人妻の事情
非現実:作

■ その時は妻であらず1

「ササ、座ってよ」
「はい」

狭い店長室、田崎さんがインスタントのコーヒーを目の前に差し出しながら言った。
別段、不審に思う事無く私は腰を降ろした。

「さっきの露出プレイどうだっ……て聞くまでもないかねぇ」
「は、はぃ……その、凄く興奮してしまって……」
「みたいだねぇ〜奥さんのマタグラからプンプン臭うよ」
「そ、んな事……」
「もう病みつきになっちゃったみたいだしねぇ、まぁ僕のせいでもあるけど」

コーヒーを啜りながら田崎さんはやや得意気に言うのであった。
確かに普通の主婦ではまず考えられない行為を私は特別な経緯で知った。
そして、それが今一番楽しくて仕方ない。

「そ、そうです田崎さんと知り合ってなければ私は今頃……。
だっだ、だから……その、感謝してます、私っ。」
「そぉ〜〜それは僕も嬉しいな」

「でも」と、田崎さんは急に真顔になって会話を続けた。

「前もチラリと聞いたけどサ……その…旦那さんとまだシテないの?」

前に田崎さんがこの関係を知られたりしないかと私に聞いた時、私は今の夫婦生活を話してあった。
私は黙って頷く。

「夫婦仲……冷めちゃってるの?」
「いえ、未だに毎週日曜にはデートしてますし、家での会話も楽しいです」
「じゃあ、やっぱり?」
「ええ……うちの夫はS○Xに対して物凄く嫌悪してるようで……」
「じゃあ……サ、理沙ちゃんはどうしてるの?、疼くでしょ?」

ハッと我に返った。
そう言えばメールで契約がどうとか言っていた。

「あっあのっぉ私っ、その……S○X行為はお断りしますっ。
その……シテしまうとホントに夫を裏切るみたいで……それは嫌ですっ。」
「あ、いやいやいや〜〜僕にはそういう気は全く無いから安心してよ!」
「…… ……」

薄くなってきた髪をガシガシと掻きながら田崎さんが説明する。

「ちょっと長くなるけどさ、落ち着いて最後まで聞いてくれる?」
「……はぃ」

コーヒーを一口喉に流して、少し落ち着きを取り戻した。

「まずね、僕には理沙さんとシタいと思った事は一切ありません。
何せ僕もS○X行為自体に嫌悪というか……全く興味が湧かないんだよ。
無論っ、他人に理沙さんを抱かせるなんて持っての他っ!!。」
「…… ……」
「最初に言ったよね、理沙さんが嬢になれば直ぐにナンバー1になれるって。
でも僕だけの物にしたい、だからこういう契約にしたんだよね、ね?。」
「そ、そうです……ね」

これは誤解を解く為なのか、何故か田崎さんの言葉はいつもと違って荒々しい。

「そして理沙さんは僕の趣向を気に入ってくれたっ!。
今じゃ何処も触れないで露出だけでも、ぐっしょりと濡れてしまうくらいに。」
「あっあの……改まって言わないで下さい……恥ずかしぃ」
「恥ずかしい事なんて全く無いっ、理沙さんは正真正銘の露出狂です!」

握り拳を作ってまでこんな事を言われて恥ずかしくないわけない。

「貴女はそう、どんな物でも着こなし美しさを表現できる女神ですよ。
貴女の全部は誰よりも美しくて淫乱、そのギャップが男共を魅了させるんです。」
「た、田崎さん?」

とうとう口調が選挙の街頭演説っぽくなってきている。
焦る私を他所に田崎さんは続けるのだ。

「そんなお美しい理沙さん旦那さんは身体が興味無いという。
なんと勿体無い事だと僕は思う訳ですよ、本当に勿体無い。
だけど……だけどですよ?。」

両手を机に置き、前のめりに顔を接近させる田崎さんに私はただ驚くばかりである。

「これで、これで……念願の理沙さんの身体は僕だけの物になった!」
(ま、まぁ……考えようによっては…そう、ですけど……)

普通なら夫の物だけの私の身体だが夫がS○Xに興味を示さない為、露出プレイという行為で晒す田崎さんだけしか身体を見せていない。

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