夢魔
MIN:作

■ 第32章 崩壊13

 地下2階の薫の調教ブースに、コール音が響いた。
 女性徒の激しい悶え声の中、1年生風紀委員の小柄な方がそれに気づき電話を取る。
 3年B組の女性徒10人は、自ら率先して、この年下の風紀委員達に身体を投げ出し、痴態を晒して、奉仕できる事を喜んでいた。
 何故ならこの2人の風紀委員が、本当は自分達を救ってくれたと知ったからだった。
 1年生風紀委員の小柄な方は、1年A組の風紀委員で、黒江拓人(くろえ たくと)と言い、大柄な方は中津川慶太(なかつがわ けいた)、B組の風紀委員で、2人とも1年生学年委員長の弥彦の親友である。

 悦子の癇癪から3年B組襲撃計画が、持ち上がりそれを弥彦に相談して、この計画が出来上がった。
 3年B組の女性徒が罪に落とされるのは、確実なのだが、それが他の心ない風紀委員の手に落ちると、確実に酷い目に逢う。
 この事から何とか自分達で大量に保護し、監督官に成れれば、それだけ緩和した対応が出来る。
 そう、弥彦に持ちかけたのだ。
 すると弥彦は、どこからとも無く、スコープと催淫ガンのセットを持って来て、拓人に渡し
「出所は聞くな。物も人に見せるな…」
 そう言って使い方を教えたのだった。
 そして、首尾良く10人の3年生を罪に落とし、地下に連行して事情を説明した。
 初め10人の女性徒達は、それを信じなかったが、拓人と慶太の言葉に嘘は無く、その理由に納得する。

 電話を切った拓人が戻ってくると
「やっぱり、罪科は[備品]だって…。多分一番きつい奴だと思ってたけど、本当に成るとはね…」
 ボソボソと呟きながら、心配そうに見上げる女性徒の頬を優しく撫で
「お姉さん達…頑張ってね…。ここは、10人いるけど、それでも辛いと思うよ…」
 優しい瞳で見詰め、励ました。
 女性徒はその言葉を聞き、赤く頬を染め拓人の撫でさする手に、自分から擦り付ける。

 慶太が女性徒の頭を撫でながら
「何、良いクジを引けば、恥ずかしい程度で終わる…。辛い奴が当たっても、監督官権限で救ってやるさ」
 笑い飛ばして、大見得を切る。
「馬鹿、そんな事したら、他の人に皺寄せ行くだろう。ここにいるお姉さんと、他で監督されてるお姉さんは、何の違いも無いんだからね…。僕は、そこは平等にするべきだと思う」
 拓人が唇を尖らせて、慶太に抗議すると
「お前こそ、馬鹿だぜ。ここに居る先輩達は、俺達に奉仕してくれるんだぜ。それを、余所で奉仕するもんと一緒にしたら、それこそ先輩達に失礼だろ!」
 慶太は拓人に言い返す。
「好きで奉仕するならね…。林葉先輩5人堕としたんだって…その内の2人は、両副委員長の管理奴隷だって…」
 拓人が電話で聞いた情報をボソリと呟くと、その場の空気が、一瞬で重くなった。

 そんな中1人の女性徒が進み出て
「うん、そうよ。私達は恵まれてるの。ここは、みんな忘れちゃ駄目だと思うわ。だから、私達は出来るだけ受刑して、みんなの負担を減らしましょ」
 他の女性徒に申し出ると、拓人がスッとその女性徒の肩に手を置き、静かに首を左右に振る。
 意見を言った女性徒は、拓人の方を振り向き、キョトンとした表情で見詰めた。
「ごめんなさいお姉さん。それも出来無いんだ…。それをすると、僕達が庇護している事が、上にバレてしまう。あくまで、皆さんも僕達に酷い目に逢ってる姿勢を保って欲しいんです。そうしないと、このグループも解散させられてしまいます」
 拓人は意見を言った、女性徒に静かに告げる。

 その寂しそうな拓人の表情を見た、女性徒はドキンと胸が高鳴った。
「あ、あの…。申し訳ありません…。浅薄な考えで、意見を言ってみんなを混乱させて…あの、済みません」
 女性徒はあたふたと慌てながら、拓人に謝罪する。
 拓人がその女性徒の顔を、ソッと持ち上げ正面から見詰め
「いいえ、お姉さん…。貴女は、みんなの為を思って発言されたんです…。それはとても、素敵だと思います」
 甘く優しい声で囁くと、スッと顔を女性徒に近づける。
 女性徒は頬を赤く染め、目をウットリと閉じ、唇の力を抜いた。
「てめぇ! それは無しだろ! この女こましが!」
 慶太がその瞬間、拓人の顔面を分厚い手で握り、女性徒から引き離す。

 小柄な拓人はその動きで、ゴロゴロと床を転がり、跳んで行く。
「あてててっ…。何するんだよ慶太!」
 拓人は頭を押さえて、慶太に抗議すると
「お前がその口説き方したら、10人独占じゃねぇか! それに、それは、無しだって約束だろ!」
 慶太は目を剥いて拓人に怒る。
 呆気に取られている女性徒達に、慶太は拓人を指さすと
「こいつは、この顔とあの囁きで、高校入学前に100人近い女の人を口説き落として、姦ってるんだ! 俺みたいながさつが、太刀打ちできる訳無いと思いません?」
 女性徒達に同意を求めた。

 女性徒達は目を丸くして驚くと、2人を見比べクスクスと笑い初め
「あら、私は慶太様の方が好みですわ…、この引き締まった身体素敵ですわよ…」
「うふ、私も慶太様の方が好きですわよ…、荒々しい言葉遣いの中にも、優しさと誠実さが滲み出てますもの」
 そう言って、2人の女性徒が慶太に取り付くと、残りの女性徒も慶太にすり寄り、口々に褒め始める。
 慶太は初めての出来事に、真っ赤になりながら
「や、ま、待って先輩…。ちょ、待ってって!」
 10人の女性徒に押しつぶされた。

 慶太は3年生の身体の隙間から手を伸ばし
「拓人〜〜〜」
 弾き飛ばした自分の親友の名前を、情けない声で叫んだ。
 拓人は溜め息を吐いて、慶太を中心にした人の山に進み、女性徒の快感点を刺激して
「僕を除け者にするんですね…。意地悪しますよ」
 5人の女性徒を、自分に誘導する。
 拓人の繊細な指捌きに、女性徒達は官能を擽られ、誘われるがまま拓人に取り付く。
 女性徒達は我を争い、2人の監督官に感謝と親愛の情で、奉仕を始めた。
 10人の女性徒の淫らな感謝は、放課後まで続き、女性徒達は自宅に帰る。
 次の日の朝からは、重い懲罰の日々が始まるが、素敵な監督官に支えられ、彼女達は安らかに眠れた。

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