魔を討つ者
kyousuke:作

■ 第1話 悪夢の始まり10

 岬はふと剣皇を見て思っていた……本当に自分は戦えるのだろうが?
「お悩みかね?」
丘の上の草原に座っていた岬はハッとした。其処には長い髪を紐で束ねた青年が立っていた……さっきまで居なかった筈だ。
「怪しい者ではない……君のお父さんとは知り合いなんでね」
「お父さんの?」
「名は老師……これでも300年は生きている龍族の長だ」
年頃は30代に見えるが岬は何と無く感じた。


 父はその老師を見た途端に真っ青になった。
「久しぶりだな、城一」
「老師、今更私にこの世界に戻させるつもりですか?」
「いや、岬を本当にこの道を歩ませるつもりかね……」
「出来れば…させたくはないです、だが娘は選んでしまった以上は」
老師は笑う、それは見下した笑いではない。
「城一…娘を預かる…」
「よろしくお願いします」
城一は静かに頭を下げた。

老師は岬が通う学校へと足を運ぶ。
「確かにこの気は尋常ではない。既に白鳳院姉妹はもう堕ちている……」
「そんな……」
「だが、君のクラスメートならまだ助かる可能性がある、白竜、蒼竜!」
すると二人の竜人が出現し更にもう一人の少年が現れた。
「阿蘇河 輝……君と同じ竜騎士だ」
よく見ると岬と似ている剣を抱えていて同じ歳に見えた。
「老師……この子が俺の妻に…冗談ですよね」
岬はあっけに取られた。
「その事ではない……この子と共に今からバランに捕えられた子供を救い出して欲しい」
「そんな! こんな足手まといは……」
「確かに彼女はまだ駆け出しだ、だが筋は君よりはいい」
「柊 岬です」
岬は軽く挨拶をするが輝はぶすっとしていた。

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