狂喜への贐
非現実:作

■ くたびれた街12

ガチャリと重い扉が開き、カツカツと靴音を立ててシルクハットの男が近寄った。
それに気付いた3人の男は行為の最中ながらも深々と頭を下げてみせる。
だがベッドで一糸纏わぬ身体で弄りマワされた女は行為に没頭し続け、もはや誰が来たとかは関係ないという様子。
と言うよりか、既に瞳に常識的な光が宿ってすらいなかった。

「ぅぁあああ・・・んぅあはぁぁぁンンンンッ、っぅおおっぷぁ!」

鼻に掛かった甘い声が実に被虐心をそそられる。
その声の主はオ○ンコに、尻穴に、口内に・・・いきり立った肉の棒を一心不乱に求め続けていた。

「凄いな、もう尻にも咥えているのか」
「へへっ、それがこの女も相当の好きモンでして結構呆気なかったッスわ」
「清純派を売りにしていたのだがね」
「所詮そんなモンですよ、テメーを偽ってでも金を吸い出すだけの、その証拠に・・・ホレッ!!」

尻穴を犯していた男が言いながら尻を平手打ちして見せる。

「ぅんっぁぷっぁンゥゥ!」

何かの合図なのだろう、三穴を犯されている女の腰の動きが大きくなった。

「ね、もう完璧っしょ?」
「流石は仕事が早いな、感心感心」
「あと1日2日ぶっ通しにヤッたら完成って感じですね」
「フフ・・・こいつは繁盛しそうだな」

シルクハットの男が女の艶やかな髪を鷲掴みにして顔を覗き込んだ。
まるでパックを塗りたくった様な精液塗れの酷い顔面の女は肉棒を咥えたまま虚ろな瞳であった。

「良い表情をしている・・・このまま落せ、今回は早いしボーナス出すぞ」
「ありがとうございますっ!」
「いぇーいやったぜぇ」
「それにしても美味しい仕事だぜっ、コレは!」

踵を返したシルクハットの男の背中で歓喜する男達・・・。





「凄いっすね、徹底してますよコレ」

画面を見て感嘆の言葉を漏らすのは五反田。
麻雀店から帰って即、五反田にPCで調べさせた目黒にとってはイマイチその凄さが解らなかった。
機械音痴でネットやら全く理解不能だったという事に関して言えば、五反田と言う今時の居候を助手として雇ったのは大助かりである。

「本人が消したという線は無いのか?」
「いあ〜〜・・・本人は続ける気満々のカキコしてるからあんまりその線は無さそうっすね」
「ふむぅ・・・カキコなぁ・・・ ・・・」

大崎本人以外が意図的に消したというのは理解出来た。

「ここのツ○ッターで、ポテチ取ってくるってカキコしてるでしょ?」
「別に呟かなくても取ってくりゃいいじゃねーかよ」
「それ言ったら・・・ねぇ・・・」

本名 大崎ミナコ・源氏名 サクラ・在籍1年2か月・本年齢25歳、店内の年齢は22歳
店名はオッドアイという老舗中の老舗で、結構有名処のキャバクラ店であるのだが半年程度でNO1に上り詰めたそうだ。
22歳で群馬から上京したらしくそれまでの経歴は不明。
働きぶりは良好で遅刻無断欠勤などは一切なく、他の娘とも関係は良好だったらしい。
性格はおっとりとしていて金にはそこまで執着心は無かったそうで、自分から働きたいと履歴書を出してきたとの事。
・・・これらが李から得た情報だった。
その大崎ミナコはブログもやっていたらしいのだがそのブログも、その他色々な書き込みを残したネット媒体が全て消されている訳だ。
まるで存在を一切合財消したかのような・・・。

「ここまで全部消すケースってのは身元バレとかが多いけど、この娘は情報誌にも顔載せてたみたいだし・・・。
ブログでもツ○ッターでも普通にキャバの事書いてますから〜〜ね、ね、これは臭いますねっ!。
どっかに引き抜かれ来てみたらこりゃお風呂だったって感じですかねぇ〜。」

適当に相槌を打っておいて目黒は全く別の事を考えていた。
李が言っていた「言わナくテても解るデショ」という返事と、それを理解出来る者にしか思い付かない闇の世界の裏事情。
依頼元の佐伯タカユキは大手の役職持ちであった・・・ ・・・小遣いの方も普通のサラリーマンより大分多かった。
(ヤバい所に入り浸って抜け出せなくなったか?)
店側(?)としたら大金を払えるような上客なら消さずに借金を作らせまくって、その後で泳がすのが普通だろう。
(抜け出せなくなったとしたら・・・?。)
思考の片隅に嫌な展開が浮かびあがり、目黒は苦笑いしながら言葉で打ち消す。

「そりゃ・・・依頼達成出来る訳ないわ、な」
「は、え?」

五反田の言葉を背中で聞き流して目黒は煙草に火を付けた。
最早、警察の仕事だろうと心の中で付け加えながら・・・ ・・・。

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