哀妹:芽衣
木暮香瑠:作
■ セクシーランジェリー登校4
「ねえ、ちょっと立って。藤原君と横に並んでみて。カメラテストするから」
芽衣は、藤原と並んで立たされた。柴田と真由美が、カメラを構えてファインダーを覗く。
「丁度いいんじゃない。芽衣ちゃん、相手役は藤原君がすることになってるの。恋人役ね。
二人の身長差、構図的にピッタリよね」
藤原は身長が170cmを超えるくらいだろう。兄の桂よりは少し低いが、芽衣と並ぶとお似合いのカップルに見えなくもない。
「ちょっと向き合ってみてくれる」
芽衣と藤原は、柴田に言われるとおり向き合って立った。
「やっぱ、丁度いいよ。キスシーンは、やっぱり、男がこれくらい背が高くないと様にならないもんね」
「えっ、キスシーン?」
「そうだよ。女の子が上を向いて、爪先立ちするくらいが丁度絵になるんだよ」
芽衣の顔が、みるみる桜色に染まる。
「芽衣ちゃん、ひょっとしてキスしたことないの?」
「キッ、キスくらい……したことあるわ」
芽衣は、強がって言った。実際、先日、兄と初めてのキスとした。その時のことを思い出して、芽衣の頬はますます赤くなっていった。
「そう、じゃあ、芽衣ちゃん、ちょっと上を向いて……、キスする格好してみて」
「えっ、キス……、するの……?」
芽衣は、好きでもない人と、キスをするのだけは嫌だった。たとえレイプされても、キスだけはしたくないと、いつも思っている。
「ううん、格好だけでいいから」
「格好だけでいいのね」
芽衣は念を押した。
「大丈夫だよ。本当に、キスはしないから」
藤原も微笑みながら言う。芽衣は、眼を瞑り、少し上を向くように首を伸ばした。赤く染まった頬、白い華奢な首が美しい。藤原は、片手を芽衣の腰に当て、キスをする格好をする。そして、もう一方の手を、芽衣の胸に持っていき、あてがった。そして強く揉んだ。
「きゃーーー、なにするの……」
芽衣は、藤原の胸を両手で強く突き放し、後ずさりした。
「格好だけって言ったじゃない。わ、わたし……、もう、モデルなんて引き受けない」
「キスはしないって言っただけだよ。キスはしてないだろ?
キスするとき、手を胸に持っていくくらい、普通のことだろ?」
藤原は、ニヤニヤしながら言う。
「そんなことないよ。胸に触るなんて……。
もう、絶対やらないからね、モデルなんて」
芽衣の反論にも藤原は動ぜず、手で胸をムニュムニュと揉むような仕草をしながら芽衣に近づいた。
「芽衣ちゃん、結構、胸あるんだね。柔らかい揉み心地だったよ。もっとペチャパイかと思ってた」
「やめてよ。わ、わたし…、帰る」
芽衣は、机の上に置いてあったカバンを取り、扉に向かって駆け出そうとした。
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