夢魔
MIN:作

■ 第32章 崩壊31

 稔は悦子の治療を終えて、隣の市の総合病院に戻っていた。
 悦子の証言から、小室も佐山に操られている事を知り、小室を呼び出して後催眠を解除し、時刻は6時を少し回っている。
 稔が総合病院の最上階に着くと、ピアノの音が流れてきた。
(おや、この音は美香…。ああ…、確か、今回が確か最後のコンクール…。済みません…美香…、貴女の夢を奪ってしまいましたね…)
 稔は美香の寂しげなピアノの音を聞き、逃亡生活に巻き込んだ事を心の中で謝罪する。

 美香は病院長室に置かれた、グランドピアノの椅子に座り大きく溜息を吐いた。
 このピアノも稔達の避難生活のため、溝口が新しく買い求めた物だった。
 美香は頭を振ると、ピアノの鍵盤に指を這わせる。
 澄んだ音を立てて、真新しいピアノが鳴り響く。
(最後のソロコン…出られなかったな…。最優秀が目標だったのに…結局取る事は出来なかったわ…まぁ、純様が居るから仕方ないけどね…)
 美香は寂しそうな微笑みを浮かべ、また指を鍵盤に落とす。

 そんな医院長室の扉を開けて、稔が入ってきた。
「美香済みませんでした。ソロコンのエントリー、今日まででしたね…。ドタバタした事に巻き込んでしまって…」
 稔は美香に素直に頭を下げる。
 美香は稔が頭を下げた事に、慌てふためき
「や、止めて下さい稔様…私は稔様の持ち物です…ご主人様が、頭を下げる事なんて、有ってはいけません」
 必死に稔の頭を、上げさせた。
「私は世界中の誰の言葉より、稔様の言葉が何より重いのです。そんな稔様に謝られたら、私の身体…言葉の重さで、潰れてしまいます」
 美香ははにかんだような困ったような笑顔を浮かべ、稔に告げる。

 稔は釣られたように、美香に笑顔を浮かべると
「美香の曲を聴かせて下さい。コンテストで引く予定だった奴です…」
 美香に優しく静かに言った。
「はい。ご要望なら、美香は何なりとお答えいたします」
 美香は蕩けるような、微笑みを浮かべて、稔に一礼してピアノに向かう。
 美香は背筋を伸ばし、目を閉じると静かに鍵盤に手を乗せ、指を走らせる。

 ラフマニノフのピアノ協奏曲が、静かに総合病院の院長室を満たし始めた。
 自由なソナタ形式の静謐で情緒的な雰囲気の中に、激しさが秘められている難曲だ。
 展開部から再現部への移行時に、主題の再現をかねた壮大な部分があり、これをラフマニノフは2種類用意している。
 美香は様々な和音が乱舞する、カデンツァと言われている方を選び、一心にピアノを奏でていた。
 短いコーダーが終わり、間奏部に入る時、稔がソッと傍らに並び立ち、[行くよ]小さく、美香の耳元に囁いた。
 なんの事か解らなかった、美香が驚いていると、鍵盤の上に稔の手が下りて来て、美香より2音高いキーで、弾き始める。
(え、ええ…有り得ない…こんな事したら…普通音が壊れるのに…)
 美香が戸惑いながら、弾いていると稔が耳元で
「今は僕の音と、戯れて下さい…」
 悪戯っぽく、囁いた。

 美香の顔は、真っ赤に染まり恥ずかしそうに俯いて、直ぐに気を取り直すと、独特な憂鬱だが繊細な部分に差し掛かる。
 すると、稔も美香を包むように、音を紡いで付いて行く。
 稔の紡ぐ音と、美香の紡ぐ音が複雑に絡まり、交錯して美香の心を激しく揺さぶった。
(何…これ…ピアノの音が…気持ちいい…あふぅ〜…私を優しく撫で、激しく包む…)
 美香は得も言われぬ陶酔感に、全身を包まれ陶然と成り始める。
 頬は紅潮し、目はトロリと蕩け、呼吸が浅く速く熱く変わって行く。
 美香は第2主題に行く前に、ビクビクと震えると、音を間違え失速していった。

 鍵盤にもたれ掛かり、ハアハアと荒い息を吐く美香に
「済みません…昔、純と良くこういう風に、ピアノを弾いていたモノで…邪魔をしてしまいましたね…」
 稔が頭を下げると、美香は涙目で首を激しく左右に振り
「違います…稔様…決して邪魔なんかじゃ無かったんです…。私…私…ピアノを弾きながら…初めてイッてしまいました」
 稔に向かって、驚きを隠せずに報告する。
「えっ? イッてしまった…それは性的な絶頂を向かえたと言う事ですか?」
 稔の質問に、美香は恥ずかしそうに頷くと、太股の間に両手を挟み、小さく成って行く。
「美香。僕に良く見せて下さい…」
 稔はニッコリ微笑んで、美香に優しく告げると、美香は小さく頷いて両足を、椅子の上に引き寄せM字に開いて、ピンクのフレアースカートを捲り上げる。

 パックリ開いた美香のオ○ンコからは、ドクドクと愛液が溢れ、時折余韻を楽しむかのように、膣口がピクピクと痙攣を起こす。
(これは、本当にイッたようですね…。音楽でイクなんて、美香はやはり、感受性が高いですね…)
 稔が感心したように頷くと、美香が小声で稔に話し掛ける。
「あ、あの〜…稔様…。どんな罰でもお受けしますから…いやらしい美香のオ○ンコに…ご主人様のおちんちんを頂けないでしょうか…」
 スカートを持つ手を顔の前でモジモジと摺り合わせ、上目遣いで稔を見詰め、美香は稔に初めておねだりをした。
 稔は美香に手を伸ばすと、頬に触れ唇を重ね
「ちゃんとご奉仕できるのでしたら、入れて上げますよ…。出来ますか?」
 美香の口の中に、言葉を優しく送り込む。
 美香はパッと明るく微笑むと
「はい! 必ずご満足頂けるように、ご奉仕します」
 頷きながら返事を返した。

 稔は美香から一度離れると、美香の華奢な身体を抱え上げ
「どうせなら、もう一度ピアノを奏でながらやりましょう。曲は気にしないで、フリーセッションです」
 後ろから一気に貫いて、椅子の上に座る。
「あふぁ〜っ…稔様〜…美香の中いっぱいです〜ぅ…」
 一気に奥まで貫かれた美香は、白い喉を晒しながらブルブルと震え、快感を示した。
 稔は美香の首筋に、舌を這わせると鍵盤の上に両手を下ろして、音を紡ぎ始める。
「あふぅ〜…ん…はあぁ〜〜ん…」
 美香は熱い吐息を漏らしながら、白くしなやかな指を稔の音を追うように、鍵盤の上を走らせた。

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