だと言う情報タグを表示する。
「こんな物があると知らなかったか?ファイルを作成するとそのパソコンの情報が記録されるんだよ」
 小馬鹿にされた歩美が、顔を真っ赤にしながら
「そんなもの、お父様に言ったら、どうとでも成るわよ!」
 とうとう自分の物で有る事を認め、父親を使っての、揉み消しまで話す歩美。
「ふっ…これらが、君達の物である事を認めたね。それではこれから、商談という形を取らせて貰うよ。そう、私達と君達の契約だ。契約の内容に不満があったら、勿論結ばなくても良い…その際、君達に不利益が発生しても、私達には関係ないと言う事を理解して頂きたい」

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