色白の美奈
safty:作
■ メルトモ1
僕には高校1年生のメル友がいる。
「美奈」16歳、アイドルの小倉結衣子似の市内の高校1年生で、制服は赤いチェックのミニスカートに紺のブレザーに赤いリボンらしい。
しばらく前(彼女が中学生時代)からメル友だったが、最近もろに近所だと判明した。
というのは、あるときチャットでどこにでもある駅前の雑貨屋の話で盛り上がっていたら、よくよくお互いの店の特徴が一致するものだからメールで確認したところ、なんと毎朝同じ駅から同じ方向の電車に乗車していたことがわかった。
時間を決め、「明日赤いイルカのネクタイ締めていくから。」とメールすると、美奈からは、「あはははっ赤いイルカですか? 変なの〜 それじゃあ私はイルカのちょっと大きめのぬいぐるみを鞄に付けていきますね。」と返事が来た。
僕は夜、眠れなかった。
それは、朝同じ駅から電車に乗る女の子がいるのだが、その子は本当に小倉結衣子そっくりで、ちょっとだけほっぺたがふっくらとしていて、くりくりっとした目が可愛い色白の女の子なのだ。
ただ胸がかなり大きく、いつも紺色のブレザーをぐっと押し上げ、そのブレザーの胸元が広がっているほどなのだ。
いつも、ついついその大きな胸に目がいってしまいがちで、時々目があったりしていた。すごくかわいい子だけに「胸を見ていたことがばれたかもしれない」と毎回すごくどきどきして、「しまったなぁ」と思うのだけど、しばらくすれば再びその巨大なふくらみに目が吸い寄せられていた。
(もしかしたらその子かもしれない…う〜〜ん……時々胸を見てたことばれているだろうなぁ……そうだったら……嫌われるかなぁ………)
そんなことを考えていた。
悪いことはする物じゃないですね。
ばっちりその子が「美奈」ちゃんだった。
ホームで電車を待っていると、その子がきょろきょろしていたかと思うと、こっちに真っ直ぐに軽く走ってきた。
「セフさんですか?」
下からきょとんとした目で見上げ尋ねられた。
「美奈ちゃん?」
「セフさんだぁ〜♪」
朝っぱらから電車のホームで抱きつかれてしまった。
(うわっでっでかい……固い……)
ブレザー越しに固く大きな胸のふくらみだけが感じられた。
抱きつかれてというよりは、胸をぎゅっと押し付けられたという感じだ。
同時に、僕の方にたくさんのきつい視線が矢のように飛んできて、突き刺さるのを感じた。
(うっ……おっさんにとびきり可愛い女子高生が抱きついていたら、それこそ変な世界だ……というか……)
そうなのだ、彼女は周囲からの、特に男性の視線を否応なく引きつけてしまうほどかわいい存在なのだ。
さらに胸も大きいので、興味本位の視線もたくさん彼女に注がれているのが、いつも電車の中でもあからさまにわかる。
駅の構内で、また、電車内で、彼女に言い寄った男性はたくさんいたが、そのことごとくがやんわりと、しかし確実にシャットアウトされてきたのを見てきている。
いつかは電車内が空いているにも関わらず、彼女に近づき彼女に痴漢行為をしようとした男性が、複数の男性に押さえ込まれているのを見たことがある。
(無数の敵を作ってしまったなぁ……)
なんて事を考え、抱きしめたい気持ちを押さえ、美奈ちゃんの肩を外側からやんわりと押さえて、ゆっくり引き離し、右手を差し出し握手をした。
「ああっ……ごめんなさい……うれしくてつい……」
少し小声でうつむくようにして、ソプラノだが暖かく澄んだ耳に心地よい声で美奈ちゃんが言った。
美奈ちゃんは色白なので赤面しているのがすぐにわかる。
今もほっぺたが赤く染まっている。
実は僕のほうも相当興奮していて、かなりどきどきしていたりする。
美奈ちゃんがうつむいてた顔を上げて照れたようににっこりしてくれた。
その漆黒の髪は、耳元は肩に掛かるくらいだけど背中は腰より少し上まで伸ばしてあり斜めに切ってある。髪の量を多く見せないように中をすいてあるのかしっかりした黒い髪なのに軽く見える。
アイドルでも十分通用しそうな顔は、化粧ッ気もなく眉もいじっていないのに、すごく整っていて、思春期独特の輝き以上のオーラが出ているとしか思えないほどにとてもまぶしい。
「会ってみておじさんで幻滅したんじゃないかな?」
おそるおそる聞いた。
「全然!! 優しそうな人で思ったとおり。でも、今まで見てたでしょ。胸。恥ずかしいんだよ。」
後半部分は、かなり小声で伸び上がるようにして、僕の耳元でその鈴を転がすような可愛い声で言ってくれた。
「そりゃあ、かわいくて、大きければ、目が行ってしまうよ。これでも我慢してたんだから。」
僕も小声で返す。
美奈ちゃんはくすくす笑っている。
あの憧れの子とこんな間近で話をしていることに興奮し、体の平衡感覚がおかしくて足が地についていないように感じている。
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