緑色の復讐
百合ひろし:作

■ 第二話1

青山遥はクラスメート全員の前で公開オナニーをさせられた次の日から学校に来なくなった。そして2日後───、
「残念な知らせだ。皆が入学して僅か一月しか経って無いけど、青山さんが昨日退学届けを持って来た」
と担任はホームルームで言った。担任にとっては突然の事だしその時の遥の表情から、決意は相当固いと見ていたが、説得しようにも逆にここで何があったのかを問い詰めようにも、遥は頑として話そうとしなかったので諦めたのだった。そこで男の教師には話し辛い事なのかも知れないと考え、ホームルームで皆に心当たりが無いかを聞いてみた。すると、
「青山さんは陰で相当いじめを受けていたという噂が……。私達が彼女の家に行って慰めてきましょうか───」
と言った生徒がいた。小夜子である───。白々しいにも程がある。しかし、クラスメートの誰もそれに対して意見など言えなかった。本当の事を言えば次は自分がいじめのターゲットになる訳だし、それ以前に遥を裏切りオナニーさせられてる遥を小夜子グループと一緒に鑑賞していた残りのクラスメートに小夜子の事をとやかく言う資格など無かった。そして小夜子はそんなクラスメートを心から嘲った。
「フフッ、皆同罪よ……特にあの二匹の事、青山は恨んでるでしょうね」
小夜子は表向きは悲しそうな表情を見せながらも遥に対して友達ではないと宣言してしまった元友人の方を軽蔑の眼差しを向けて思った。そして意地悪く話を振る───
「貴方達、青山さんの住所知らないの?」
すると2人共聞いてないし行ったこともないと答えた。担任はその返答に、あれだけ親しくしていたのに、と驚いた。小夜子は今の状況でその2人が自分に対して嘘を言えるとは思えなかったので担任に住所を教えろと迫った。担任は渋ったが、小夜子は、
「こんな短時間で退学者を出したんでは担任として資質を問われませんか?いじめですよいじめ。噂が本当なら───」
と言った。担任は仕方なく住所を教え、
「今からでも説得出来れば───再入学みたいな形で出来ないか話してみる」
と言った。小夜子は、
「お任せ下さい」
と言った。嬉しそうに───。しかし愚かな担任には解らなかった。小夜子の表情は居なくなったクラスメートの安否を心配するものでは無かった事だと。

「真由羅、貴方は残りなさい」
小夜子は真由羅に教室に残っている様に指示をして、遥が住んでいるマンションに向かった。その間色々な話をしていたが、遥の事を裏切った2人を次の餌にしようかという話になった。
「そうね。確かに簡単に裏切る性格だからいつボロを出すか───その前に始末したいわね」
小夜子はそう答えたが興味無さげだった。だいたい可愛くないその他大勢な感じなのでグループに奴隷としても引き入れるメリットが無い。何れ邪魔になるだけだから、何かあった時には遥の件を引き合いに出して嚇すだけで良いと思った。
そうしているうちに遥が住んでいるマンションに着いた。しかし、厳重なセキュリティが掛っていて入れなかった。
仕方なく近くにあるタッチパネルで部屋の番号を入力し、コールを掛けるが反応が全く無かった。
「ガン無視かよ」
「カメラがあるからアタシ達が見えてるんじゃね?」
グループのメンバーは悪態をつき始めた。小夜子は何も言わずにもう一度コールを掛けた───。

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