梨華子と亜矢子
百合ひろし:作

■ 第二章 縞パン1

梨華子と亜矢子が梨華子の言う『騎馬戦』をした後、梨華子は悶々とした状態から解放されて普段の梨華子に戻った。そして成績も亜矢子と並ぶ様になった。
「一体あの時は何だったんだ……?」
先生は訳分からずに梨華子に聞くと、梨華子は、
「ちょっと精神不安定で……プレッシャーがあったんです」
と答えた。先生は、
「そうか。そういう事もあるな。これからも頑張れ」
と背中を押してくれた―――。


暫くし、梨華子の記憶から『騎馬戦』をした記憶は薄れて行った。亜矢子とはいつもの様に一緒に学校に来て、一緒に過ごし一緒に帰る。それを毎日繰り返していた。
一方亜矢子は、ふとした事で梨華子に反発心を抱いた。それは球技大会―――。二人は当然の様に一緒にバスケットボールをやろうとしたが、チームを決める日に亜矢子は熱を出して欠席してしまった。しかも運が悪く、バスケットボール、バレーボール、そしてソフトボール、どれもチームは一人足りない状態で、梨華子と亜矢子が一緒のチームに入るのは事実上不可能になった。
梨華子はその時迷った末、自分がバスケットボールに入り、亜矢子は最後まで決まらなかったソフトボールにしたのである―――。亜矢子は梨華子の口からそれを聞いた時、
「うん、残念だったね―――一緒にやりたかった」
と言っただけに留めたが本当はカチンと来ていた―――。
何故梨華子は、一日決定を延ばしてくれなかったのか―――?
何故梨華子は、他の人と相談して二人で入れるようにしてくれなかったのか―――?何となくバスケットに入った人だって居るのだ。球技大会なんて本当はどうでもいいのに学校の行事だからといって仕方なくアミダでバスケットになったからバスケットのチームに入った人だって居た筈だ、いつもそういうのが居たのだから―――何故そういう人を説得してくれなかったのか?
亜矢子は高熱を出して正常な判断が出来なくなっていたのかも知れない―――。普段だったら、お互い努力しても一緒のチームになれないのだとしたら、くじ引きでも棒倒しでも何らかの方法で勝負して決めて、それから「お互い頑張ろうね」で済んだのかもしれない―――。しかし、今の苦しい、心細い状態では些細な出来事が一時的な梨華子への憎しみになってしまうのに時間は掛からなかった。
しかしそれでも亜矢子にとって梨華子はかけがえの無い大切な親友―――。
「何で私に隠すの?言わなければ絶交する」
その位の存在なのである。でもだからこそこの件についてはキッチリけじめを付けたいと思うにまで至った。

今迄どうしてもどちらか一人でないといけなかった時は何らかの勝負―――?勝負―――勝負???
朦朧としている亜矢子の頭に浮かんだのはこの間梨華子とやった『騎馬戦』だった―――。


三日後―――。亜矢子は完全に回復した。いつもの様に梨華子と学校に来て一緒に授業を受け、そして一緒に帰った。その帰り道で、
「今日夜、うちに来れる?」
と聞いた。梨華子は、
「うん。大丈夫だよ」
と答えた。亜矢子は、
「良かった。今日はうち誰も居ないんだ。私一人」
と言った。亜矢子は、梨華子の下着はワイシャツ越しに確認している―――。今日は可愛いのを着けているから『騎馬戦』にはもってこいだったのだ。亜矢子は始めからその心算だったので、気に入ったのを着けて来ているが―――。


夜になると、亜矢子の部屋に梨華子が来た。亜矢子は梨華子を上げると、ペットボトルの水を渡した。梨華子は、
「ありがとう」
と礼を言った。それから二人は色々な話をしたり、進路について考えたりしていた。そして20時―――。
ピピピピ……。
アラームが鳴った。亜矢子は時計を見て時間を確認した後、
「実は梨華子、今日ゲームをやりたいんだ」
と言った。梨華子は、
「どんな?」
と聞いた。亜矢子は、
「覚えてるでしょ?『騎馬戦』」
と答えた。梨華子は当然覚えていたがまさか亜矢子からこの言葉を聞くとは思わなかった。梨華子は自分が『騎馬戦』を申し込んだ時は胸が締め付けられるほど苦しい想いを持っていた。その為、この話を持ち掛けて来た亜矢子が何だかは分からないが自分に対して何かを告白したいのだ、と受け取った。その為、
「覚えてるよ。亜矢子がやりたいなら、やろう……」
梨華子は了承した。すると亜矢子は、
「ルールは前と同じだけど、今日だけのルール、一つ付け加えていい?」
と聞いた。梨華子は、
「付け加え?いいよ。元々滅茶苦茶だし……」
と顔を赤らめた。亜矢子は、
「今日は負けた方は勝った方の言う事を一つだけ聞く」
と言った。梨華子はコクリと頷いて、
「いいよ」
と答えた。そして二人は前回同様服を一枚ずつ脱いで床に置いた。亜矢子はピンクのシャツとチェックのミニスカートを脱いでシャツと同じピンクのブラジャーとパンティを着けていた。そして、梨華子はこの日はスカートではなく黒のズボンと白のブラウスを脱いで白のブラジャーとパンティを着けていた。こころなしか、この間よりも少しだけ体型が大人っぽくなっていた。

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