黒い館
けいもく:作

■ 17.香子さんのロウソク責め2

ビデオでは、相変わらず香子さんがお館様の思いのままの蹂躙を受けていました。

香子さんがベッドの上で縛られて、乳房に溶けたロウをたらされているのは、仕方のないことでした。

たとえ、モニターの中の香子さんが泣いていたとしても、それは熱さに耐えられずに泣いているだけのことでした。

お館様のしていることは、非難されるべきではありませんでした。香子さんを泣かせてもかまわないはずでした。たくさん泣かせてから犯したほうが気持ちがいいのかもしれませんでした。

当番の日にお館様の部屋に足を踏み入れる以上、香子さんもそれだけの覚悟をしていました。

だけど、愛子さんは、気になったことを聞いてみました。

「このビデオ、撮られたこと、香子さんも知ってるの?」

「いいや」お館様は首を横に振りました。

たぶん、隠し撮りとまではいえないものの、香子さんにアイマスクを着け視界をさえぎってから、ビデオカメラをセットしたものだと思いました。

『香子さん、かわいそうじゃないの』と言いかけて、愛子さんは途中で口を閉じてしまいました。

本当にかわいそうなのだろうかと思ったからです。

女性は、誰でも自らのあさましい姿を撮られたくありませんでした。

香子さんは、一応は著名な文化人でした。好き放題に辱められているビデオ映像が、そんなものを専門的に扱うところに流出すれば、世間から嘲笑の的にされ、社会的な地位を抹消されることにもなりかねませんでした。

だから、香子さんがお館様への服従の結果、あさましい姿をビデオカメラに撮られたとしても絶えず、流出への脅えを抱きつづけていなければなりませんでした。

お館様は、そういう不要な心配をさせないために、香子さんに気づかれないように撮影したのかもしれないのでした。

そして、ビデオテープを見るには愛子さんの肉体が必要でした。

ビデオの中のお館様は、香子さんの乳房にロウをたらした後、唇を吸い、秘部を舐めるという行為を時間を計ったような正確さで繰り返していました。

もちろん、その中では乳房にロウをたらされる行為が一番厳しく、香子さんがうめき、身体をのたうたせて苦しむというのも、ロウをたらされているときに集中していました。後は秘部を舐められている時にあえぎ声を出すくらいのものでした。

あるいは、お館様の意識の中では、三分間責めた後で三分間休憩といったことが決められているのかもしれませんでした。

香子さんはその休憩の間に呼吸を整え、次の責めを受ける心の準備をしなければならなかったのかもしれません。

「このロウソク、普通のものほど熱くないんだ」

「でも、香子さんあんなにも苦しんでるじゃないの」

アイマスクで隠されて見えませんでしたが、涙も流しているはずだと思いました。

「そうだな」

モニターを見つめる、お館様の眼がギラリと光ったような気がしました。

愛子さんにはその眼が、香子さんを苦しめたことを反省しているのか、喜んでいるのかわかりませんでした。

ただ、わかっていることは、どちらであったとしても、これからが本当の愛子さんの出番だということでした。

お館様は乳房を揉んでいた手をいったん離し、今度は平手にした指の腹で乳房をこするようにしながら動かせました。お館様の指は、確実に愛子さんの乳首を捉え、すばやく上下に震わせました。

それは愛子さんの乳房を最も感じさせる愛撫の方法でした。繰り返せば、愛子さんはあえぎ続けるはずでした。そして、もう一方の手も下腹部のまわりを徘徊し始めました。

ビデオの香子さんは、完全に追い詰められていました。

後頭部で束ねていたはずの髪もほどけて、無残に散らばり、その一部がもがき続ける香子さんの顔を覆い、幽霊のように見せていたとしても、もはや、気を払う余裕は残されていませんでした。

香子さんは、両足を開いて縛られた、不自由な姿勢で精いっぱい身体を動かせてロウの熱さから逃れようとしていました。

でも少しくらい身体を動かせたからといって溶けたロウから逃げられるものではありませんでした。ましてや、香子さんはアイマスクで視界をさえぎられていました。

お館様はベッドの横に腰掛けて、香子さんの乳房の上でロウソクを持っているだけでした。勝負になるわけもありませんでした。

そこでお館様は香子さんの乳房と言うより、乳首だけに狙いを定めることにしました。確かにそうすれば、すべてのロウが狙いどおりに、香子さんの乳首を捉えることはできませんでした。

お館様は、悔しそうに外れたロウの落ちた場所を見つめました。

だけど、外れたからといって、香子さんがうまくかわしたのではありません。乳首を捉えることができなかっただけで、乳房には落とされていました。香子さんの苦痛を何ら、やわらげるものではありませんでした。

だから香子さんの苦しむ姿は、三分間なら三分間、途切れることはありませんでした。

残りの三分間は、お館様が手と唇と舌で直接、香子さん身体を楽しむ時間にあてられていました。

それの繰り返しでした。

そして、香子さんはよく泣きました。愛子さんは、こんなに我を忘れて泣きじゃくっている香子さんを見るのは初めてだと思いました。

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