家畜な日々
非現実:作

■ 〜家畜として〜10

「会社に持っていくと、よく捨てられたりされたわねぇ、由紀先輩♪」
「ぅう、その節は……申し訳ありませんでした」
「これって、結構残り香が激しいじゃない?。
それをまぁ、私服にドバッとされたりとかね?。」
「……申し訳ございません〜〜〜」
「ぅふふ……」

見下ろす目線の繭様が、ボトルから液体を手に垂らす。
(桃の甘い匂い……懐かしい)

「んっ、ァあっぅ!」
「じっとして!」
「はぁ…ぃ」

いきなり繭様の両手が下乳房から谷間をなぞり、更に両脇へと手を這わせて何度も塗り込まれる。
汗や体臭が篭る箇所に塗り込んでいる訳だ。

「これくらいで十分なの、コレ」
(確かに……もう香りが染み付いてる感じ?)
「どう、雌豚由紀?」
「はい、良い匂いです」
「私の愛用物で悪いですけど我慢してくださいねぇ〜〜、由紀先輩♪」
「ぃえ……あの、繭様の香り…嬉しいです」
「雌豚由紀、良かったねぇ〜〜」
「は、ぃ」
「次はこれよ?」

手を洗い終えた繭様が、衣服を1つ1つ広げて見せた。
何だか解らないが、全裸よりはマシだろうと思った。
だが……用意されたものは。
(ぇえ……っ!?)
白のブラウス・平凡な灰色のベスト・同色のタイトスカート、襟元を小さく飾る黒いリボン。

「会社の制服を着ていたのは、もう1ヶ月前かな?」
「ぅう…ぅぅ」
「無断欠勤1ヶ月かぁ〜、もうクビだろうねぇ、由紀先輩♪」
「ぁぅ」
「忘れかけてたでしょ、この着心地を?。」
「ゃあ…だぁ〜」
「大丈夫、ここでも着れるようにして、あ・げ・る」

「現実だった物」「失った全ての物」を見てしまったというショック。
動揺を隠せない……。
それを見透かしたのか、楽しそうに繭様が続けたのだった。

「普段はコレ着て、伝票とか手続きしてたじゃない?。
でも雌豚由紀なりの使い方を教えてあげるヨ?。」
「ぁぁ〜〜ぅっぅっぅ…ぅぁぁ…」

久々に涙が出た。
枯れ果てた筈の涙が、鼻に掛かった泣き声と同時に……。

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