黒い館
けいもく:作

■ 10.売春婦の屈辱4

 そしておれは、知った。裕美を救ってやるとかいう前に、おれ自身が裕美の身体から離れられなくなっていることを。

 その頃、裕美の救出に全精力を傾けたからか、裕美の伯父さんというのが急死した。裕美に財産の半分を残したらしい。早く救出できなかったのが、よほど悔しかったのかもしれない。

 裕美は、おれの度重なる求婚に、結婚はできないが同居ならしてもいいと言ってきた。

 その時のおれは、もはや、裕美の申し出が拒否できないくらい裕美の身体におぼれていた。

 そして以前より、もっと強く、おれは裕美を愛していた」

 裕美さんは無言でした。

 お館様は後ろから、わたしのお尻の下に手を入れ、持ち上げるようにして自分のひざのうえに乗せました。

 その中指には、わたしの知らないうちに石鹸が塗られていました。お館様の立てた悪趣味な計画通りになれば、わたしは自分の重みでお館様の中指をお尻の穴の中に入れることになっていました。

 お館様は、何と言ってわたしを笑いものにするつもりだったのでしょうか。

 お館様には、女性ならば、当然にさわられたくないようなところをわざとさわり、その驚いたり、怒ったり、恥ずかしがったりする表情を見て、喜んでいるようなところがありました。

 女性から見れば、迷惑このうえないことでしたが、それも、お館様の女性を楽しむひとつの方法だと思いました。

 きっと、女性の肉体だけを自由にできればいいのではないはずでした。

 お館さまは自分の手のひらに石鹸を塗り、わたしを洗ってくれました。いえ、洗うというより、わきの下から手を伸ばし、乳房やらおなかやら太ももを好き勝手に揉んでいるだけかもしれませんでした。

 そして、わたしの耳もとで「おれも洗ってくれないか」と囁きました。

「さっき、裕美さんに洗ってもらったじゃないですか」
 裕美さんが、足の指の先から睾丸まで、ていねいに優しく洗っているのをわたしは見ていました。

「だったら、汚せばいい」
「どうやって?」
「おしっこをかければ」

お館様は、「二人が同時に、おれに見えるように、最初は顔から、そして全身にかかるように」と言いました。

 かなりむつかしい注文でしたが、裕美さんと抱き合い、お館様の顔の上でひざまずき、顔にかけてから、いったん、とめて立ちあがり、全身にかけることにしました。

 最初にひざまずいたのは、わたしたちの股間を、お館様の顔に触れさせようとした二人のサービスでした。

「口に入っても、目に入ってもいいからね。おならだってしていいのよ。相手は変態なんだから」

 裕美さんが、わたしにこっそりと言いました。その一言ですこし気が楽になったような気がしました。そして、裕美さんと抱き合って、お館様の上でするおしっこも意外と爽快で気持ちのいいものだと思いました。あるいは、慣れればやみつきになっていたかもしれませんでした。

 それから、わたしと裕美さんは、分担してお館様を洗い、三人で湯船に浸かりました。なぜか、妙にリラックスできたような気がしました。

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