僕の転機
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■ 第10章 究極の飴と極限の鞭12

 出来上がった契約書を、美由紀に見せると、美由紀は目を輝かせた。
(凄〜い…あっと言う間に書き上がった…しかも、内容も凄い…昌聖様……ありがとうございます…)
 美由紀は契約書を抱き締め、キラキラとした目で昌聖を見ている。
(何で、美由紀だけ…昌聖様の意地悪…美咲も書いて欲しかった…)
 肩を落とし、いじいじと床を人差し指でほじる。
(私は美咲様に考えて貰ったから良いけど…美咲様お可愛そう…)
 佐知子がチラチラと、美咲の落胆振りに同情する。
 そんな奴隷達に、美由紀から契約書を取り上げ、昌聖が口を開く
「僕はね、有る決心をしたんだ…。だから、今のままの美由紀にこれを渡す事は出来ない…」
 突然の昌聖の言葉に、驚く美由紀、ほくそ笑む美咲、美由紀にも同情する佐知子。
「どうしてですか…?美由紀は奴隷にして貰えないんですか?…」
 不安で泣きそうな顔に成りながら、昌聖に擦り寄る。
「僕は、もう二度と処女は、抱かないって決めたんだ…。一人の女の子に捧げられた物を、大事にしたいんだ…」
 昌聖の言葉を聞いて、美咲が震え出す。
「だから、処女のままじゃ、お前を奴隷に出来ない…。解るか…」
 昌聖の言葉にコクンと頷き、直ぐに嫌々と首を振る美由紀。
「じゃぁ、じゃぁ、どうすれば良いんですか…」
 美由紀の訴えに、昌聖は少し思案して、美咲を見る。
「美由紀…僕はお前の処女を、受け取れない。でもお前は、僕達以外に処女を、捧げたいとも思わないだろ?」
 コクンと頷く美由紀に
「じゃぁ。この中で2番目に偉い人に相手をして貰え…。そして、佐知子のように忠誠を誓うんだ…」
 意味が全く解らない美由紀と、いきなり振られて困惑する美咲。

 昌聖がそんな美咲に頷くと、諦めて立ち上がる。
 美咲が立ち上がった事で、事態を把握した美由紀が[えー]と驚く。
 昌聖はスッと立ち上がると、奥の道具部屋に歩いて行った。
「佐知子も手伝ってやるんだぞ…」
 途中で振り返り、昌聖が付け加える。

 それを聞いて、佐知子の目が妖しく光る。
「仕方ないわね…昌聖様の命令だもの…貴女は、まだ契約を交わしてないから、拒否出来るわよ?」
 美咲の言葉に、美由紀は暫く考える。
(嫌じゃないけど…。昌聖様、私の事嫌いなのかな…?嫌われてるの…)
 美由紀が段々心細くなって、泣き出した。
(この子、直ぐに泣くんだから…。でも、こんな一面も持ってたのね…。…まったく、世話が掛かるわ…)
 美咲は、佐知子に目配せすると、美由紀を正面から抱き締めた。
 佐知子は、後ろからそれを真似る。
「美由紀…。昌聖様は、昌聖様のお考えがあるのよ…。私達は、それを疑っては駄目…。さ、顔を上げてごらん」
 美咲の優しい言葉に、顔を上げて正面を向く。
「そうよ、私達は昌聖様の奴隷なの…だから、昌聖様の思われるとおりに、行動するのよ…それが、私達の存在意義…」
 佐知子の言葉に頷き、涙を拭く。

 美由紀の心が決まった時、昌聖が戻って来た。
「ん?また泣いてたのか…仕方がない、何で美咲にお前を任せたか、教えてやる」
 昌聖がソファーに座り、話を始める。
「この中で、僕の次に偉いのは美咲。これは、僕が最初から決めている事だ。そして、佐知子と美由紀が居る。この位置関係は解るだろ?」
 昌聖の話しに頷く、3人の奴隷。
「この状態で、僕が美由紀の処女を受け取ったら、佐知子だけ仲間はずれになるだろ?それは、精神的にも影響が出る。これは、この関係にとってマイナスでしかない」
 自分の事を考えて呉れて居たと知って、感激する佐知子。
「次に、佐知子はもう美咲との従属関係が出来上がってる。そんな中に、美由紀が入るとバランス的に、佐知子依りに成るのは、否めない…。そう成らない為にも従属の気持ちを込めて、処女を捧げなさいと言ったんだ」
 美由紀は嫌われる所か、これからの事まで、考えて呉れて居る事を知り、涙が溢れる。
 美咲を呼び、耳元に小声で話す。
「美咲も処女を捧げて、忠誠を誓った事が有るのは、自分だけだと気持ちを落ち着けられるだろ…」
 美咲がそれを、気にしている事を充分に理解していた昌聖。

 美咲は見透かされて、顔を赤く染める。
「まぁ、こう言う理由で。僕は、美咲に処女の相手をしろと言ったんだ…。何か反論有る?」
 昌聖が戯けて、3人の奴隷に話すと
「有りません!解りました昌聖様」
 声を揃えて平伏する。
「最後に…こんな説明をする事は、もう二度としない…。お前達は黙って僕に従え!解ったな…」
 昌聖がサディストのプレッシャー全開で宣言する。
「はい!申し訳ありません昌聖様!」
 3人の奴隷は、身を縮めて必死で詫びる。

 昌聖は、道具部屋から持ち出した、レズプレー用の黒いペニスバンドを美咲と佐知子に放り投げる。
「それを嵌めて、美由紀を可愛がってやれ。お前達もビックリするかもな…。仕掛け的に僕も驚いたから…」
 そう言いながら、道具部屋に戻って行く。
「僕は、2時間ばかり中にいるから…。出てくる迄ちゃんと続けるんだ。それで、誰が何回イッたか報告するんだよ」
 そう言うと、昌聖は道具部屋の扉を閉める。
 昌聖は、奴隷達の上下関係を構築するために、処女喪失を利用した。
 そして、これはこの後一貫して行う、奴隷の飼い方にも影響していく。
 昌聖が思い描く「究極の飴と極限の鞭」それを実現するための鋼の上下関係。

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