夢魔
MIN:作

■ 第6章 陥落(弥生・梓・沙希)10

 梓は四つん這いの姿勢で、廊下の隅まで行き、床にディルドーを突き立てると、それを跨いでオ○ンコに納める。
 ブヒブヒと鳴きながら、腰を上下に揺らし、快感が高まった時、ナースセンターで事件が起きた。
 梓がオナニーをしているすぐ前の部屋が、ナースコールを押したのだ。
「お、やばいぞ…ナースコールが鳴った」
 狂が梓に知らせると、梓は視線をカメラから外すと、ビクリと震える。
 目の前の病室の入り口に付いて有る、コールランプが赤く点灯していたからだ。
 梓はその瞬間、[ブヒーッ]と高く鳴き、絶頂を向かえる。
 梓はへたり込む余裕もなく、ディルドーを咥えると、その場を立ち去ろうとする。
 看護婦の足なら間違い無く、余裕が有った筈だが、角を曲がって来たのは、スラリとした男性医師だった。
 梓はその姿を見て、凍り付き狼狽える。

 稔は狂からマイクを奪い、梓に指示を出す。
「立ち上がって、左の扉に入りなさい。入ったら直ぐに鍵を掛け、奥の扉から出るんだ」
 稔の指示に梓は、ビクリと震え直ぐに行動を起こす。
 梓の携帯から、柏木が梓に声を掛けたのが、流れた。
「狂…これは、計算外ですか…」
 稔が静かに狂に問い掛けると
「ああ…だから、今フォローしてる…」
 狂はめまぐるしくキーボードを叩き、複数の部屋のナースコールを反応させ、ナースセンターを空にする。
 しかし、監視カメラの映像に映る、柏木医師は梓が入った扉に掛けた鍵を、ポケットから取り出した鍵で、解錠した。
「ちっ…マスターキーを持ってやがる…こいつ、何モンだ…」
 狂が毒づくと、稔が指示を出す。
「梓…左手2つ先の扉を開けて、中を覗き込んだら、直ぐに廊下に戻りなさい」
 梓は必死に走りながら、稔の指示に従う。

 扉を開けた瞬間、梓の身体が硬直した。
「直ぐに踵を返して、逃げなさい」
 稔が梓に指示すると、扉を離し廊下を駆け出す梓。
 その直ぐ後を、柄の悪い男達3人が、廊下に飛び出してきた。
 そこに、柏木医師が現れ、男達に詰問する。
 男達は柏木に目を向けるも、直ぐに梓の後を追い掛け始める。
 柏木が男達に追いつくと、一人の肩を掴んだ。
 3人の男達は、柏木を取り囲み殴り始める。
「梓直ぐに右のトイレに入り、突き抜けて反対の廊下を走りなさい」
 稔の出した指示を受けて、梓が男子便所の角を曲がった瞬間、エレベーターホールから、警備員が流れ込んで来た。
「梓、直ぐにエレベーターホールに行って、中央階段室に急ぎなさい」
 稔が指示を出し、梓が走り抜けると、各部屋に散っていた看護婦が、廊下の騒ぎに飛び出して来る。
 柄の悪い男達は、警備員に取り押さえられ、ボコボコに殴られた柏木医師を心配そうに、看護婦達が取り囲む。
 梓は中央階段室で、踞りガタガタと震えている。

 すると、階段室をカンカンと駆け上がって来る音に、気付いた梓が5階に進んだ。
 5階は、VIPの病室と、各部の部長室や院長室や会議室が並んでいて、殆ど梓でも足を踏み入れないフロアーだった。
 狂が稔から、マイクを奪いとると、梓に指示を出す。
「牝豚…アクシデントが有ったから、これが最後の命令だ…。右に曲がって、3ッつめの部屋に入れ」
 狂が指示を出すと、梓は怖ず怖ずと指示に従う。
 狂は自分の指示に従う時と、稔の指示に従う時の反応の差に、ムッとする。
 梓は指示のあった部屋の前に来ると、溜息を吐いた。
 部屋の扉には、[外科部長室]と書かれたプレートが、張ってあったからだ。
 稔は指示を出した狂を見詰めながら
(この部屋の主と、梓が関係しているってデーターは、頭に有ったんですね…しかし、当の本人が下でノビて居るとは、思わなかったでしょう…)
 モニターの端に、5人の看護婦に至れり尽くせりされている、医師の姿を確認する。

 梓は顔を持ち上げると、思い切って扉を開いて中に入る。
「よし、そのまま進んで、机の上に乗れ」
 梓は狂の指示通り、机の前まで進み、躊躇いながらも上にのぼる。
「机の真ん中の引き出しを開けろ」
 梓は何の意味が有るのか解らず、首を傾げながら指示に従う。
「尻を机からはみ出させて、しゃがみ込め…。準備が出来たら、栓を抜け…」
 狂の指示に、梓は固まった。
「狂…それは、やり過ぎでは無い…」
 稔が狂にボソリと、囁くと
「こうでもしなけりゃ、俺の気が済まないんだよ! こいつの態度は、ずっと頭に来てたんだ! 反抗的でな!」
 狂が稔に向かって、まくし立てる。

「俺の命令にはトロトロしやがるくせに、お前の命令だと、即座に反応する! ムカ付くんだよ!」
 粘質性の強い狂ならではの、思考パターンの逆鱗に、梓は知らず知らず触れていたのだ。
 稔は肩を竦めると、もう何も言わなかった。
 狂はそれを、睨み付けながら歯噛みすると、モニターに顔を向ける。
(まったく、どいつもこいつも、稔、稔って言いやがる! こいつの、何を知ってるつもりなんだよ! …ムカ付く…)
 モニターを睨み付けながら、狂は苛立ちを募らせる。
 モニターの梓は、そんなやり取りを露程も知らず、狂の指示をモタモタと実行していた。
「早くしろ! この牝豚! なんなら、その格好で大通りを歩かせるぞ!」
 狂が苛立ち紛れに、梓に怒鳴ると、梓はビクリと震え、動きを早める。
 机の上にしゃがみ込むと、梓は手を後ろに回し、アナル栓を抜いた。
 勢いよく、アナルから茶色に染まった、浣腸液が飛び出し、柏木の机の引き出しに溜まってゆく。
 梓は悲しそうな、豚の鳴き真似を漏らしながら、排泄の快感に染まって行く。
 ゾワゾワと背筋を這い上がるような、倒錯した快感を、梓は困惑しながらも、受け入れる。
 それが、二度と戻れない坂道で有ると知っていても、今の梓には進む以外、道はなかった。
 豚の面の下で、恍惚の表情で、涙を流す梓は、マゾそのものだった。

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