百花繚乱
百合ひろし:作

■ 第五章 タッグマッチ4

ジュディは軽やかな動きでさくらに攻撃をした。さくらの動きが止まったと見るや、わざとらしく立ちムーンサルトからフォールに行ったり、わざと隙を作っておいてさくらがローキックで返そうとしたらガードせずにわざわざジャンプで避けたりした。
『サクラにわたしの運動神経を分かってもらった所で本気出しますか。でないと後でカオリが怖いからネ』
ジュディはお茶らけた感じで英語で独り言を言った。それからさくらのツインテールをを掴んで立たせた後、ボディスラムを掛ける体勢になったが投げず、そこからリフトアップした。
173センチのジュディにリフトアップされたさくらの体は180センチ以上の位置にある。いつもの目線よりも遥かに地面が遠い。その位置から落とされる事に対し恐怖心が湧いてきた。
さくらは足をバタつかせた。ジュディはニヤリと笑い、
「サクラ、怖いんだ〜」
と挑発した。さくらは顔を赤くして、
「こ、怖くなんかない。お…落とすなら早く落として…」
と震えながら言った。ジュディは、
「怖がってる〜怖がってる」
とはしゃいだ。そしてリング四方に見せ付けるようにゆっくりと回り、一周した後、さくらをまるでごみ袋を放るようにマットに放り投げた。さくらは背中からマットに叩き付けられ、物凄い音が鳴り響くと同時にリング全体が揺れた。
「ああああああ!!」
さくらは大声を、いや、悲鳴に近い声を上げ、背中と腰を押さえながらころげ回った。
「あんたみたいな可愛い娘はムカつくな〜。いじめたくなるわね」
ジュディはビキニのブラジャーの肩紐を直しながら言った。さくらがうつ伏せになった時に腰にストンピングを一発入れるとさくらは、
「あおっ!」
と少し濁った声を出した。ジュディはさくらのツインテールを掴み、膝立ち状態にした後、さくらの膝裏に自分の足を入れてふみつける様にしてさくらの足の自由を奪い、自分の膝をさくらの背中に付けてその後顎を取った。そしてジュディはそのまま後ろに倒れさくらの顎を引いた。

「んんんあんん!!」
さくらの体は弓なりに反り、太股と腰は正面を向き、胸は天井に向いてそして顔は後ろ、技を掛けているジュディを見る格好になった。カベルナリアが完全に入った。
「オラオラ!」
ジュディは力を入れたり抜いたりしてさくらの反応を楽しんだ。
「んんっ! んんんっ! んっ!」
さくらは口が開けない状態だが声を出して何とか耐えていた。両手でジュディの腕をはずそうとするがそうするとジュディは、
『うざい!』
と言って力を入れた。するとさくらは思わず手を離してしまいバタつかせている状態になった。
『ジュディ。あんまり力入れすぎないでよ。さくらがギブアップしたら意味無いんだから』
香は英語でジュディに指示を出した。ジュディは、
『オッケー』
と返事した。ジュディはそれならば、という事で、さくらの顎を引いたり戻したりして揺すった。
「んんっ! んあっ!!」
さくらは声を出して耐えた。ロープに逃げようとしても膝を完全に固められているので一歩も動けない。レフリーがさくらの手を握りさくらの意志を確認する。さくらは何とかギブアップしない意志を伝えた。リング中央で両膝を付いて胸を天井に向ける形にされ、揺すられているさくらの胸は体に対して上下に小気味良く揺れた。ジュディはそれを見ながら、
『巨乳じゃなくても揺れるのね〜。ジャパニーズは胸小さいの多いから揺れないかと思ったわ』
と呟いた。亜湖もさくらもCカップなので”小さくは”無いのだが―――。

香はジュディの試合の進め方を見ながら、相手のコーナー、つまり亜湖の様子を気にしていた。亜湖はリングサイドで倒れていたが、ようやく上半身を起こし、頭を押さえていた。香はどうすれば試合の権利をさくらから亜湖に移せるか、と考え始めた。勿論目的は、亜湖に攻撃をする為である。

ジュディがカベルナリアを解くと、さくらはそのまま倒れこんで、片手で腰を、そしてもう片方の手で目頭を押さえた。
「うっ……ううっ……」
あまりの激痛に思わず声を上げて泣き出してしまった。それを聞いて亜湖は上半身を起こした姿勢からロープを掴んで立ち上がり、
「さくら!」
と声を掛けた。さくらは頭を起こし、
「セ……センパイ……」
と言ったがまたツインテールを掴まれた。ジュディはさらに別の技を掛けようとしたが、香が手を出している事に気付いた。自分にタッチしろ、という事だった。ジュディはさくらの髪を掴んだ状態で引き摺る様に連れて来て香にタッチした。香は、リング内に入るや否やさくらの腹に一発膝を入れ、リング中央に引き摺ってきた。そしてさくらの頭を股に挟み胴をクラッチした。
「亜湖、カットしないとさくらは沈むわよ」
と亜湖の方を見て、ポニードライバーの体勢に入り、挑発した。
「ど、どうすれば……」
亜湖は迷った。カットしないと確実にポニードライバーの餌食になる。しかし、カットしに行けば香はポニードライバーを解いてカウンターを入れてくる可能性もあるし、ジュディが攻撃してくる可能性もあった。

