黒い館
けいもく:作

■ 17.香子さんのロウソク責め4

お館様は、店で借りてきたビデオでも自分で撮影したものでも、たいていは女性を抱きながら見ていました。もちろん、女性の身体に触ったり、キスできるという以外にも、必要以上に興奮してしまった場合、フェラチオをさせて精液を女性の口に出せばいいからでした。

「それもあることは確かなんだが」

「それ以外にもってこと?」
愛子さんは首を傾げました。そしてあることに気づきました。
「わたしも香子さんみたいにするってこと?」

「愛子にもやってみようかと以前から思ってた」

愛子さんは、「そう」とだけ返事をしました。

本当にビデオの中の香子さんのように激しく責められるのかはわかりませんでした。ただ、まだ何もされていないのに厭だと言うことはできませんでした。

「それで香子さん、責任とってくれたの?」

愛子さんは、話題を変えるように聞きました。

責任というのは、お館様を興奮させたことへの償いの意味でした。責めたのはお館様が勝手にしたことであっても、悩ましく悶える姿を見せて興奮させたのは香子さんでした。勃起させてしまった、お館様のものをほおって置けるわけがありません。

当然、香子さんはお館様に身体を求められたはずでした。快楽へと導く義務もあるのかもしれません。

だから、愛子さんは、香子さんにセックスをするだけの余力が残されていたのを聞いたのでした。

「香子はなあ、身体つきは華奢でも、強いよ」

「わたしゃ、どうせ肥満体ですよ」

確かに愛子さんは太っていました。でも、お館様は笑って首を振りました。

そして愛子さんの乳首を人差し指の爪先で弾きました。

「痛い。さっきもそれやったでしょ」

「そうか、何も言わないから気づいてないのかと思った」

「気づいたわよ。痛かったんだから」

愛子さんは、とぼけたふりをしているお館様の頭にゲンコを振り下ろしました。

「イテ」
お館様は頭を押さえました。やはり愛子さんを抱いている時は愛子さんが好きだと思いました。

そして、もう一度だけ、爪先で乳首を弾こうと思いました。頬をポンポンと爪先でたたくと、愛子さんにもお館様がしようとしていることがわかったらしく、「いいですよ」と言って目を閉じました。

お館様は狙いを定め、力を込めて愛子さんの乳首を弾きました。

愛子さんは一瞬顔をしかめ、「痛い」と言いましたが、すぐに笑顔を作り、お館様の唇にキスをしてくれました。

「気がすんだ?」

「さあ、どうしよう? あと10回くらい」

「これ以上はだめ」
愛子さんは乳房を手で隠すふりをしました。

「おまえ、けちりすぎ」と、お館様は言って話を続けました。

「香子をロウソクで責めたあと、素早くビデオカメラを片付けると、縄もほどいてアイマスクもはずしてやったんだ。

香子は、やっと地獄から抜け出せたと思ったのか、ただ呆然としていた。呼吸も荒かった。

おれは、香子と並んで座り、肩を抱いて、タオルで鼻水やよだれを拭いてやった。そうしたら、香子はおれにしなだれてきた」

「それで香子さんは、使用可能と思った?」
愛子さんはきつい言い方で聞きました。

「ちょっとだけな」

「よかったね」

「愛子の部屋に世話になりにいかなくてすんだ」

「裕美さんの部屋でしょ」
きっとそうでした。愛子さんに言われるまでもなく、お館様がいざという時に頼るのは裕美さんでした。

「とにかく乳房についたロウを流さないと、と思って香子を連れて風呂に入った。

あれだけ激しく責めてしまったんだ。香子の乳房が火傷をしているのじゃないかと心配したが、そこまではなってなかった。

それでもロウを掃って、水でぬらしたタオルで拭くと気持ちよさそうにしていた。

おれは香子をウレタンの上に座らせて、手足から洗い始めた。

いつもの癖というのか、香子がそんな状態でも身体にいたずらをしてしまうんだ。でも香子は怒りもせず、股間に手をもっていこうとすると膝を開けてくれた。

最後に背中を洗ったところで『次はわたしが洗う』と香子が言った。

おれはうれしかった半面、香子の意志の強さにたじろぐ気持ちもあった」

「でも、香子さんに洗ってもらった」

「当たり前だろう、せっかくの香子の申し出を断る勇気はおれにはないよ。

仰向けに寝ると香子は、おれの身体中にキスをしてくれた。それで調子に乗ってシックスナインまでさせてしまった」

「悪人め、それで香子さんを部屋に連れて行って抱いたの?」

「もちろんだ」

「気持ちよくしてもらえた?」

「ああ、最高だった」

いつの間にか、お館様と愛子さんは横向きになって恋人同士のように睦み合って話していました。戯れに乳房を舐めてみても、愛子さんは気持ちよく反応してくれました。

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