哀妹:芽衣
木暮香瑠:作

■ 恥辱の体育館2

「早く着替えてね」
 我に帰った芽衣は、紙袋の中からレオタードを取り出した。それは、通常の体操部が使う袖つきのものとは違い、肩が細いストラップで出来ていた。また、布地が薄く、芽衣の身体には小さく思われた。
「あ、あの……、これを着なくちゃいけないんですか? これ……、小さすぎます」
「あらっ、小さかった? 芽衣は小柄だから、これで大丈夫だと思ったんだけど。それ、よく伸びるから大丈夫だと思うけど……」
 何事もないように真由美は言う。
「で、でも…、これだと、下着が見えてしまいます」
「下着は脱いで着るのよ。下着のラインが見えちゃあ、かっこ悪いでしょ。早く着替えて」
「そ、そんなぁ……」
(裸にこれを着なくちゃいけないんだ)
 秘密を握られてる芽衣は、着るしかないと諦めた。芽衣は、更衣室に入る前、柴田がニタッと笑ったのが気になっている。
(きっとばれてる……、昨日のおにいちゃんとのこと……。だから、こんなレオタード着せるんだ……)
 下着を脱ぎ、レオタードに足を通し、ストラップを肩にかける。小さめのレオタードが、相乳を押しつぶす。ただでさえハイレグのレオタードが股間に食い込む。少しでもずれると茂みが見えそうだ。芽衣は、自分の身体を鏡に映して見た。押しつぶされた胸の頂上に小さな膨らみが見える。さっき、真由美の愛撫を受けた乳頭が尖り始めていて、薄い生地を押し上げようとする。股間の布地も、薄く、よく見ると翳りが見えそうだ。
(いやだぁ、気づかれないかな。どうしよう……)
 芽衣は、不安を抱きつつも真由美に連れられ体育館へと入っていった。

「あっ!!」
 体育館の入った芽衣は、戸惑った。てっきり、芽衣と柴田達3人だけだと思っていた。
(他の人もいる……。どうしよう)
 中には、柴田と藤原の他に、男子体操部員2人と女子体操部員2人がいた。練習のあと、そのまま残っていたのだろう。4人とも、体操のユニフォームのままだ。女子部員2人は、体育の授業でいつも顔を合わせている隣のクラスの川田と岡本だ。芽衣は、自然と手で胸と股間を隠してしまう。
「体操部の器具を使わせてもらうから、4人には残ってもらってるんだ。片付けなんか、俺たち、どうしていいか判らないからね」
 柴田は芽衣に言う。体育館の中央には、段違い平行棒がセットされている。
「芽衣ちゃんがモデルするって聞いたから、協力することにしたんだ。他の連中には使わせないんだけどね」
 男子体操部員は笑顔で言う。
「何いってんのよ。女子体操部の用具よ。ちゃんと時間が来たら片付けてよ」
「そうよ、そうよ。私たちまで、後片付けのため残ってるんだから。私たちは手伝わないからね、片付け……」
 女子部員の川田と岡本は、残されてるのが不満気に男子部員を睨んで言う。嫉妬と敵意のある視線が芽衣に突き刺さる。
「ちょっとかわいいからって、男子たち、芽衣に甘いんだから……」
「意外と胸、小さいわね。どこがいいのかしら……」
 川田と岡本の、小声の会話が芽衣に聞こえる。嫉妬心から、わざと聞こえるように話している。あまり美人と言えない2人は、男子部員に日頃から他の女子と比較されてる。その比較の対象の中に芽衣もいた。競技会のときでも、『顔がよければ得点も伸びるのになあ』とか『得点なんてスタイルで決まるんだよ』と言われていた。そんな女子部員たちには、スタイルがよくアイドルと言ってもいい端正な顔の芽衣は、嫉妬の対象なのだ。
「大胆なレオタードね。胸の尖り、あれ、乳首じゃない?」
「人気があるからいい気になってるんじゃない? 色気でも人気を集めようって……」
(ちっ、違うの……。好きで着てるんじゃあないの)
 芽衣は、心の中で呟く。男子部員たちは、芽衣のレオタード姿に歓喜し、足の先から頭まで視線を這わす。
「やっぱ芽衣ちゃん、何を着ても似合うなぁ。かわいいよな」
「ああ、露出が多くてもイヤらしくないもんな」
 男子部員2人は、熱狂的な芽衣のファンだ。そこを見込んで、柴田が協力を頼み込んだのだ。
「あっ、それからこれ、昨日の写真。芽衣ちゃんにもあげるよ。そろそろ撮影に入ろうよ」
柴田は、芽衣に大きな封筒を手渡した。芽衣は、その封筒の中の写真を、みんなに見えないように確認する。封筒の中には、大きく引き伸ばされた数枚の写真が入っている。写真は、昨日、部室で撮られたものだった。指がスカートの中に入っているところがはっきりと写っている。絶頂を迎えた顔も写っていた。数枚のオナニー・シーンの写真が入っていた。最後の一枚を確認した時、芽衣は愕然とした。自分の部屋で縛られている芽衣が写っている。ブラウスははだけ、相乳が縄に絞り出されている。股間には、兄が顔を埋めているところが写し出されている。その写真に写っている芽衣の顔は、口が開き頬は紅潮し、絶頂を迎えていることを伺わせるものだ。
(ああ、どうすればいいの。や、やっぱり覗かれている……、昨日のこと……)
「みせてよ、写真」
「どんなとこ撮ったの? 見せて……」
 男子部員の2人が覗き込んでくる。
「だっ、だめ……。だめぇ……」
 芽衣は、慌てて写真をしまい、封筒を背中に隠した。
「芽衣ちゃん、写真預かっておくね。撮影の邪魔になるから……」
 背中の封筒を真由美が取り上げた。そして、撮影は始まった。

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