黒い館
けいもく:作
■ 23.亜紀ちゃんの乳房3
「じゃあ、もう一度、始めるよ」と言って、ロウソクを握り直しました。
「はい」香子さんもはっきりと返事をしました。
あるいは、館の女がどういう扱いを受けるのか、香子さんは身をもって亜紀ちゃんに教えているのかもしれませんでした。
再び、香子さんへのロウソク責めが開始されました。今度は、さらに乳房とロウソクの間の距離を縮めた激しいものでした。香子さんは最初から「熱い」を続けていました。たぶんまた、アイマスクの内側が涙で濡れ始めているはずでした。
しばらく、責められてから香子さんは「お願い、もう、許して」と言いました。あるいは、すでに我慢のできないところまで追い詰められているのかもしれません。
お館様は平手で頬を叩き「まだ、始まったばかりじゃないか。弱音を吐くには、早すぎる」と言い、乳房にこびりついたロウをひとかけら剥がしました。痕が赤く腫れているのがわかりました。
その部分をつねると、香子さんの全身がピクッと震えました。
お館様は「大丈夫だ、まだ元気だ」と言いながら、さらにロウをたらし続けました。
亜紀ちゃんは、香子さんが全身をのたうたせて苦しむ様子を見ていました。香子さんがうめくような声で、許しを請うたとしても、ロウソクは乳房を捉え続けました。お館様の狙いが乳房の上にポツンと乗った小さめの乳首だけであったとしても、責められる香子さんには関係のないことでした。
しかし、お館様は的からはずれたことを悔しがりました。次こそはと、より熱心になりました。もちろん、香子さんの苦しみをおもんばかる必要がありませんでした。それは単なる熱中できるゲームだったのかもしれません。
時々「フーッ」とため息をついて、香子さんの股間を舐め、唇を吸いました。乳房が欲しくなれば、亜紀ちゃんを抱いて乳房を舐めました。
お館様は香子さんを責めるのは、ある意味で男と女の真剣勝負くらいに思っていました。だから、亜紀ちゃんがその場を見たいといっても気乗りがしていませんでした。
だけど、香子さんの乳房がロウで舐めることができなくなったとしても、亜紀ちゃんがいれば、乳房が舐められるのは単純にうれしいと思いました。
ただ、難点は亜紀ちゃんの乳房は香子さんほど強く咬んではいけないということでした。でも、この日お館様は、亜紀ちゃんの乳房を咬みたいとは思いませんでした。
サディスティックな欲求は、すべて乳房にロウソクをたらされている香子さんがかなえてくれるからでした。そして、それは香子さんへの責めが一層激しくなることかもしれません。
事実、香子さんへのロウソク責めは延々と続いていました。
香子さんはその間「もう勘弁してください。許してください」と声がかれるほど何度も頼みました。でも、それを決めるのはお館様でした。
結局、香子さんに対する責めは二時間くらい続いたでしょうか。半開きになったままの口からもれる悲鳴までもが、かすれた息のようになっていました。それは香子さんの受けた責めの厳しさでした。
「よし、もういいだろう、ありがとう」お館様は香子さんの股間を舐め、太ももをポンと叩いてから言いました。
香子さんが、泣き続けたことへの感謝の気持ちは「ありがとう」の一言に集約されているのかもしれません。
お館様が手馴れや動作で足首の縄とアイマスクをはずし、ベッドに座らせると、後ろ手に縛られたままの香子さんのほうから、身体を預けるようにして、唇をお館様の唇に合わせていきました。お館様は香子さんを抱き締め、与えられた唇を吸いました。
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