夢魔
MIN:作

■ 第29章 暗転15

 真は全員の下腹部に[気]を充てながら、下腹部の筋肉の緊張を取り去り、カテーテルを挿入して行く。
 奴隷教師達はその違和感を感じながらも、真の処置のお陰で、痛みを訴える者は誰1人いなかった。
 全員の尿道にカテーテルが入ると、真は奴隷教師達にトイレに行って、キャップを抜くように指示する。
 奴隷教師達は真に言われた通り、トイレに行って順番に個室に入ると、キャップを抜き膀胱内を空にして青い表情で部室に戻ってきた。
 黒澤が怪訝そうに尿道口を見ると、尿道口は個人差はあるが直径8o程に拡がっており、誰1人500gの圧力を押さえ込めていない。

 真はニコニコと微笑み、奴隷教師の下腹部に[気]を充て、筋肉の使い方を教え、カテーテルを絞め付ける方法を教える。
 その教えを受け、奴隷教師達は見る見るコツを掴み、500gの圧力をねじ伏せて行く。
(この人の教育は、まさに至れり尽くせりだな…。奴隷教師の源さんを見る目付きが、全員変わって来た…。それは、そうか…これだけ優しく、気持ち良い事をしてくれる者を、誰も嫌いに成る筈が無い。それも、桁外れの快感のようだし、うかうかしてたら奴隷教師達の服従を、根こそぎ持って行かれる恐れがある。私達もしっかりしなければな…、調教教師全員に再徹底させよう)
 黒澤は頬を赤く染め、ウットリと真を見詰める奴隷教師達を見て、苦笑いを浮かべ気を引き締めた。

 真は2時間程を掛けて、黒澤派の奴隷教師24人に尿道の教育を終えると
「では、最初の5人の方以外は、今日はもう何も有りませんので、解散させて頂いて結構です」
 黒澤に伝える。
 黒澤が頷き、奴隷教師に伝えると、全員不満を顔に浮かべ項垂れた。
「あ、あの〜…、見学させて頂く訳には、参りませんか…?」
 その中の1人が、モジモジと申し出ると、次々に懇願を始め、全員が申し出る。

 真は困った顔をして
「う〜ん…全員がこの部屋で見学されるとなると…、流石に気脈のコントロールに支障を来します…。ですから、5回に分けて数人ずつ見て頂くようにして貰えますか?」
 真が提案した。
「解りました、順番に見させて頂く事にします。おい、順番を決めておきなさい…」
 黒澤が奴隷教師達に告げようとすると、既に後ろでジャンケンが始まり、順番決めが行われていた。
 黒澤は呆れ果てた顔で、奴隷教師を見ていると、部室の扉がいきなり開く。
「あ〜! やっぱりここだったんだ! 黒澤先生、ずっと源さん使わなかったのに、私が抜けたら直ぐに頼まれるなんて、狡いです!」
 部室の扉の向こうに、長身の女性が怒りながら、黒澤に抗議する。

 扉を開けて現れた女性は、光子だった。
 光子は、黒澤の元から離れ、京本のグループに戻っている。
 その理由は、黒澤が真に、一度も接触しようとしなかったからだ。
 光子は真に教育された事が忘れられず、ズッと再教育の機会を狙っていた。
 だが、黒澤は一向に真との関係を築く事無く、自分達独自の調教を行う。
 業を煮やした光子は、今回の再編を機に京本の元に戻り、真への依頼を進言した。

 始めは渋っていた京本も、審査を受け志保理が不合格に成ると自分の力だけでは、どうにも成らない事を理解し、真に依頼する事を承諾する。
 光子は喜び勇んで真の元に走った。
 しかし、その肝心の真の姿が何処にも見あたらない。
 真を探し学校中を駆けずり回って、携帯の探査機能を使い、黒澤達が何時間も同じ場所から動かない事を訝しんで、見に来たのである。

 突然乱入して来た光子に、黒澤が話し掛けようとすると
「おい、光子! ここは、俺達のグループが使ってるんだ。俺の制止を振り切って出て行ったのに、良く顔が出せたな!」
 山孝が光子に詰め寄り、恫喝した。
 光子は山孝の剣幕に、ビクリと震え
「孝さんには関係ないモン! 私が用があるのは、真様なんだモン!」
 怖じ気づきながらも、しっかりと用件を告げる。

 真が名前を呼ばれ、入り口に近づくと、光子の顔がパッと輝き
「真様〜! 光子達を教育して下さ〜い」
 長身を投げ出しながら、真に飛びつこうとした。
 その瞬間驚いた事に、黒澤派の奴隷教師達が、全員で光子を止める。
 24人の奴隷教師が真と光子の間、僅か数mの距離に身体をねじ込み、あっと言う間に人の壁を作って、光子から真を遠ざけた。
 そのチームワークに、黒澤は苦笑しながら
「山基先生、源さんはたった今、私と半月間の契約を結んだ所だ…。悪いが、君達の教育が入る余地は無いよ。半月待ってくれ」
 光子に状況を説明する。

 だが、光子は黒澤の言葉にも引き下がらず
「そんな、真様を独り占めするなんて、狡いです! 狡い! 狡い! 狡い〜!」
 地団駄を踏んで猛抗議した。
 真は顔から表情を消して、真っ直ぐに光子を見詰めると
「山基先生…申し訳有りませんが、私をその呼び方で呼ぶのは止めて下さい。私をその呼び名で呼ぶために、かなりの努力をした方達が居ます。貴女のその行為は、その方達への侮辱以外の何物でも有りません」
 真は光子が真の事を[真様]と呼んだ事に、相当の苛立ちを覚えていた。

 真の意外な剣幕に、光子はビクリと驚き言葉を飲み込む。
 しかし、その言葉に驚いたのは、光子だけではなかった。
(確かに、主従契約を結んで、普通は[様]を付ける…。しかし、聞いた所に因ると、源さんはSMに興味は無かった筈だが…)
 黒澤は真の顔を見ながら、意外そうな表情を浮かべる。
(美由紀があれだけ決意して、弥生に許可された呼び方を、易々と許していては、美由紀の気持ちを踏みにじってしまいます…。その呼び方だけは、おいそれと認める訳には、いきません)
 真はジッと光子を見ながら、光子の謝罪を待った。

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