母はアイドル
木暮香瑠:作

■ 秘密の代償3

「アイドル辞めるかい? それでもあの家にはもう住めないだろうな。芸能レポーターが押し掛けて来て……」
 じりじりと後退るまさみを、龍一の言葉が封じる。
(先生と別れたくない。アイドルも辞めたくない)
「それよりあのオヤジが許してくれるかな? おまえの先生が」
(耕平君とのことを知られたら……、先生……、悲しむだろうな。許してもらえないだろうな……)
 龍一の一言一言が、まさみに悪い連想を思い描かせる。
(先生と耕平君、今までのような仲の良い親子でいられなくなっちゃう……)
 まさみの脳裏を、色んな思いがコーヒーに注がれたミルクのようにグルグルと渦になり絡まりあっていく。暗くなった脳裏と裏腹に、顔は血色を失い蒼ざめていく。

 虚ろな瞳のまさみに、龍一は意味ありげに優しく言う。
「奈緒、さあ、脱げよ! 脱がなかったらどうなるか、お前にも判るだろ?」
「ううっ、酷い。脅迫するなんて……」
 まさみは顔を上げ、弱々しい視線を龍一に向ける。
「脅迫じゃない、忠告だよ。秘密を握ってるのは俺だぜ。その秘密をどう使おうが、俺の勝手だってこと、教えてやってんだよ」
 弱気のまさみに、龍一は追い討ちをかけた。
「脱がないのか? それとも、俺に脱がして欲しいのかな?」
 にじり寄った龍一の手が、まさみのシャツに掛かる。
「いやっ、じ、自分で……脱ぐわ……」
 まさみは、キッと唇を噛んだ。

 まさみがシャツを脱いでいく。十七歳らしく飾りの少ないブラジャーが露になる。合わせ目にピンクのリボンが付いた清楚なものだ。その布地に包まれた隆起は、服の上からは想像できない膨らみを示している。
「でかい胸してるな。いくつだ? 胸のサイズは……」
「いくつでもいいでしょっ! 黒子を確認するだけでしょっ」
「お前がそんなこと言える立場か?」
 龍一は、まさみを見下ろし凄んだ。
「判ったわ。65のEよ、これでいいんでしょ」
 まさみは、鋭い視線に臆し答える。
「へえ、じゃあ、トップは85ってことか。華奢なわりにはでかいんだな」
 龍一は、値踏みするようにまさみの胸に視線を這わし、そして言う。
「無理して締め付けてるみたいだから、もう少しあるな。88ぐらいかな? Fカップに替えたほうがいいんじゃないか?」
 隠したつもりのトップサイズを言い当てられ、まさみは、うっと息を呑む。
「当たったみたいだな」
 龍一は、まさみの窮する表情を鑑賞しながら、ニヤッと口元を歪めた。
「ほら! スカートを脱げよ。スカートを脱がなきゃ黒子が確認できないだろ?」
(ううっ、そんなにわたしを甚振るのが楽しいの?)
 まさみは、唇を噛み締めファスナーに手を掛けた。

 支えを失ったスカートが、すとんと床に落ちる。ブラジャーとお揃いのピンクのリボンに飾られたパンツが龍一の目に晒される。まさみは、パンツの裾に指を掛け、捲った。そこには、壁に飾られた写真と同じ場所に黒子があった。
「どう? これで満足した? あなたの言うとおり、わたし……、星野奈緒よ」
 まさみは、恥ずかしさを振り払うように語気を強め言った。

 頬を赤らめうつ俯き気味に立ったまさみの姿を、上から下へと舐め回す。ずっしりと盛り上がった胸が、視線を引き付ける。そして、贅肉のない腹部、少女の面影を残す小さめのお尻、そこからすらりと長い脚が伸びている。贅肉など一つもないが、しかしギスギスしたところもない張りのある肌が絶妙の曲線を描いている。メガネで瞳を隠し髪を三つ編みにしているが、アイドルのオーラは隠しようがない。白い肌が、内から光を放つように輝いていた。

 龍一は、恥辱に佇むまさみの肩に手を当て、いきなりベッドの上に押し倒した。
「きゃっ!! な、何する気?」
 まさみは目を見開き、覆いかぶさる龍一を見詰める。両手で胸を庇い、まるで雨に濡れた子猫のように肩を震わせている。
「判ってるだろ? 男の部屋で二人っきりになって服を脱ぐってことは、次はどうなるかって。判って付いて来たんだろ?」

 龍一の顔がゆっくりと降りてくる。そして、まさみの顔に重なろうとする。震えるまさみの唇に、龍一の唇が触れる瞬間、まさみは顔を振った。
「だめっ! イヤッ、あなたとするなんて!!」
 まさみは、龍一の胸板を両手で押し返した。
「キスはイヤだってか? まあいい。そのうち、自分からねだるようにしてやる」
 龍一は、押し戻そうとするまさみの手首を取り万歳の形に押さえつける。まさみの脳裏に、昨夜の惨劇が蘇る。必死で腰を揺すり逃れようとするが、180cmを超える龍一の力で押さえ付けられてはどうしようもなかった。
「だめっ、やめて! やめてってばっ!」
 大声を上げ顔を激しく振るまさみに龍一は冷めた視線を投げ掛ける。そして言う。
「どうせ、もうバージンじゃないんだから、誰に気兼ねすることも無いだろ」

 龍一の言葉に、まさみの瞳が『えっ?』と見開かされる。
(そうなんだ。わたし……、もうバージンじゃ……ないんだ。キレイなわたしを先生に……、あげられないんだ)
 虚しさがまさみの胸を締め付ける。切なさが、一瞬、まさみの肢体の力を奪う。

 龍一は、その隙を突いて万歳しているまさみの手首を片手で握り直す。そして、胸を覆い隠すブラジャーを乱暴に押し上げた。
「でも、いやっ! だめっ! 許して、あなたの言う通り……脱いだじゃない……」
 締め付けられていた双乳が、ブルンと揺れながら現われる。仰向けになっても型崩れすることのない隆起が、その大きさを誇るかのように荒くなった息に合わせ揺れる。
「ここまで来て、それはないだろ? 耕平とはやって、俺とは嫌だなんて言わせないぜ」
「うっ!!」
「耕平と違って、俺は優しくしてやるぜ? 濡れてねえマ○コに、いきなり突っ込むなんてことはしねえから安心しな」
 そう言うと龍一は、声を詰まらせるまさみの胸に顔を埋めた。

 龍一は、たわわに盛り上がった肉球の先端、ピンクに色付いた柔肌に唇を重ねた。その中心でまだ埋もれた乳首を、起こし出すように吸う。
「いやっ!!」
 初めて吸われる感触のおぞましさに、まさみは悲鳴を上げる。龍一は、乳頭の根元に軽く歯を立てコリコリと起こしていく。
「いやああ! やめて!」
「フフフ……、感じるのかい?」
「ち、違う。き、気持ち悪い……」
 龍一は、舌で乳頭の周りを一周なぞる。ざらついた舌が這うたび、ゾゾッと悪寒にも似たこそばゆさが膨らみを包む。
「うああぁっ……」
 初めて知る舌の感触、そのぞっとするほどの刺激に、まさみの唇から声が漏れる。
「いやっ! そんなとこ……な、舐めないで……」
 まさみは、顔を激しく横に振り刺激から逃れようとする。

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