援助交際
]:作
■ 初めてのデート2
そして昼食の時間
「喜多川さん! お昼、屋上でいっしょに食べない?」
紘輝の呼びかけに愛はこういった。
「いいよ! 黒山君……その……あ、愛でいいよ。愛って呼んで!」
「そう? じゃあ……あ、愛!……なんか照れくさいな。愛も紘輝って呼んででいいよ!」
という呼び方を決めた後で屋上に向かった。屋上には誰もいなかった。屋上には特に何もなくてポツンとベンチがあるだけだ。二人はベンチに腰を落とし座り込み弁当箱を開けた。紘輝の弁当は母親の手作りといった雰囲気だ。愛はというと紘輝とは逆で急いで作り上げた感じだった。高校1年生の時は愛の母もきちんと可愛く作ってくれていた。2年生になっていくにつれてだんだん今この場にある愛の弁当の形になったのであった。愛の瞳には涙が今にもこぼれるといった様子だった。その様子に気づいた紘輝は愛にどうしたのかと聞いたその質問に愛が答える。
「最近お母さん忙しいみたいでお弁当ちょっと手抜きなんだ。別にそれが悲しいってわけじゃないんだけどお母さん頑張ってくれてるんだなって思っちゃって。」
紘輝は黙って愛の涙を持っていたハンカチで拭いた。そしてゆっくりと抱き寄せて耳元で囁いた。
「愛も頑張ってるんだな。寂しいときはいつでも俺に言えよ。」
そして二人は唇を合わせた。これは愛にとっては初めてのキスとなった。愛は嫌な気持ちではなかった。しばらく二人は唇を合わせていた。
「愛。俺と付き合ってくれないか?」
唇を離して紘輝が愛に言った。愛はその言葉に呆然としていたがしばらくたち口を開けた。
「私ね今のが初めてのキスだったんだ。でも相手が紘輝君でよかった。こんなだらしない女ですがよろしくお願いします。」
そういって愛は笑って見せた。
ってな感じで二人は付き合う事となった。
それからしばらくたち夏休み前の授業後
「俺、今から部活あるから終わったら電話するね!」
愛は紘輝の言葉に肯き誰もいないアパートに帰った。
(今日もお母さんいないんだ。)
悲しげにしているとテーブルの上に手紙があるのに気づいた。手紙の内容はこういったものだった。『愛ごめんね。お母さん1週間は帰れないから。本当にごめんなさい。こんな私を許してください。』と書いてあった。
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