君の瞳の輝き
あきんど:作

■ 第一部13

平成6年 夏
夏休みを利用して撮影が行われた。
今度はホテルではなくきちんとしたスタジオでの撮影だ。もちろんスタッフもいたのだが、だれもヒロインが現役の中1女子とは思いもよらなかった。

混同の話によると、朝迎えにいったところ、鈴は準備をして待っていたが、母親は寝ていて出てこなかった。
代わりに義理の父親になるあの男が玄関まで見送ったのだがついてくるというのを引き止めるのに大変だったらしい。
鈴は別室でスタイリストと衣装に時間がかかっているらしいので私は一服をしていた。
 不意に後ろから近藤に声をかけられた。「お疲れのようだね。どうです良いビタミン剤があるんだけど、飲んでみますか?」
私は受け取ったビタミン剤を眺めた。どこにでもある普通の錠剤だった。
近藤「疲れが吹っ飛んでいっぺんに気分が良くなりますよ。一度飲んでみたらどうです?」
 私はおそるおそる飲んでみた。
 その瞬間、私の周りの世界が大きく変わった。空を飛んでいるような不思議な感覚に襲われた。
心の中にあるものは消えてなくなり、すべてのものが自分で動かせるという感覚に陥った。
近藤「1錠で結構なこうかだけど、2錠飲んだら最高ですよ。またあとで分けてあげますよ・・」

私は興奮と解放された人間性と理性の狭間で何とか自制を保っていた。
もし一人なら何をしでかしていたか自分でも良くわからなかった。
近藤「そろそろ撮影に取り掛かろうか・・われらのヒロインを呼んで来ようか・・」
 近藤は控え室に向かっていった

 控え室から戻ってきた近藤は鈴と一緒だった。鈴は白のワンピース姿の無表情だった。
 髪は後ろでポニーテールにしていて、中学生らしいヘアスタイルだった。
 逃げていかないようにか、近藤の右手は鈴の右肩をがっしり抱きかかえていて、鈴は否応なしにつれて来られた感じだった。
近藤「こんにちわ、今日のヒロイン佐々木鈴ちゃんです」
 近藤が紹介するとスタッフから大きな拍手が起こった。
 拍手があって初めて鈴は撮影のスタッフ全員を見て軽く頭を下げてお辞儀をした。
近藤「よういーいくぞー・・」
 近藤の掛け声でカメラを掲げたカメラマンは録画のスイッチを入れた。
 照明は照らされて、鈴はその真っ只中にいた。
近藤「鈴ちゃん、まず初めてみる人もいると思うから自己紹介してくれるかなぁ」
 近藤の言葉に鈴は口を開いた。
鈴「鈴といいます。年は・・」
近藤「ああぁ年齢はいいよ・・好きな食べ物は?」
鈴「えっとイチゴが大好きです・・」ここで初めて鈴はかすかに笑顔を見せた
近藤「じゃぁ好きな男性のタイプは?結婚してもいいなって思う男の人ってどんなタイプかな?」
鈴「優しい人が好きです。私を助けてくれるような、心のやさし・・」途中で近藤がその返事をさえぎった
近藤「小西君ちょっと来てくれる?」
近藤は鈴の返事を待たずに小西という男を呼んだ。
近藤「小西君。鈴ちゃんの横に行ってみて・・」
小西「はい!」
 小西という男はがっしりした体格で年齢は40近い感じだった。
近藤「鈴ちゃん、ちょっと髪が乱れてるね。ヘアスタイリストの小西君なんだけど、どう?タイプとしては?」
 小西は鈴の横に立ち並んだ。鈴は小西をチラッと見てうつむいて答えた。
鈴「よく、その・・わからなくて・・」
近藤「そうだよね、会ったばかりだもんね」
鈴はこくんと頭をふった。
近藤「この前は、鈴ちゃん、ヌードを披露してくれたけど、今回もそれで行こうと思ってるんだけど、
前と違って今回は自分で脱ぐのではなくて脱がせてもらうという感じで行こうと思ってる。大丈夫かな?」
 鈴は首をかしげてどう答えていいのか迷っていた。
近藤「脱がせてもらうのと自分で脱ぐのも同じだよ、そんなに変わらないから・・」
 近藤の言葉に鈴は不安げに答えた。
鈴「うん・・」
 その言葉を待っていたかのように小西は鈴の後ろに回った。

■つづき

■目次

■メニュー

■作者別


おすすめの100冊