狂牙
MIN:作
このお話は、[走狗]の続編です。
酷い表現も多々有りますので、ご注意下さい。
このお話は、[走狗]の物語から2年、[僕の転機]から4年が過ぎた物語で、良顕と昌聖が絡み合うお話しです。
両物語をお読みの方は、ストーリーに入りやすいと思います。
登場人物
叶 良顕(かのう りょうけん)(31)マテリアルに加入し、僅か2年間でNo.4迄駆け上がった主人公。
近藤 昌聖(こんどう まさきよ)(20)組織〈紳士会〉の幹部メンバー。
天童寺 宗治(てんどうじ むねはる)(50)マテリアルの日本支部No.1。
葛西 孝司(かさい こうじ)(50)今回のゲームのターゲット。
葛西 毬恵(かさい まりえ)(40)孝司の妻。
葛西 啓一(かさい けいいち)(19)孝司の息子。
葛西 晶子(かさい あきこ)(16)孝司の娘。
徳田 義継(とくだ よしつぐ)(65)大物の人権派弁護士。マテリアルの日本支部No.2。
徳田 全一(とくだ ぜんいち)(18)乙葉達の弟で徳田義継の養子。乙葉と優葉を付け狙う狂人。
久能 宗介(くのう そうすけ)(31)組織〈紳士会〉の幹部メンバー。称号はナイトマスター(ナイトは戦闘要員)。
橘 優駿(たちばな ゆうしゅん)(40)組織〈紳士会〉の幹部メンバー。称号はプライムミニスター(組織のNo.3)。
美加園 晃(みかぞの あきら)(29)オカマの天才医師。マテリアル内で唯一の良顕の友人。
朝田 忠雄(あさだ ただお)(42)安曇野興業3代目組長。良顕の右腕で奴隷。
伊藤 啓介(いとう けいすけ)(21)安曇野興業の経営する飲食部門の影の支配者。忠雄の懐刀。
朝田 千春(あさだ ちはる)(31)忠雄の妻。忠雄の奴隷。
安曇野 夏恵(あずみの なつえ)(27)クラブで働く女性を統括。忠雄の奴隷。
三浦 千佳(みうら ちか)(18)夏恵の店で働きながら、昌聖達の通う大学の後輩になる。
西川 乙葉(にしかわ おつは)(27)良顕の奴隷。良顕の手足となって働く。
西川 優葉(にしかわ ゆうは)(22)良顕の奴隷。良顕の手足となって働く。
橘 美咲(たちばな みさき)(20)昌聖の奴隷。優駿の妹で昌聖の婚約者。
松山 美由紀(まつやま みゆき)(20)昌聖の奴隷。
中川 佐知子(なかがわ さちこ)(20)昌聖の奴隷。
山田 歩美(やまだ あゆみ)(20)昌聖の奴隷。
由木(ゆうき)(?)マテリアルの連絡員。
霧崎(きりさき)(?)マテリアルの連絡員。
叶 涼子(かのう りょうこ)(27)義継に囚われた、良顕の妻。人体改造で牛女にされている。
叶 香織(かのう かおり)(22)義継に囚われた、良顕の妹。人体改造で抱き枕にされている。
三河 千恵(みかわ ちえ)(23)過去のゲームの最中惨殺される。
佐藤 和美(さとう かずみ)(22)過去のゲームの最中惨殺される。
安曇野 秋美(あずみの あきみ)(25)過去のゲームの最中惨殺される。
デュディェ・クリスティーヌ・プリュデルマシェ(3?)[ウィッチ]の異名を持つ、マインドマスター催眠術の名手。
山内 良顕にゲームで敗北した、元bQ。知恵と和美を惨殺した。
■ 第1章 籠絡1
−第1節 妻:毬恵−
わたくしがその方にお会いしたのは、まだ寒さの残る3月の始めでした。
わたくしの家は、10歳年上の夫が貿易会社を経営し、それなりに裕福で大学1年生の息子と高校2年生の娘の4人家族でございます。
その方は我が家の門扉の支柱にもたれ掛かってうずくまり、荒い息を吐いて居られた所を
「ママ大変! 誰か家の前で倒れてる」
娘の晶子が見つけたのが初めての出会いで御座いました。
わたくしが朝ご飯の支度の手を止め、見に行くとお風邪を召されたのか、赤いお顔で熱を帯び、グッタリとされて 居られたので、わたくしは直ぐに娘と供に家の中にお招きし、お加減をお聞きするとか細い声で謝罪され
「有難う御座います。すみませんでした、直ぐに出て行きます」
頭をお下げに成られました。
その姿はとても儚げで消え入りそうで御座いました。
