夢魔
MIN:作

■ 第31章 農場36

 純はガックリと肩を落とし項垂れたまま、大きく深い溜め息を吐くと、
「どうして、みんな、僕の言う事を聞いてくれないの…。どうして、こんな問題ばっかり起きるの…。僕が悪いの…」
 ブツブツと呟き出す。
 その呟きはドンドンと小さく成り、口の中で籠もる様な大きさに成る。
「もう良い…もう良いよ…。みんなが勝手をするなら、僕も知らない…。好きにすれば良いよ…」
 暫く呟いた純は、ユックリと顔を上げると少女達を無表情で見詰め
「君達の望み通り、僕の奴隷にして上げる。嬉しいでしょ?」
 純は3人の少女に向かって、隠す事無く自分の言葉で告げる。

 少女達の頭はもうこの状態を理解出来なかった。
(な、何で…、工藤様がここに居るの…? 奴隷にするって、どう言う事…? 何で? 何で…?)
 無数のクエスッションマークが脳内を飛び交い、何をどうして良いのか、全く分からない。
 黒沢は奴隷宣言をした純の硬い表情を見詰め、少し怪訝な顔をする。
(あれは、気弱な方の性格…だよな…。一瞬だが、同じ意志の強さを感じた…。どうなってる?)
 純の表情の中に、狂の様な意志を感じ、黒沢は探る様に目を細めた。

 純は黒沢や、指導教師達に視線を向けて、最後に視線をキサラに向けると
「このバグの大元は、キサラさん貴女なんですから、ちゃんと協力して下さいね」
 キサラに純が告げると
「わ〜ったわよ…。協力します〜」
 ブスッと膨れた顔で、純に答える。
「真さんも、協力お願いします」
 純が真に向かって、硬い表情のまま依頼すると
「ええ、リーダーは貴方なんですから、協力は惜しみませんよ」
 真はニッコリと微笑んで、快諾した。

 そして黒沢に視線を移すと
「先生方も、お願いしますよ」
 黒沢にも協力を依頼する。
「ええ、分かりました。指示に従うのがこの契約ですからね…」
 純は黒沢の返事を聞くと、少女達に視線を向け
「僕に迫ったかと思うと、人の忠告も無視して、勝手放題…。貴女達は、そんなにこの世界が知りたいんだね? 良いよ、教えて上げるよ…、徹底的に…、その奥底まで…」
 ジッと睨みながら、静かに宣告した。
 少女達はその迫力に言葉が全く出ず、ガタガタと震え純を見詰める。

 宣告した純の行動は早く、しかも徹底した体制を作る。
 純は携帯電話を取り出すと、ダイヤルを始め教頭に連絡を取り、3人の家庭に連絡を入れさせ、10日間学校で泊まり込む事を通知させた。
 そして、少女達に視線を向けると
「僕の最初の命令だよ、3人とも今日から10日間、授業にも出なくて良いし、家に帰る事も無いよ。その間、ずっとここにいる人達に、調教をして貰って」
 少女達に最初の命令を伝える。

 少女達はその命令を聞いて、目を剥いて驚き嫌々をするが、純はそれを無視し
「真さんは、この3人の性器とテクニックを森川姉妹程度に成るまで、鍛えて下さい」
 純は真に向かって教育内容とレベルを決め、依頼する。
「えっ! あのレベル迄上げると成ると、相当大変ですよ?」
 真が驚きながら、純に問い返すと
「僕の決定です。従って下さい」
 頑なな表情で、真に告げた。
 真は純の言葉に溜め息を吐いて、教育を承諾する。

 次に純は調教教師達に視線を向けると
「黒沢先生は痛みを教え、山孝先生は身体を鍛えて、京本先生は羞恥、大貫先生には礼儀をそれぞれ担当して貰います」
 純は調教教師にそれぞれ得意とする分野を担当させた。
 黒沢が無言で頷くと、後ろに立っていた教師達も無言で頷く。
 純は最後にキサラの方を見て
「キサラさんはSMを教えて上げて下さい。お願いしますよ!」
 強い口調で念を押す様に依頼した。

 キサラは純に言われ、渋々頷くと
「教えるからには、徹底的にやるけど…。この布陣やり過ぎじゃない? 死んじゃうわよ…」
 ボソリと呟く様に意見する。
「死にません。死にたいとは思っても、そんな事には成りませんよ。みんな、それぞれエキスパートですから…」
 純はそう言いながら、調教師達を見渡し、最後に3人に視線を向けた。

 3人は今迄全く見た事のない純の態度を見て、顔面を蒼白にし寄り添って震える。
 純はそんな3人に近づき
「今からお望み通り、君達は24時間体力の続く限り、奴隷として調教されるんだ。これで満足でしょ?」
 静かに宣告しながら、鍵を銀鍵に変えた。
 3人の頭の中は、真っ白に成り、返事も返せない。

 純は鍵を着け終えると、再度調教教師達を見渡し
「それじゃ、宜しくお願いしますね。僕は10日後受け取りに来ます」
 3人の調教を丸投げして、背中を向けるとスタスタと剣道場を出て行った。
 呆気に取られた顔で、調教教師は純の背中を見送る。
「一体、彼に何が有ったんだ…」
 黒沢がボツリと呟くと
「恐らくストレスですね…。もう1人の彼が居なく成って、今は彼が責任者で計画を進めています。本来の彼だとこの状況なら、とっとと入れ替わって居る筈ですが、今はそれも出来ないし、この所のトラブル続きも、原因の一つでしょう」
 もう姿の見えなく成った純が、まだ見えている様な視線を向け、真が静かに小声で告げた。

 その真の言葉に、キサラが右手の小指を立て
「これも、大きな原因よ。その子らに迫られてから、[口利いて呉れないって]喚き散らされたわよ…。あんた達に相談して、対処を考えようと思ったけど、まぁ、図らずも解決しちゃったわね」
 黒沢達にウンザリした表情で話す。
 少女達は、真、キサラ、黒沢、山孝、大貫、京本の6人に囲まれ、その圧力で息すら苦しくなって来た。
 この学校の最強調教師達に10日間、みっちりと調教を施される少女3人。
 その出来映えは、想像をするに容易いが、調教の過酷さもまた同じだった。

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