桜怜ちゃんグラマラスデイズ
わたる:作
■ 8
「んっ……あれ……?」
桜怜はホックの手触りに違和感を感じた。
金具の部分が歪んでいる。容量を大きく超える爆乳を抑えていたためゆがんでしまったのだろう。
「ど……どうしよう〜!」
桜怜は戸惑う。これは手探りでは直せない。
「取っちゃうしかない……」
意を決し、桜怜は肩からブラジャーを抜く。
「いや! いや!」
同時に片腕で露になった豊満すぎるおっぱいを覆う。
しかしメロン大の胸を二つも覆えるはずも無く、乳首だけが隠れる。
「わ……わたし……こんなところで裸に……」
桜怜は羞恥でいっぱいになる。今は見られていないだけで、目を向ければいつでも見られる場所に男子がいる。
「だめ……恥ずかしい……!」
桜怜はたまらず、脱いだ制服を胸に押し当てる。
そして両手で力いっぱい、ホックを戻そうとする。
「うんっ! う〜ん……」
ゆっくりとホックが元に戻ってくる。しかし……
「きゃっ!」
桜怜は悲鳴を上げ、そばにあった壁にピッタリと身を寄せて隠れる。
グランドにいた男子の数名がこっちに来る……桜怜は後ろに冷水器があるのに気づいた。
「こっちに来ちゃう……! だめぇ……!」
ようやくホックを直した桜怜がブラを着けようとするが、焦りで手が震えてうまくいかない。
「だめっ! 来ないで……見られちゃう……」
男子が近づいてくる。
「だめ……だめ……!」
桜怜はうつむき、ぎゅっと制服を胸に押し付ける。そして……
キーンコーンカーンコーン……
チャイムの音。
男子たちが足早に方向を変え、遠ざかっていく。
「よ……よかった……助かった……」
桜怜は安堵し、どうにかブラジャーも着けることができた。
「ふぅ……」
転校初日の出来事。これが自分の置かれている状況なのだと、桜怜は改めて知った。
■つづき
■目次
■メニュー
■作者別