明の復讐
あきよし:作

■ 絵里と裕美の関係2

6限目になり、1年B組は明の担当する体育の時間になった。種目はバスケットボール。男女混合でやることにした。目的は由希との接触。始まりを告げる鐘とほぼ同時に生徒たちが体育館に集まる。全員そろったのを確認すると、準備運動を開始する。体育委員は偶然にも由希だ。もう一人は男子生徒。男子はその男子生徒に任せて、明は由希を教官室に呼んだ。
「何ですか?」
由希が教官室に入ってきた。
「今日の体育は休め。話がある。」
「話?」
由希が不思議そうに見つめている。その目がまた愛らしい。などど考えながら明は本題を話し始めた。
「由希は彼氏とかいるのか?」
「な、えっ?」
由希はかなり動揺している。普通こんな展開はまずありえないだろう。明はその由希を真剣な顔をして見ている。
「いませんけど………」
由希が小声で顔を赤らめながら答える。
「そうか。よかった。」
「ん?」
由希は何のことだかさっぱりと言った様子で次の言葉を待っている。
「先生と付き合う気はないか?」
「!!…………」
由希は目が飛び出しそうなくらい見開いて言葉に困っている。やっと言葉を見つけ、明も予想しなかった返事が返ってきた。
「それはその………肉体関係ってことですか? 生徒と教師がそんなこと………うれしいですけどもし誰かにばれたら私……学校やめないと行けなくなるし先生も教師できなくなっちゃいますよ?」
由希の以外にしっかりしているところに驚いていた。
「いったろ? 頼みがあるって。その頼みを聞いてくれる気があるなら放課後実習室に来てくれ。あっそうだ。バスケ参加してきていいぞ。」
明はそれだけ言い残して教官室を後にした。
柳生先生があたしのことそんな風に見てたなんて。キャー。あたしって罪な人。
由希は言葉とは裏腹にかなり喜んでいる様子だ。あっさりOKすると軽い女だと見られると思ったんだろう。
そして、放課後を迎えた。

明が実習室に入ると絵里が待っていた。
「明君。あのね。私………」
絵里は涙をボロボロこぼし言葉を一生懸命吐き出そうとしている。
「遥ちゃんに……うぅ・・あんな・・酷い事……こんな人生もう嫌なの。明君も感づいてると思うけど私……和田 裕美に命令されてるの。ずっと前から……あの日のもっと前から……それで………来年結婚することになったの。だからもうあんな事………許してもらおうなんて思ってない。なんでもするから助けて……お願い………」
今まで知らなかった絵里の顔に明は驚きを隠せなかった。
「今度は俺が絵里先生を奴隷にするかも知れないそれでもいいのか?」
「それでも明君の方が全然まし。あんな娘よりもずっと……ずっと……」
コンコン

ピクッ
絵里の動きが止まった。まさか聞かれてた? 絵里は扉の方を見た。そのシルエットは生徒のものだ。生徒に聞かれてたら終わりだ。絵里は絶望感に浸っていた。そんな絵里をお構いなしに明は扉を開けた。
ガラガラ
「失礼します。」
入ってきたのは明が呼んでおいた由希だった。
「由希。今の話聞こえてたか?」
「は、はい。」
由希は気まずそうに頷いた。絵里と由希はこれから明が何をしようとしてるのかがさっぱりわからなかった。
「俺が考えているプランはこうだ。まず仲間を集める。その後で和田を狙う。それであの忌々しい事件にけりをつける。絵里先生は今日は自分の仕事しててください。準備が整ったら知らせます。」
明は理解しきれてない絵里の背中を押して部屋の外に出した。
「ちょっと明君!?」
「大丈夫ですよ。俺に任せてください。」
「ありがとう。感謝するわ。」
絵里を職員室に戻らせると、実習室に残された由希の元に戻った。
「先生? さっきの話って本当ですか?」
「誰にも言うなよ?」
「は、はい!!」
明の初めて見る怖い顔に由希は完全におされ気味だ。
「あの返事なんだけど………いやか? 俺なんか。」
「えっ? ぜ、全然嫌じゃないです。私の方が……いいんですか?私で。」
由希は自分の気持ちを正直に明に言った。
「手伝ってほしいことがあるって言ったよな? 絵里先生のことなんだ。昔色々とあってな。」

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