母はアイドル
木暮香瑠:作

■ 危険な愛戯9

 溢れる愛液が、龍一の指を伝い地面に滴り落ちる。地面に愛蜜の染みを作ったのを合図に、龍一は自分の肉根を取り出した。そしてまさみの身体を前に倒し、お尻を突き出させる。龍一は、亀頭を亀裂に宛がった。
(あンッ……。わたし、待ってたの……、助けてくれるのを……。待ってたの、あアン、これを……)
 亀頭が亀裂の中にゆっくり消えていく。膣が肉棒を引き込むように脈動する。まさみの心に先程まで占めていた恐怖が取り除かれぽっかりと空いた穴に、安心感だけでは埋められない隙間を塞ごうと取り込むように……。
「アン、あアン……、あうっ、んっ……」
 自ら腰を後に突き出し、龍一の逞しい男を咥え込んでいった。
「入ったぜ、全部お前の中に……」
「あン……」
 振り向き、虚ろな瞳で見上げるまさみ。ゆっくりと目を閉じ俯き、龍一に身を任せた。

 地面にしゃがみ込んでいる浮浪者達からは、見上げる先にまさみの亀裂に埋もれた怒張がはっきりと見て取れる。まさみの腰を両手で支え、ゆっくりと腰を前後させる龍一。ズブズブと音を立てながら、愛液に濡れ輝る肉根が秘孔に埋もれては姿を現す。その度、まさみの肢体は前後に大きく揺らぎ、吊り下げられた豊乳がブルンブルンと揺れる。浮浪者たちは、その姿を見詰めながらせっせと手を動かしている。
「見てるぜ、あいつ等……。お前の色っぽい顔、乳首を勃たせプルンプルンと揺れてるオッパイを、性欲をそそる肢体を……、俺のチ○ポを咥えてる淫らなおマ○コを……」
 龍一は言葉で嬲りながら、三つ編みの髪を手綱のように掴み、まさみの顔を浮浪者たちに向ける。

 トロンとした虚ろな瞳、僅かに開いた艶やかな唇、朱に染めた頬、額の汗に貼り付いた乱れ髪……。まさみの色情に溺れた表情を見て、浮浪者たちの手の動きがますます速くなる。目は充血し、少しでもまじかで見ようと顔を突き出して……。その真剣な眼差しは、まさみに恐怖さえ覚えさせる。
「あ、あハン……いやっ、怖いの……ねえ、龍一さん、怖い……」
 しかし、恐怖なのは浮浪者たちの視線だけではなかった。白昼、浮浪者に見られながら感じてしまう自分を恐れるようにまさみは顔を左右に振った。
「締め付けがどんどん強くなってくるぜ、いつも以上にな。見られて感じてんだろ?」
「アンッ、ち、違います……。あっ、あアン……」
 締め付けに対抗するように、龍一の突きは徐々にピッチを上げ激しくなっていく。まさみの柔らかい尻肉に、腰を激しく打ち付ける。
「あん、ああン、あうッ、ああんン……」
 激しくなる突きに呼応するかのようにまさみの喘ぎ声も、速く甘くなる。感じる所を抉って貰おうと、自ら腰を揺すり突きの角度に変化を与えていた。

 まるで襞の一つ一つが意思を持っているかのように棹に絡み付いてくる。
「最高だぜ、まさみ! お前のマ○コは最高だぜ!!」
「あん、龍一さんの……おチン○ン、まさみのおマ○コを……グリグリ抉ってるう、うううっ! いいっ、いいの、ああん……。龍一さんのおチン○ンが……いいのお……」
 龍一のまさみを褒める言葉に、まさみも淫らな言葉で応えた。そうすることが守ってくれた龍一に対するお礼のように、最高の官能を与えてくれる龍一に対する誠意のように……。

 怒張に掻き混ぜられた愛蜜が白く泡立ち、龍一が突くたび、怒張の侵入に膣内に溜まった愛液が行き場をなくし、ゴボッ、ゴボッと溢れ出す。溢れ出た泡は、まさみの太腿を濡らし地面に水溜りを作った。
「すげえ! あんなに濡らして……」
「襞が棹に絡み付いてるぞ。淫らなおマ○コだあ……」」
 浮浪者たちの驚愕の声も、まさみには心地よく耳に響くBGMでしかない。
「あうん、んっ、あっ、あうん、あんッ、あん、ああん……」
 頭をガクン、ガクンと揺さ振り汗を散らしながら喘ぎ声を上げるまさみ。
「アンッ! き、来ちゃう……。いっ、一緒に……、龍一さんも一緒にっ、一緒に逝ってえ……」
 ブルセラショップでの恥辱の中で、衆人環視の中で、浮浪者に襲われる恐怖の中でどんどん積み重なっていった官能の昂ぶりが発散される時がきた。魂が壊れそうなくらい溜まった感情の昂ぶりを、昂奮を身体が鎮魂のため解き放とうと、その時を待っていた。
「い、逝っちゃう、もう……だめえ! い、逝っちゃう、龍一さんのおチン○ンで……逝っちゃうっ、逝くうう……」
 まさみは、肢体をガクンッ、ガクンッと震わせ叫んだ。
「今までで最高のエクスタシーを味合わせてやる。さあ、逝け! 思いっきり逝け!! うおおお……」
 龍一は最後の一撃をまさみの媚肉に打ち込んだ。
「い、逝くっ、逝くっ、逝くううっ、うああ、ああああああぁぁぁ……」
 首を仰け反らせ、亀裂からプシューッと液体が弾け飛ぶ。
「あの女、気持ちよすぎてションベンちびりやがった」
「違うぞ! 潮吹いたんだ」
 浮浪者が唖然と見詰める中、まさみは白濁した闇の中に意識を融かし込んでいった。





 いつもと変わりない夕食を迎えていた。しかし、耕平はまさみの変化に気付いていた。帰ってきてから、耕平と一度も目を合わせようとしないまさみ。今、家に居るのは星野まさみではなく、女優の星野奈緒であった。家庭でも、幸せな新妻を必死で演じる女優の星野奈緒。三つ編みにメガネを掛けていても、耕平の目に映る彼女の姿はまさみとは思えなかった。
「今日はのんびり出来たか? 仕事休みだっただろ?」
「うん。のんびりしてたよ。公園に行って……、ショッピングして、お料理作って……。ほらっ!」
 テーブルに並べた料理を、大きく両手を広げ父親に見せびらかすように戯けてみせる。父親は料理に箸を付け口に運ぶ。
「うん、旨い! まさみ、料理の腕、上げたな」
「そうかな? でも嬉しいな、褒めてくれると、うふふ……」
 父親と会話をしているときも、顔は向けてはいるが目が宙を泳いでいた。作った笑顔は、父親の目というレンズのむこう側に向けられていた。
「耕平、食ってるか? なあ、旨いな、これ……」
「ああ、食べてるよ。……美味しい」
 オヤジは何て暢気なんだ。耕平は、一気に、何かに怒りをぶつけるようにご飯を胃に流し込んだ。

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