母はアイドル
木暮香瑠:作

■ 危険な愛戯3

 連れられて入った部屋は、一面が棚になっていてる。そして、ビニールに包まれた商品が並んでいた。そして、客らしき男が一人、商品に付いたセーラー服を着た少女が写っている写真を参考に物色している。きちんとした服装のサラリーマン風の男、その男の商品を見つめるどんよりと曇った目に、まさみは不気味さを感じた。今まで真剣な眼差しを包みに向けていた男が、まさみたちが入ってきた事に気付き振り向いた。まさみの全身に下から上へと視線を這わす。その視線にまさみは、背筋にぞくっと悪寒を走らせた。

 男は、曇った目でまさみを顔を見つめながら言う。
「この娘の下着、売るのかい? その娘のなら高く買うよ」
 男の言葉に、えっ? と驚きの顔でまさみは男が持ったビニール袋に視線をやった。ビニール袋には、制服姿の少女の写真が貼られてあり、中には女性の下着が入っていた。
「えっ!? 下着を売るの?」
 まさみは、メガネの奥の目を引き攣らせた。
「そうだ。お前の下着を売ってデート資金にする」
「うっ、嘘。それに私、下着なんて持って来てない」
「今、お前が穿いてるヤツを売るんだ」
「そ、そんな……。着替えなんて持ってないのに……」
 まさみはこれから行われようとしている事のおぞましさに、一歩うしろに下がった。しかし、笑顔で店長がドアを閉めた。
「この娘、お宅の彼女?」
「ああ。なあっ、まさみ」
 客の問いかけに、龍一はまさみの方に振り向き同意を求めた。二人でいる時は恋人という約束、満足のいく快感を与えてもらえる約束、それを認めたのはまさみ自身でもあった。
「はっ、はい……」
 まさみは、俯き消え入るような小さな声で答えた。

「さあ、脱げよ。その金で楽しいデートにしようぜ、今日は……」
「こ、ここでですか?」
「そうだよ」
「で、でも……」
 龍一の催促にも、まさみはいまだ決心が出来ない。
(龍一さんの恋人なら……、これ位の事は出来なくちゃいけないの? 龍一さんを怒らせたら……)
 三畳ほどの狭い部屋、まさみに逃げ道は無い。入り口をガードするように、店長がドアに背を向け立っている。
(恋人でいたら、いつでも感じさせてくれる……。約束を破ったら……、今まで以上に辛い目に遭わされれわ、きっと……)
 今までの陵辱の記憶と与えられた快感の記憶が交差し、まさみの身体を縛り付けた。そして、諦めにも似た従順がまさみの中でじわりじわりと広がっていく。

 窓も無い狭い部屋の中、男性の六つの目がまさみに向けられている。手を伸ばせば触れられそうな至近距離からの舐め回すような視線が、まさみを身体の芯から焦がしていく。
(暑いわ、こんなに薄着してるのに……。そ、そんなに、見ないで……)
「はあ、はあ、はあ……」
 恋人として龍一に従わなければと思っていても身体が動かない。吐息が荒くなるばかりだ。
「臭い付きだと嬉しいんだけどね。愛液付きならもっと出すよ」
 荒い息を吐きながらも身を硬くして動けないでいるまさみに、客がニヤリと卑猥な笑みを浮かべ注文をつけた。
「じゃあ、ここで愛液を着けてやるよ」
 龍一は後ろからまさみを抱きしめた。廻した掌をまさみの胸に被せ、ギュウッと揉みしだいた。
「だっ、だめえ……。そんなの、イヤッ!」
 まさみは、びっくりして大きく目を見開き振り返った。まさみに有無を言わせない龍一の鋭い目がまさみを睨む。
(ああ、逆らえないの? 龍一さんの恋人なら……。逆らったら……)
 抵抗の弱くなったまさみの胸を、強く弱く龍一の手が揉んでいく。肉球の裾野を指先がなぞっていく。
「ううっ、あうっ、ううん……」
 まさみはビリビリと侵食してくる痺れに白い喉を退け反らし、くぐもった悲鳴を零した。恥ずかしい格好で街を歩かされ、衆人に晒され刺激され続けた感覚が、そして恥辱的な命令に張り詰めていた感覚が過敏に反応し官能の火をぼっと燃え上がらせた。
「乳首、勃ってるじゃないか。見られるのが嬉しいのか?」
 尖りの先端を、指先でクリックリッと転がしながら龍一が言葉で嬲る。
「うそっ! 嬉しいなんて……思ってない。だめっ!」
 まさみは、真っ赤に染めた顔を横に振った。
「嫌がってるんじゃないの? 良いのかい? 君の彼女なんだろ?」
「恥かしがってるだけさ。この恥かしがってる顔、いいだろ? 色気があって……」
「ああ……」
 龍一の自慢げな口ぶりに男は、首を縦に振り唾をゴクリと飲み込んだ。
「嫌がってるように見えても、結構喜んでんだぜ、ほらっ」
 そう言うと龍一は、乳頭を指で摘み引っ張った。
「あんっ! いやっ、声が漏れちゃうっ!!」
 まさみの口からは、甘い悲鳴が零れた。

 龍一の手がキャミの裾から股間に忍び込んだ。
「み、見ないで……。見ないで……ください……。あんっ……」
 龍一の手がまさみの股間を弄ると裾がたくし上がり、真っ白なパンティを客の目に晒していく。指が亀裂を擦るたび恥丘は熱を帯び、薄い布地は縦筋を鮮明に形作っていく。
(いやっ! 見ないで……。あ、熱い、龍一さんの指、熱い……)
 熱くなっているのは龍一の指ではなかった。まさみの身体が熱を帯びて行ってるのだ。そして、見られていると思うと、身体はますます熱を帯びていく。
(いやん、それ以上……)
 縦列をなぞる指は、亀裂を押し広げながら上へと移動する。
「あんっ!!」
 遂に指は溝の中で尖り出した淫芽に達し、まさみは悲鳴にも似た呻き声を上げ腰を震わせた。

 クチュッ、クチュッ、クチュッ……

 亀裂に埋められた指が、淫らな水音を響かせ始める。
「あんっ、ああん……、あんっ!! だめっ、これ以上されたら……。み、見ないで……」
 今にも崩れ落ちそうなまさみの身体。龍一の手で支えられ、かろうじて立っていられた。

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