人身御供
非現実:作

■ 琴乃 試練1

前に栄弦様が云っていた…… ……。
党首の言動よりも、風見甚五郎に気を掛けろと……。
「悪しき事について」は最高の策士であると……。
その悪しき事を口添えされた総布が口を開いた。

「金剛とやらよ……気が乱れておるわ」
「……迷うてはおらぬっ!」
「貴様は迷うておるわ、かつて仕えたこの姫君の痴態を見て…のう?」

ギリリ……。
金剛殿の軋む歯の音が聞こえた。

「主たる栄弦の麗しき妻……琴乃姫が、今は尻を弄ばれておる。
その状況を……貴様は疼いておるのだ。」
「……い、否っ!」
「ぐぅっふっふ……かの美姫が喘ぎ苦しんでおる。
どうじゃ…… ……己も楽しまぬか?。」
「拙者が?」
「そうじゃぁ……決して手出しならぬ奥方じゃぞ?。
それを意のままに…支配できるのじゃよぉ?」
「……むっぅ!」
「見よ、この痴態を?」

総布兵重が激しく長芋を上下させた。
吊られた美姫が……淫靡なる汗を撒き散らしながら喘ぎ悶える。

「っぁぁ……やっぁあ…ゃぁ〜〜〜んぅぅんくっぅ!。
痒いのぉぉぉ…ぉぉお、やぁなのぉぉ!!。」
「ぐふっふ、どうじゃぁ……この乱れようは?」
「〜〜〜〜姫様っぁ!!」
「無駄じゃ桔梗とやら、長芋の痒みは止められぬわ」
「なんと云う……それを姫様にっぃ!?」
「左様じゃ、であるからのぅ琴乃姫は処女でありながら……。
こんなにも息も絶え絶えに悶えておるわぃ。」
「下郎っ!?」
「くっくっく……痒みを慰めておるは我等ぞ?。
むしろ感謝してほしいもの……じゃがのう?。」
「ゆ、許さぬぞっぉ!?」
「琴乃姫よ、どうじゃぁ〜〜……止めて欲しいか?」
「っぁっはっはああぁ……んぅぅんうくぅ……ゃっぁ!」
「くっくっく……どうじゃ桔梗とやら……。
ワシ等の手に、琴乃姫は存分に感じておるわ。」

卑下た笑みを漏らしながら風見が応えるのであった。
(この……下衆っがぁ!)

「どうじゃぁ〜金剛とやら…お主も琴乃姫を一緒に嬲ろうぞ?」
「はぁはぁはぁ……くぅ……我…は!?」
(いけない……語らせてはならぬっ!?)

咄嗟に、私は懐から短刀を投げた。
……筈であった…… ……。

「うっぅ、ぐぅ!?」

懐に忍ばせた右腕が痺れていた。

「なっぁ!?」

あろうもなき事かな…… …… ……。
打ち付けた私の右腕には、錫杖が打ち突かれていたのであった。

「こ…こん……金剛殿っぉ?」
「……許せ、桔梗殿」
「ば、か……なっ!?」

金剛殿の操る錫杖が私の胴体を突く。
(迂闊っ!?)
踵に重心を置き、辛うじて飛び跳ねる。
階段の3段目に足を着けて、再び匕首を構えなおす。

「正気か……金剛っ!?」
「……我は……姫様をぉ…総布様に乗ったぁ!」
「くぅ……」

不覚であった。
頼りにしていた長年の連れ合いの金剛殿が……まさかそんな事を夢描いていたとは。
(裏切り者がっぁ!!)
下唇を噛み締め、私は唸る。

「ぐわぁっはっは、形勢逆転じゃのう……忍ぃ」
「…… ……」

相当な腕たる2刀流の魏志四郎に、対人得意なる裏切り者の金剛。
(勝ち目……無しか)
悔しいが、今の私には勝てる手段が見込めない。
今は姫様をお救いする事が私の使命だ。
(今……私が死ぬわけにはいかぬ)
逃げるしかない…… ……。

「生け捕れぃっ、忍を生け捕るのじゃっ!!」

風見が叫んだ。

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