「脱ぎなさい」「はい……」
ドロップアウター:作

■ 痛いです……1

「痛い?」
「……いえ、ちょっとびっくりしただけです」
 私が乳首をつまむと、華奢な体がびくっと震えました。少女は驚いた目をしたけれど、全く抵抗しませんでした。むしろ、少し胸を前の方に突き出して、私が触りやすいようにしました。
「今、乳腺の発達を調べるから……ちょっと押してみるね」
「はい……」
 少女に告げてから、私は先端を軽く押していきました。しばらく指先で刺激していると、乳首は少し膨らんで、硬くなってきました。
「感触はどう?」
「んと……あの、くすぐったい感じです……いっ……」
 今度は指先に力を入れて、強く押しました。苦しげな吐息が、少女の口から漏れました。
「今は?」
「えっと……少し、痛いです……」
「我慢できる?」
「はい、我慢は……んくっ、できます……」
 痛みをこらえながら、少女はきちんと質問に答えました。私は、その誠実さに感心しました。森川真由子という少女は、見た目以上に我慢強い子です。
 もう片方の乳首も、同じように刺激しました。本人の意思に関係なく、そこも勃ってきました。少女は、時折痛そうにしながらも、ずっと大人しくしていました。
 次に、私は少女の乳房に触れました。
「んっ……」
 指で軽く押しただけなのに、少女は顔を歪めました。柔らかそうに見えたけれど、全体が張っている感じでした。それに、思春期特有のしこりが奥の方にあって、乳房は意外に硬いです。
「生理前なのかな?」
「……はい」
「近くなると、いつもこうなるの?」
「そうです。えっと、三日前ぐらいから……毎回、胸が痛くなります」
 少女は言いにくそうに答えました。相手が同性であっても、月経のことを話すのは気が引けるようです。女の子らしい清潔感が表れていて、とても好感を持ちました。
「じゃあ、検査するから……ちょっと押してみるね」
「えっ、はい……うぐっ」
 私が乳房を揉み始めると、少女はうめき声を漏らしました。乳首を弄られた時と比べても、痛さの度合いが違うみたいです。しこりがあって、生理前で張っている胸だから、激痛に近い感覚だと思います。
 少女は歯を喰いしばって、懸命にこらえていました。でも、私が指先に力を入れ、しこりを押し潰すように揉んでいると……さすがに限界を迎えました。
「あぐっ、先生……いたっ、痛いです……」
 涙を流して、少女は痛みを訴えました。我慢強い子が泣くほど、すごく辛いんだと分かりました。苦悶の表情を浮かべて、息が荒くなっています。
 ちょっと可哀想かなって、私も思いました。でも、少女には最後まで耐えてもらうしかありません。検査のためとはいえ、かなり屈辱的なことをさせているけれど……本人も全て承知の上で、ここに来ているはずです。

「……分かりました。言われた通りにします」


 三日前の約束を、少女は忘れていないんだと思います。その証拠に、ここまで何を言われても従順にしています。恥辱を受け入れることにした少女の覚悟に、私は応えなければなりません。
 少女のうめきを無視して、私は乳房を揉み続けました。さっきと同じように、左右とも指先に力を入れて押しました。
「んっ……うぐっ、痛い……」
 しこりがあると、指でつまんで押し潰すようにしました。発達具合を診るためなのですが、胸を圧迫する度に……少女は小さく悲鳴を上げました。


 乳房から手を離すと、少女は大きくよろめきました。体を支えると、はっとして顔を上げました。激痛のせいか、意識が朦朧としていたみたいです。
「すみません……」
 涙で濡れた頬を拭いてやると、少女はかすれた声を発しました。
「ごめんね、痛かった?」
「めちゃくちゃ……死ぬかと思いました」
 答えてから、少女はちょっと苦笑いを浮かべました。
「でも、大丈夫です。生理前は、どっちみち痛くなるから……」
 痛みから解放されて、少しほっとしている表情に見えました。全裸にされている羞恥心は、今はもう薄れているのかもしれません。もっとも、相変わらず両手を股間に添えたままだけれど。
「自分で立てる?」
「はい」
 しばらく少女を待たせて、私は保健室から持ってきた救急箱の中から、紙コップと脱脂綿の瓶を取り出しました。それから、出入り口の座敷でないコンクリートの床の部分に、新聞紙を敷きました。
「真由子さん、おいで」
「あっ……はい」
 私は、背後から少女の肩を抱くようにして、ドアの前まで連れて行きました。
「座敷から出て、コンクリートの床の所に立って」
「はい……ここですか?」
 少女は言われた通りに、出入り口のドアの方を向いて立ちました。
「次は、おしっこを採ろうね」
「えっ……おし……」
 途中まで言いかけて、少女は赤面しました。清潔な乙女には、あまり似つかわしくない言葉です。なんだか小児科の病院で、看護師に同じことを言われてうつむく女児みたいでした。
 私は、また少女にとって酷なことを告げました。
「そこに立って、紙コップの中に出そうね。もし溢れそうになったら、紙を敷いているから下にしちゃっていいよ」
「あの……えっ、ここで……」
 少女の顔は青ざめました。これから何をさせられるのか、賢い子だからすぐに理解したみたいです。せっかく乾いた涙が、またこぼれ落ちそうに見えました。

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