わたくしはそのお姿に息を呑み、事情をお聞きすると、働いて居た会社が倒産しお仕事を捜すため、東京に出て来たばかりで頼る先も無いとの事。
同情心からわたくしは直ぐに掛かり付けのお医者様に往診をお願いして、診察していただくと
「過労から来る、体調不良ですな。風邪もひいて居ますので、栄養を取りゆっくりすれば、直ぐに良く成ります」
とのお見立てでした。
わたくしは事情が事情でしたので、夫に話して客間の一つで養生していただく事に致しました。
3日程でご回復されたそのお方は、夫に感謝の意をお示しに成り
「私には、今はこんな事しかご恩返ししか出来ません」
そう仰って、その日から家事を手伝われるように成られました。
そのお方の手際は全てにおいて素晴らしく、10室有る我が家の掃除を2時間程で完璧に終わらせ、冷蔵庫に有る物であっと言う間に4品の料理を作り上げられました。
そのお料理の絶品だった事は、今でも忘れられません。
わたくしはそのお方の働きを見て感激すら覚え、有る事を夫に申し出ました。
夫はわたくしの申し出に
「あぁ、俺も考えて居た…。だが、その答えはもう少し待て」
そう答えました。
その時は意味が少し解りませんでしたが、夫は早い内に行動を起こして居たようです。
わたくしの申し出から、2日が経つと夫はそのお方をリビングに呼び出し、わたくしが提案していた、ある事を切り出しました。
「どうだろう君さえ良ければ、この家に住み込んで家事を手伝ってみないか? それなりの給料は約束しよう」
夫の言葉に、驚かれたそのお方は
「そんな…。こんな、素性も明かさない私をですか…」
小さな声で囁くように、問い返しました。
そして夫は、落ち着いた声でそのお方に話出しました。
「悪いと思ったが、少し調べさせて貰ったよ。会社が倒産したと聞いたが、君のお父さんの会社だね…。随分酷い目に遭ったようだ…、ご両親の事は同情するよ。君が素性を明かさなかった理由も解った。質の悪い奴達に追われているのも、調べさせて貰った。私の家は、君の過去とは何の接点も無い、暫く身を隠す積もりで、働いてはどうかな?」
そのお方は、夫の話しを聞きながら涙をお流しに成り、何度も感謝の言葉を夫にお告げに成って、我が家で働く事と成られました。
そのお方が我が家でお働きに成られ、暫くするとわたくしの身体に変化が現れました。
いつも微熱を帯び、頭の中に薄い幕が掛かったような感覚が続き、身体が少しの刺激で敏感に反応するように成りました。
夫とはそれまで、3日に1度ぐらいのペースで肌を合わせていましたが、身体に変調が起きてからは、ほぼ毎日わたくしから求めて抱かれました。
21歳で長男を産んでから、初めての事です。
40歳に成ったわたくしの身体の反応を夫は喜び、わたくしの求めに応えて呉れました。
ですが、夫は50歳。
毎日のわたくしの求めに、応え切れなく成り、身体を合わせるペースは元に戻りました。
快楽を求めるわたくしの身体は、その熱を発散出来なく成り、わたくしはモヤモヤとしたものを抱え、イライラと何かに付け当たり散らすように成りました。
そんな時そのお方が
「奥様…、お疲れのごようすですね。マッサージをしましょうか?」
わたくしにお声を掛けて下さいました。
わたくしはそのお誘いに、身を預ける事に少し躊躇いました。
何故ならわたくしの身体は、その時は既に敏感過ぎる程火照り、疼いていたのです。
マッサージをして頂いて、あられも無い声を出すのではと心配したからです。
ですがそのお方は、わたくしの体調を思ん慮って、熱心にお勧め頂き、わたくしはその方の熱心さに絆され身を預けました。
そして、わたくしは余りのカルチャーショックに、驚いてしまいました。
そのお方のマッサージは、蕩けるような快感をわたくしにお与え下さったのです。
わたくしは全身を洋服の上から撫でさすられ、何度もビクビクと恥ずかし気も無く絶頂を迎えてしまいました。
「奥様…、敏感なんですね…」
耳元に囁かれた時は、顔から火が出そうな程恥ずかしゅう御座いました。
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