売られた少女
横尾茂明:作

■ プロローグ2

「フン! 旨く言い逃れたもんだネー」

「お・・お前・・妬いてんのか?」

「・・・・・・・」

「若旦那! あの娘の体は絶品ですぜ・・そりゃー1度見たら手放せなくなりますよー!」
「ああゆうのが男をとろかす体と言うんですかねー。
 お乳も尻も・・そりゃー肌にくっつきそうなくらいの餅肌でね」
「色の白さなんざー混血特有の透けるような肌ですぜ!」

「ほー! そんなにいいのかね?・・・・・」

「そりゃーもー震い付きなるくらいですぜ!」

「まっ! それならご主人!・・一度拝ましてもらってから決めるとしようかね」

「旦那さん・・是非とも決めて下さいましな・・うちも今は
 火の車でね、若い芸子がこの前も男と駆け落ちされて
 後は婆さん芸子ばかり!、商売になりませんのよ」

「しかし・・まだその娘、中学生なんだろ・・いいのかい
 後々警察沙汰は絶対いやだからねー」

「そりゃーもー若旦那には御迷惑は掛けませんや・・日頃からあの娘には充分に言い聞かしておりやすからね」

「本当かい?・・じゃぁ・・ちょっと娘さんを見せてもらおうじゃないの」


「それにしても・・・あの娘・・きょうは遅いネー」
「お前さん・・ひとっ走り見てきておくれ」
「何処かで道草でもしてたら・・首根っこ引っぱっておいでな」

「んー・・じゃぁちょっくら見てくることにしようか!」
「若旦那、それじゃーちょっと待ってて下さいましよ!」

久三は下駄をつっかけ表に走り出た。

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