右手の中指
田蛇bTack:作
■ 1
≪第一話≫
「あっ、ぅう、あぁっ…」
ダメだ、ダメだ。。声が大きくなりすぎちゃったら、ママにバレちゃうよ…。
今日も私は布団に顔を押し付けて声を殺し、ひとりでオナニーをたしなんでいた。
オカズは新しいパパ。あんなママに似つかわしくない、なんというか、ダンディーな人だ。決して若くないし、それどころか人から見れば私のおじいちゃんに間違えられてもおかしくないヒト。なんていうか、目にやどる光りがあやしくて、その目を見るたびになんだかドキっとしてしまう。
「「ママと結婚したのはね、本当はキミに近づくためだったんだよ」」
妄想の中でパパが言う。もう興奮が止まらない。私の右手の中指はク●トリスをじらすようになで、そして膣に入っていく。
グチュグチュグチュ……
指が鳴らす音がいやらしいから、わざと耳を澄まして聞いてみる。
なんだかお茶でもたてているような気分になる。軽く素早く左右にかき回すように泡立てるようにすると、すっごく気持ちいい。
あぁ、私もこんな音を立てるような大人のオンナになったんだな…。
実際私は処女だけど、こんなにみだらなら、処女だってバレないと思えた。
そもそも私がオナニーを覚えたのはもう何年も前のこと。クラスの男子と本気で喧嘩して、男子がこぶしでなぐってきたのがソコだった。男の子なら急所だろうけど、私には痛みよりも先に、じゅわーっと広がるような心地よい熱さが伝わってきた。
あの時は恥ずかしくてそのままそそくさと逃げ出したけど、まっさきにトイレにかけこんで、おそるおそる自分の指でパンツの上から熱くなっている部分をなぞったのを覚えている。
今までに知らない感覚…。誰にも秘密にしなくてはいけない感覚だと小学生ながら、なんとなく悟った。
それから、夜になる度に指でソコを懸命にこすった。ある一定以上こすっていると、急に背中に電気が走ったような感覚になって、顔まで熱くなって、それから深い海の底に沈んでいくような安らかな気持ちになる。…たいていの場合そのまま私は寝てしまうんだけども。
それが「イク」という感覚だとか、行為自体がオナニーということだとか、何も知らなかった。というか、誰も教えてくれなかった。
ただいつも、自分の右手の中指がもっと素早く動けばな、とだけ思っていた。
■つづき
■目次
■メニュー
■作者別