桜怜ちゃんグラマラスデイズ
わたる:作
■ 27
学校を出て数分、桜怜は男子たちに囲まれて海まで歩いた。
道中は誰も桜怜に話しかけず、ただいやらしくバスケットボール並みの胸をジロジロ見ている。
汗で下着が透け、いっそういやらしさ、大きさを協調する。
(見ないで……見ないで……)
桜怜はただ顔を赤らめ、心の中で思うだけだった。
口に出しても、胸を隠しても、男子を喜ばせるだけと分かっていた。
ただ桜怜は拷問のような羞恥に耐えて歩くだけだった。
「ここだよ、桜怜ちゃん」
男子の一人が言う。
着いたのは古そうな小さな海の家のような店だった。
「あれ? 今日は店のおばあさんいないな」
「ほんとだ、どこ行ったんだ?」
男子たちが言う。確かに人がいない。
「ま、勝手に借りていいんじゃない?」
「そうだな」
男子たちが言う。
「じゃ、ボールでも借りるか」
店の中には浮き輪やサンダルが置いてあり、確かに数着水着もある。
「じゃあ桜怜ちゃん、水着好きなの選びなよ」
「俺らは海パン持って来てるからもう着替えとくよ」
男たちが言う。
「う……うん……」
桜怜が答え、棚にある数着の水着を手にとって見ていく。
「いや……どれも小さい……!」
なるべく露出の低いものを、と思って桜怜は見ていたが、どれも桜怜の胸ではちきれそうなものばかりだ。
「Jカップ用の水着なんてあるわけないし……」
桜怜はビキニも見ていくが、どれも水着としての役目を到底果たせないものばかりだった。
「どうしよう……」
桜怜がしばらく立ちすくんでいると、
「桜怜ちゃんまだ決まらないの?」
と男子の声。海パン姿の男子たちが近寄ってきた。
「はやく選んでよ」
ニヤニヤしながらも桜怜をせかす。
「ごめん……ちょっと待って……」
桜怜が言う。
「そりゃ桜怜ちゃんのおっぱいに合うのはなかなか無いでしょ……」
「いっそ裸で泳いだら?」
「おっ、いいね……」
男子たちが言う。
「そっ……そんなのだめ……! これにします……!」
とっさに桜怜は、まだ一番サイズの大きかったE〜Fカップ用の白いリボンのついたピンクのビキニを選んだ。
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