香はさくらの体を持ち上げた。さくらは足をバタつかせて暴れたので香は一回おろした。そしてもう一回亜湖の方を見た。さくらが暴れたからおろしたのではない、さくら如き暴れようがいつでも持ち上げられる。だから今度は確実に決める―――、そういう目付きだった。
「さくらがあんなに頑張ってるのに、何怖がってるの? 私―――」
亜湖は思った。さくらは全然技術が未熟な為いいようにされている。しかし、それでも自分の為に迷い無くカットしてくれたり、さらに、ここまで亜湖の体力を回復させる為だけに泣きながら相手の技に耐えていたでは無いか―――。亜湖はリング内に入り、香の胸元目掛けて浴びせ蹴りを入れた。香は勢い良く後ろに倒れ胸を押さえた。
「うぐぐ……」
うずくまる香を見ながら亜湖はさくらを起こし、それから二人で亜湖はポニーテールを掴み、さくらは腕を掴んで香を起こした。そして香の首を亜湖は左腕で、さくらは右腕で決め香の左腕を亜湖の首に、右腕をさくらの首に掛け亜湖とさくらは空いた方の手でブルマを掴んだ。そして、
「せーの」
で持ち上げた。香は二対一なので抵抗はせず、素直に持ち上げられ、そして足を天井に向かって真っ直ぐに伸ばした。ダブルブレーンバスターの体制である。香の体操服はめくれ、白いブラジャーが丸出しになった。亜湖とさくらは暫くそのままの体勢でいた。滞空時間を長く取って香に頭に血を上らせた状態にしてから落とした方がダメージが大きいと思ったからである。また香は恥ずかしいと思いながらも今のこの状態を受け入れていた。というのは、まずダブルで掛けられて、両側からブルマを掴まれて体が固定されてしまい、体を捻っての脱出が出来ない事。それと今、試合権利を持っている自分がやられてリング上で倒れている事によって、ダメージを受けているさくらが亜湖にタッチする時間を与える為である。
大きな音が鳴り響くと同時に、
「あああっ!!」
香は声を上げ、背中を少し逸らし、右手で押さえた。そして左手で亜湖とさくらに掴まれて乱れたブルマをキュッと直した。シャツはまだ半分位めくれていてへそが見えていたが、どうせ起こされれば元に戻るので直さなかった。
さくらと亜湖は自陣に戻りタッチした。そしてさくらはリングの外に出て座り込んだ。亜湖は戻って来て亜湖のポニーテールを掴み、起こした。そして、香にパワースラムを掛けた。
「ああっ!」
香は声を出して耐える。そのまま亜湖はフォールに入り、カウントが入った。
「ワン、ツー!」
カウントツーの直前に香は足を振り上げて返した。亜湖は香のポニーテールを掴み起こしてから今度はロープに振った。香はロープの反動を利用して戻って来て、その場で香が跳ね返って来るのを"待ってから"出した亜湖の隙だらけのスピンキックを―――かわした。そして後ろから素早く組み付いて胴をクラッチし、後ろに投げた。ジャーマンスープレックス。
亜湖はくの字型の体勢になり自分の膝が頭の横に来て股間を見る事になる形―――、新品のパンティを履いた状態をこんなに間近に見る事はないだろう。覗き込んでるような体勢で。―――鏡で見れば左右対称になるし―――。この間の新人戦の美紗に食らったパワーボムの時と同じ様な体勢になった。香は綺麗なブリッジの体勢で亜湖の体をそのまま押さえ込んだ。
「ワン、ツー!」
亜湖はくの字型から足を振り上げて返した。香は時計を見た。10分経過―――。
「ここからが本番ね……」
今度はさっきの二の徹は踏まない様に、さくらの状態をきっちりと把握する事にした。うつ伏せになり、後頭部を押さえている亜湖の髪を掴み起こした後、場外に放り投げた。亜湖は場外に転げ落ち、倒れこんだ。香は亜湖の髪を掴んで起こすと鉄柵に向かって振った。亜湖はそのまま鉄柵に背中から激突し、
「ああっ!」
と声を上げた。香は鉄柵にぶつかって声を上げている亜湖にすかさずラリアットを決めた。亜湖はまともに受けてしまい、声にならない声を上げ、腰から崩れ落ちた。右足は前に投げ出し、左足は膝を立てそして上半身は背中を鉄柵につけ右手で鉄柵を握って倒れないようにしていた。
香は亜湖の髪を掴んで起こした後、鉄柱に叩き付け、前かがみになった亜湖の背中に向かって、近くにあった椅子を拾い、思いっ切り叩き付けた。

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