三つの願い 〜男の夢〜
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■ 第五章 「裸、裸、裸…」4
速やかに選出されていた後任の警察長官は40代と、比較的若かった。
そして、実は準備されていたのではないかと思われるくらい素早く、その二日後の午後五時には新しい政策を発表する記者会見が開かれることになった。
あいかはじめ、周りはみんな興味を持って大学ではこれに関していろいろ話していた。
僕も含め、皆、外でももっと開放的になれるのではないか、と期待した。
その記者会見必ず見よう、と何人かの人が言っていた。
じゃあ寮で見よう、とはならなかった。
あいかも当然どこか出掛けているし、すすむもどこかで約束があるらしい。
あいかもすすむも多分他のところで記者会見を見るだろう。
僕は一人で寮に向かった。
僕は複雑な思いだった。
この不況は、僕たちが世界を変えたせい。そればかりか、それが、さきの贈収賄事件を引き起こしたのだろうか…
贈収賄からここまでの流れ、悪魔さんが作ったのか、この世界の中で自然に発生したのかは分からない。
それでも、どちらにせよ世界を変えたからこそ起こったこと…悪魔さんの思し召しであることは間違いない。
不況で困った人たちにも、逮捕や聴取をされた人たちにも、悪いことをした…僕はそう思って、改めて身震いした。
…まあ、でもその人たちも、簡単にセックスできて、きっとこの世界の恩恵を受けているに違いない。
そう思って、罪悪感を封印することにした。
ユニットには誰もいない。あまりにさびしいので、僕は近くを歩いて、隣のユニットでひかるを見つけ、誘った。
こういう中継は公共放送。僕はチャンネルを○HKに合わせた。
そして僕はひかるのうしろから脚で挟むように座り、胸を揉み始めた。
ひかるは結構小柄なのでこれでもテレビは見える。
「…若い人を中心とする新しい価値観と、従来の価値観を共存させるため、警察としては、エリアを区切って規制を緩和していくことにしました」
エリアを区切って…ということは、西洋のヌーディストリゾートのようなものを作るのだろうか…
それでは、普段の生活はまるで変わらないのでは…
僕は、少し期待がしぼんでいくのを感じた。
新警察長官はアンケート結果のようなものを示した。
「これによりますと、女性の胸が露わになった状態を不快に思わない、という割合は、比較的高いことが分かります」
それは、それ以外の「男性の性器が露わな状態」「女性の性器が露わな状態」…「男女間の性行為が行われている状態」に比べればそうだろう。
「つきましては、18歳以上の女性が胸を露わにしても公然わいせつ罪や軽犯罪に問われることのないエリアとして『第二種わいせつ等解釈変更地域』を指定することにします」
じゅんこさんが言っていたトップフリーが認められる、っていうわけか
女子が上半身裸になって闊歩できる…それはいいかもしれないが…でも限られたエリア、というのも…
「あたしは上半身裸でもあんまりうれしくないですねぇ…あっ、やぁん…まさるさん、気持ちいいです…」
僕は左手でひかるの乳首を、右手で割れ目の上の方の突起に触れていた。
この子にとっては、あまりうれしくないだろう。長めのTシャツを来て何も穿かないで外出する人なのだから…
「Tシャツだけ、が好きなの?」
「というか、あたしだけじゃないと思いますが、脱いだり穿いたりするの面倒ですよね。だからTシャツだけで出かけたり、大学では白衣だけのことも…あぁん…あたしは胸がそんなにないから、ブラがきつくて、っていうことはないんですよ…でも…そうなったらそのエリアではTシャツ腰に巻いていようかな…」
そうだ。みんな「面倒」と言っている。
「それでも、そのエリアってどんなところなのだろう? わざわざ行くようなところなのかなあ?」
「確かにそれ目当てに行くところでもないですねぇ」
ヌーディストリゾートの話から僕はもう少し思い出した。もとの世界でも、西洋では国によっては普通のビーチでもトップレス(敢えて馴染みあるこの表現を使うが)が当たり前のところがあるという。
「海とかプールとかかなあ」
ビーチと結びつかないトップレスリゾートとか、聞いたことないし、やはりビーチとか限定だろうなあ…
「ああ、それだったら、比較的、世の中的に年輩の方にも受け入れられやすいのかもですね…」
僕は、みんながトップレスになったプールを想像しようとした。公共の場所で、みんな胸を露わに…もとの世界だったら確実に興奮するシチュエーションだが、今は微妙だな…
警察長官はさらに長い説明を続けた。
「…というわけで、さらに規制を緩和した『第一種わいせつ等解釈変更地域』を、限定的に指定します」
これに対して質問が集中した。長官、明言しなかったが、どうも、これに指定された地域では、18歳以上なら、事実上、わいせつと判断されることはゼロ、ということらしいのだ。
ちなみに、この長い地域名は当然定着しない。のちには皆こう呼ぶ。
第二種=「むねOKゾーン」
第一種=「はだかOKゾーン」
何をしても「わいせつ」ではない地域、つまり大学内や女子寮内のような空間が展開される。それこそ、期待していたところだ…
さっきまで中途半端だった僕の棒は、これで準備ができた。
「入れます?」
「ああ」
ひかると僕は、その体勢のまま結合していった。
でも…その場所はどんなところなんだろう…やはりさっきからヌーディストリゾート、という言葉が頭にあって、砂浜とか人里離れたところが思い浮かんだ…縁遠いなあ…
「これも海とか、遠いところなのかなあ…」
「あっ、ひゃぁあん、まさるさん…そうですねぇ…なんか、そうでなくても高い壁に…あぁ…囲まれた空間とかにされそうな感じが…」
「…この地域の入口にはこのような標識が掲げられます」
標識? 実は本当に前から用意していたのだろうか…
その標識は「許可」を表す青い円形の中に、白く二人の人の形。
第二種の方は、パンツらしいものがあった上で、左側の人の胸には2つの点のみ、右側の人の胸には2つの円形と点が。
第一種の方は、それに加え、パンツらしいものは除かれて、左側の人の股には上を向いて先端が半円の棒と、その下には小さい半円が、右側の人の股には割れ目のような筋が、書かれていた。
大真面目にこのような標識が出るなんて…なんかギャグを見ているように感じた。
僕もひかるも行為を止めて笑った。
また、その後の質疑では、例えば通常地域で公開できない無修正の画像も、サーバーもアップロード作業も第一種地域なら、そこの規則が適用される。とか、その地域でOKでも通常地域で販売できないような書籍を購入しても、通常地域との間に税関のようなものは設置されないため、事実上通常地域でも販売目的でなければ所持できることになる。のような話がでたが、この辺があまり影響を及ぼすとは思えなかった。
あまり、生活に変化をもたらしそうにない、全体に期待外れの会見だった。
そうして期待がしぼむとともに僕の棒もしぼみ、結局この時はひかるには結構長いこと手コキしてもらって、出すことになった。
しかし、その後の変化は、そうではなかったのだ。
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