黒い館
けいもく:作

■ 18.愛子さんのロウソク責め2

「いつまでも遊んでないで、早く、やちゃったら?」
愛子さんはお館様に決意を促すように言いました。

そうかもそれません。お館様はここに来て、まだ愛子さんをロウソクで責めるのを逡巡していたのかもしれません。逆に責めを受ける愛子さんのほうがお館様の優柔不断さに痺れをきれさせていたのかもしれません。

お館様は、「香子だと平気で酷いことができるのに」と思いました。

でも、お館様は愛子さんにアイマスクをして、ロウソクに火をつけ、溶けたロウを乳房にたらしました。

一度、愛子さんのもだえ苦しむ姿を見てしまえば、生来のサディストとしての血沸き立ち、のめりこんでしまうだろうと思ったからでした。

その読みは見事なほど的中しました。

愛子さんは乳房にロウを数滴たらされただけで、身体をよじり、すすり泣くような声を出し始めました。そして、縛られて動けないのに、白い裸体を必死なって波打たせて耐えようとする愛子さんにお館様は非人間的な、許されない欲望をたぎらせていきました。

お館様は乳房にロウをたらし、唇を吸い、秘部に舌を差し込みました。

それは香子さんの時ほど、徹底した厳しさがなかったにせよ、愛子さんを泣かせるのに十分でした。

愛子さんは時々、「熱い」と呻くような声を出していました、

しばらくたって、ロウの熱さに我慢ができなくなったのか、愛子さんが自分を悔いるように、「お願いします。もう許してください」と言いました。

だけど、お館様は愛子さんを責め続けようと思いました。愛子さんの苦しそうにもがく姿をもう少し見ていたいと思ったからでした。

お館様はキスをして、舌を絡め、愛子さんの唾液をたっぷりと吸ってから、「悪いが、もう少し我慢してくれか?」と言いました。

愛子さんには何も答えることができませんでした。愛子さんにできたのは、口を開けて舌を伸ばし、再度のキスをせがむことだけでした。

それはたぶん、了解の意思表示でした。お館様はキスをすると、再び愛子さんの乳房にロウをたらし始めました。

だから愛子さんは、もうしばらく身体を悩ましくもだえさせなければなりませんでした。そして、愛子さんがどれだけ許しを請うても、一時間ばかり過ぎて、お館様が飽きてしまうまでやめられませんでした。

お館様は、香子さんの時と同じようにぐったりとした愛子さんの縄をほどいて、風呂に連れて行きました。そこで、愛子さんの乳房についたロウを落とし、石鹸で身体も洗っていきました。

ロウソク責めが予想以上に厳しかったのか、愛子さんは意気消沈でした。

でも、せっかく愛子さんと入浴しているのに、何もしないで、ただ洗うだけというのは、お館様には耐えられませんでした。少しだけシックスナインを強要し、手で股間を開かせて舐めました。

愛子さんを抱くのは、ベッドの上でいいと思いました。肩に手を掛けて部屋に帰る途中で、すっかり、しょげ返ってしまった愛子さんのために、『身体を許しあって間のない、恋人同士ように優しく愛子を抱いてみよう』と思いました。

それは本気で愛子さんを責めてしまったお館様の反省の意味もあるのかもしれませんでした。

だいたいが、愛子さんは暴力には敏感でした。そもそも、今、館にいるのも夫の暴力から逃れてきたからでした。

愛子さんは、夫にそれほど強く惹かれて結婚したのではありませんでした。ただ、清潔で礼儀正しい人だという印象はありました。

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