光梨の奇妙な日常
煙突掃除屋さん:作

■ PM12:45 体育館1

PM12:45 体育館


 光梨の通う学校は郊外の自然豊かな場所にあり、その自由な校風は個性的な生徒を生み出す格好の環境である。それでいながら学力の水準は決して低くなく、生徒達の自主性を育てるという教育方針が実を結んでいるものと思われる。

 昼休みの体育館は昼食を終えた生徒がそれぞれに運動を楽しんでいた。バレーボールをする者、バスケットをする者、ステージの上ではネットを張ってバトミントンを楽しむ者など沢山の生徒が学年を問わずに集まっていた。

「ん……んふ……」

 生徒達が思い思いに遊ぶ体育館の2階、普段はステージ用の機材が収納されている屋根裏のような構造の小部屋がある。光梨達が入学するずっと前からこの部屋は恋を語らう者達のための半ば公認された逢引部屋となっていて、この学校に通う生徒は少なからずこの部屋の事を知っている。中は小さな明り取りの窓があるだけ、いつの頃からか中から施錠できるように錠前がついている。

 昔は生徒達がこの部屋で会い、甘い言葉を囁きあったらしい。しかしながら時代の流れか、最近はこの小部屋でおよそ学校という場所に相応しくない行為をする者が多いようである。

「ごめんれ……あんまひゆっくりれきないね……」

 小部屋の入り口には壊れかけたプレート……昔、教室の入り口で使われていたと思われる「2−A」と書かれた板がぶら下がっており、そのプレートが裏返っている時は誰かが使用中の印になっていて他の生徒は遠慮するという暗黙のルールがあった。
 
「ん…… 気持ひいい…?」

 今日もプレートは裏返っていた。機材が積まれた殺風景な部屋の中、明り取りの窓から差し込む光に2人のシルエットが浮かんでいた。1人は積まれた機材に座り、もう1人はその足元に跪いている。

「ああ…… いいよ……凄く気持ちいい……」

 機材の上に座るシルエット…喜多川は絶え間なく送り込まれる柔らかく温かい刺激に時折身を震わせていた。制服のズボンの前から張り出したペニスにえもいわれぬ快感が波打っている。

「良かった…… 私もうれひぃよ……」

 喜多川の足元に跪く影…光梨はペニスを頬張ったまま上目遣いに微笑みかける。

「夢みたいだ……」

 喜多川は自分の股間に顔を埋める光梨を見下ろしていた。ブラウスの胸元から柔らかそうな膨らみが覗いている。学校で1・2を争う美少女、しかも”叶わないと思いながら”密かに恋心を抱いている光梨が今、自分の前に跪いてフェラチオをしている。喜多川にとってこれほど刺激的な事はない。大袈裟ではなく普段よりも2回りほどペニスが膨張しているのがわかる。

「おっきぃ…… 喜多川くんの……」

 横笛を吹くようにペニスに舌を這わせる光梨。白く細い指先は先端の大きく膨らんだ部分を優しく撫で回している。
 駿介に仕込まれた性技は若い喜多川には殊更刺激的だった。光梨自身、自分が技術を駆使していることに気付いていない。多少、思い入れの違いはあっても、駿介のペニスを愛撫する時と同じようにしているだけなのだ。

「ああ…どうして…」

 こんなに上手なの?と聞きかけて喜多川は慌てて言葉を飲み込んだ。光梨は普段別の誰かに抱かれ、今と同じように奉仕しているのだろう。喜多川もそれほど経験のある方ではなかったが、光梨のこの技術は誰かに仕込まれたものに違いないのは容易に判断できる。

「もぉ 昼休み終わっひゃうれ…」

 ここでの逢引用に誰かが壁に掛けた小さな時計を横目でチラリと見た光梨は、ペニスを再び喉の奥深くまで飲み込んでいく。ズボッ…ズボッ…と彼女の容貌にはおよそ似つかわしくない音が小さな部屋に響き渡る。

「あぁ…!藤森さん!ダメだよ…」

 喜多川はもう限界を迎えようとしていた。光梨の口唇奉仕による直接的な刺激も去ることながら、他の誰かに蹂躙されて奉仕を強要されているイメージの中の光梨の姿が喜多川を最高潮へと押し上げていく。

「……うぉ…」

「…んんんっ!」

 最後は突然やってきた。ペニスの先端が急激に膨張するのを感じて口を離そうとする光梨を喜多川は力一杯引き寄せた。北側の身体に不自然なほどの痙攣が走り、それと同時に光梨の喉の奥深くにドッと精液が吐き出される。

「ぐっ…! ぶっ……」

 駿介のそれとは違う濃いものが光梨の喉を直撃した。熱い塊を叩きつけられたような衝撃に思わず口をすぼめると、喜多川のペニスに残った精液が再び光梨の口に広がっていく。

「ん……濃い……ね」

 喜多川のペニスからそっと唇を離す光梨。名残を惜しむように先端に残る雫を舌先で舐め取ると、喜多川に見せつけるように口の中の精液を音を立てて嚥下する。

「良かったよ……藤森さん……」

「んふ……良かった… じゃあ今日の遅刻はナシ……ね?」

 唇の端に残る白い塊をハンカチで拭いながら微笑みかける光梨。丁度その時、昼休みの終わりを告げるチャイムが空気の湿った小部屋に響いた。

「あ!喜多川君、もう行かなきゃ! 5時間目始まっちゃうよ?」

「あ… うん! じゃ、じゃあ先に帰るよ!」

「うん… ここは私が閉めてくから」

 そそくさと制服のベルトを締め直し、それでも名残惜しそうにしながら喜多川は小部屋を後にした。光梨は今まで彼の座っていた場所に腰を掛けて小さくため息をつく。

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